バンガロール観光① l 1日目・ワイナリー Grover zampa グローバーザンパ
2泊3日でバンガロール+マイソール観光に行ったので、数回に渡って記録する。
10月の最初の土日は週明けの月曜火曜が休日となり、我々は4連休だった。
インドの10月はやれフェスティバルだの誰かのお祝いだので休日が多く、どこに行ってもがやがやしている。
10月はすでに中旬に国内旅行、下旬のディワリの週には海外逃亡の予定が立っていて、私は旅の予習で忙しかった。
この4連休はチェンナイ市内でゆっくり読書でもして過ごそうかと思っていたのだが、
せっかくだしやっぱりどこか行った方がいいんじゃないかという雰囲気になり、直前の金曜の夜に集合。
晩ごはんを食べながら行き先を決めることになった。
↓10月のインド、イベント一覧(https://www.toishi.info/holidays/in_holidays_calendar.html より引用)
ラダックに一緒にいったチェンナイ在住のメンバーで、気になっていた ECR(大通り)沿いのレストランに集まる。
こじんまりとしたシックなお店で、なかなか味がいい。
特にシーフード料理とデザートが美味しく、クセがないので日本人好みなんじゃないかと思う。
席が少ない人気店なので予約必須だ。
行き先に関しては、もう前日だからバンガロールなんじゃない?という話になった。
バンガロールはチェンナイから近い内陸の都市で、大企業も多い都会である。
州が違うので堂々とお酒が飲める。
みんな急に遠くへ行く気力はなかったので、飛行機で1時間程度のバンガロールにシャトーブリアンを食べに行くことになった。
しかしバンガロールだけでは満足できない我々は、日帰りか一泊で行ける他の都市を探していた。
いろいろ案が出た結果、マイソールに足を伸ばすことに決まった。
マイソールはちょうどダサラ祭というお祭りがあり、この時期に世界中から人が集まるらしい。
世界中から人が集まるお祭り連休中のインド、と言うと、もうどれだけ人がぎゅうぎゅうなのか、怖いもの見たさもあった。
チェンナイからバンガロールは飛行機で行って、バンガロールからマイソールは車で移動。
マイソールに一泊して、そこからチェンナイへ飛行機で帰ってくる2泊3日のプランだ。
バンガロールとマイソールの間にあるジャイナ教の聖地・シュラヴァナベルゴラに寄ろうという提案は却下された。
私はバンガロールに行くならワイナリーには絶対行きたかったので、今から予約が取れるかを聞いてみた。
出発日、フライトの離陸ギリギリに返事があり、今日10:30の回なら空きがあるが、それ以降はいっぱい、翌日はお休みというころだった。
9時チェンナイ発のフライトだ。1時間くらいでバンガロールに着くと聞いたから多分間に合うだろう、ぎりぎりだけど。
(結局1時間以上も遅れることになるのだが)
「ちょっと遅れるかもしれないけど予約しとく」と連絡して、「10:50までなら大丈夫だよ」という返事をもらった。
寝て起きたらバンガロールについていた。あっという間だ。
空港内にはナヴァラトリのお祝いでインド版ひな人形(Golu)が飾ってあった。
飛行機内で予約した OLAの車を待って、空港を出発したのは10:20だった。
30分で到着すればおいしいワインが飲めると気分が高揚していた。
OLA は Uber のローカル版で、8時間使って 3600 ルピー。Uberを使うよりだいぶ割安だ。
しかしこの OLA、安いがクオリティはいまいち、ドライバーの当たり外れが大きいらしい。
担当のドライバーは英語が通じにくく、乗った瞬間から動きが微妙だった。
行き先に向かう途中、高速のゲート近くで早速止まり、
「ツーミニッツ!(Two minutes)」と言いながら Fasttag(日本で言うETC)の手続きをおもむろに始める。
この Two minutes というのはインドの慣用句で、ちょっと待ってね、みたいな意味だ。実際は2分ではない。だいたい30分くらい。
なぜ、今??
