マンション価格に影響するプレミアムの要素を考えてみた
こんにちは、yukoです。
マンションを選ぶ時、いろんな条件が気になりますよね。例えば部屋の方角。日本だと南側が一番人気があり、東側、西側と続き、北側はあまり人気がありません。また、どこのデベロッパーが作っているものかブランドを意識される方も多いと思います。
今回はマンション価格に対するプレミアムについて考えていきたいと思います。
プレミアムが乗ってくるもの
まずはどんなものがプレミアムになるのか考えてみたいと思います。ここでいうプレミアムとは、他の類似物件に比べて坪単価が高くなりやすい条件を指しています。大きめな要素を3つ考えていきます。
街の価値
不動産は当然ですが動かせない資産なので、その資産がどんな場所にあるかが価値を決める大きな要素になってきます。すでにできあがっている街を見ることも大切ですが、再開発計画から街のポテンシャル、人の流れがどう変わるかを考えてみることが大切です。
再開発が与える住居への影響は下記のようなものが挙げられます。
昨年オープンした麻布台ヒルズは2018年から正式に認可がおりて計画の実行が見えていましたが、周辺の物件はオープン後にさらに一段価格が上がっています。計画の全体像がパースとともに公表され、過去の開発事例から森ビルの開発完成度が高いことは見えていても、実際に街が完成して人の流れが変わってみないと不動産の価格には反映されないこともあるようです。
その観点では再開発の影響が織り込まれきっていないエリアは、ディスカウントがかかっていると言えるのかもしれません。
現在計画されている都内の大規模再開発の一例です。
この地図では、東京の再開発計画段階のものから見れるので、周辺でどんな開発が行われる予定があるか、どのくらいのエリアまで影響がありそうかは地図上でも確認してみると良いかもしれません。
個人的には品川駅、高輪ゲートウェイの再開発は住宅環境を含めて街を変えると思っています。KDDIやトヨタといったブルーチップ企業のオフィス移転が見えていて、駅含めた再開発によりリニアでの地方移動や空港アクセスの利便性の効果が発揮されるため、品川駅、特に高輪口を中心とした街の価値は再評価されるんじゃないかと思います。今となっては貴重な、広大で美しい庭を持つ高輪プリンスホテルも開発をしていきますし。
また、元麻布ヒルズ周辺の再開発も今後数年で動くんじゃないかと想像してます。六本木ヒルズより早いタイミングで竣工した元麻布ヒルズですが、周辺エリアに駐車場が増えてきているため、第二六本木ヒルズに続いて元麻布にも新しい街ができるんじゃないかと妄想しています。
景色の価値
住宅にとって価値を形成する要素として部屋からの眺望も重要です。ニューヨークの住宅における景色の価値をまとめたNew York Timesの記事を参考にしてみます。
この記事によると、部屋から見える景色によって住宅価格にはプレミアムが乗るとのこと。このプレミアムは、眺望の種類とその眺望がどれだけ独特であるか、また将来的に維持されるかが大事になってきます。ニューヨークでは、街のランドマークであるセントラルパークやハイライン、高層階からのビューにプレミアムが乗っているとのことです。
東京都心で言うと、東京タワービューの価値が高く、一部のエリアでは皇居ビューを始めとするグリーンビューやオーシャンビューも同じようなことが言えそうです。