とみんなが思った。
急いでるんだよ何で今やるんだとこちらはギャーギャー騒ぐのだが、ごめんごめんとしか言わず作業を続けるドライバー。
かなりの時間のロスだ。この時点ですでに10:30はとうに過ぎている。
我らは怒り浸透で車内の雰囲気は最悪となった。
だが8時間の契約をすでにしており、ここで下ろされても困るしチェンジもできないので乗っていくしかない。
怒っている我々に対してドライバーも不機嫌になっているようだった。
誰も言葉を発しないままガタガタした道を進み、結局ワイナリーについたのは予約時間の1時間以上あとだった。
さすがにもう無理かなと思ったのだが、そこはインド、独特の時間感覚で遅刻には寛容である。
ゲートで予約の名前を伝えると、すんなりと入れてくれたのだ。
今回来たのは「グローバー・ザンパ・ヴィンヤーズ(Grover Zampa Vineyards)」
1988年にマハーラーシュトラ州に設立された、インドで最も古いワイナリーだ。
グローバーザンバは現在カルナータカ州のナンディヒルズとマハーラーシュトラ州のナシックヴァレーに2つワイナリーを持っていて、こちらはバンガロールから行きやすいナンディヒルズの方。
世界的な醸造家ミシェル・ローラン氏をコンサルタントとして迎え、評価の高いワインをたくさん生み出しているそうだ。いろいろな賞も取っている。
作られたワインのうちおよそ20%は海外へも輸出され、日本でも購入することができる。
ちなみにもう片方のワイナリーのあるナシックヴァレーはインドでワインの聖地と呼ばれ、たくさんのワイナリーがある。ムンバイから車で4時間くらいとちょっと遠いが、有名な SULA のワイナリーもあるので今度行きたい。
奥へ進むと、優雅なガーデンレストランのような一角が広がっており、ワインの並んだ部屋に案内された。
他にもう一組、裕福そうなインド人の家族がちょうど来たところだった。同じ時間に来たということは、おそらく彼らも遅れたんだろう。
しかし遅れた感は全くなく堂々としていた。
遅刻組はテイスティングを先にして、次の12時の回のツアーに合流するようにしてもらえるようだった。
一人1000ルピー(1770円)で、6種類のワインのテイスティングと、ワイナリーのツアーがセット。
日本よりは割安かと思う。
ソムリエに案内されて部屋を移動。
テイスティングはスパークリング、白2種、赤2種、デザートワイン、の順に注がれる。
ちょっとずつにしてもらったが、弱いのですぐ酔っ払ってしまう。
一緒にテイスティングした家族の娘さんが真っ白なジャンパースーツを着こなした美人で、すごく綺麗な訛りのない英語を話す人だった。ワインにも精通している様で、ソムリエとずっとワインについて話をしていた。
気になる方もいらっしゃると思うので、テイスティングに出されたワインを順番に貼っておく。私はまだワインは勉強中で、味わいのコメントは恥ずかしいので控える。
ちなみにラベルの裏にソムリエが言う様なコメントが全部書いてあるので、参考にされると良い。
15分ほど待って、次の組と一緒にワイナリーへと回る。
裕福そうなインド人の家族連れと、欧米人が何組かいた。
サリーを着てるような人はいなくて、みんな洋風、若い女性はそこそこ露出度の高いワンピースを着て近代的だった。
ワイナリーのツアーは中の写真は撮らないでねとのことだった。
企業秘密なんだろう。
入ってすぐの部屋には、卵型のコンクリート製熟成容器があった。
さらに奥に入るとそこは巨大な大きな倉庫で、冷蔵庫のようにキンキンに冷えていて、発酵・熟成させるための銀色のステンレスタンクで埋め尽くされていた。そこでしばらく説明してくれたので、かなり体が冷えた。
ちなみにアンフォラは、紀元前15世紀頃にレバノンから古代世界に広がった陶器の器の一種だ。古代ギリシャやローマで、ワインやオリーブオイルを運搬・保存するための手段として使われたそうだ。
これをワイン造りに用いたのがワイン発祥の地でもあるジョージアで、紀元前6000年頃から「クヴァヴェリ」と呼ばれるアンフォラが使用された。オレンジワインが有名な自然派ワインの産地である。
これを現代に広めたのが、フリウリ(イタリア北部)のワインの造り手、ヨスコ・グラヴネル氏。以降は世界中にアンフォラワインが広まった。
アンフォラで作るワインのいいところは、
・木樽と同じく機密性が低いので、ワインに微量の酸素が入って酸化作用がある→まろやかで優しい味わい
・木樽由来の香りやタンニンなど、容器由来の風味をワインにつけない→クリアなブドウのピュアな果実味
だそうだ。
ツアー後お腹が空いたので何か食べようかと思ったが、軽食やアラカルトはなく、コース料理だけだった。ここでコース料理が出てくるのを待つのは時間がもったいない。
そもそもこのバンガロールへはシャトーブリアンを食べに来たので、我慢してバンガロール市内に戻ることにした。
最後に自分用のワインを選ぶ。迷ったが、結局大きな樽で熟成させた、Faudra 2000L を購入。3500ルピーだった。
「Grover Zampa」で最も高いワイン「Signet Amphora」は、4000ルピー
今回行ったグローバーザンパのホームページはこちら↓
テイスティングできるワインの種類も載っている。
インドを代表するワイナリーとしてはこじんまりとした印象だったので、まだまだインドのワイン市場は規模が小さいんだなあと思った。
宗教上の理由なら仕方がないが、バーやアルコールショップで買って飲むインド人はそれなりにいる。でもチェンナイではお酒はコソコソ隠れて飲むらしいし、バーと言われるお店も中は暗くてお互いの顔が見えないくらいになっている。アルコール持ち込み OK のレストランでも混んできてインド人客が増えると「もう飲まないで見えないようにしまって」などど言われることもある。若者が集まるようないい感じのバーやクラブもあるようだが、表立ってはいない。なんだかなあと日々思う。
こんなに美味しいワインを頑張ってインド国内で作っているのに、飲みたいインド人にアクセスが制限されているのは悲しい。
チェンナイでも早く自由にお店で飲める様になったらいいのに。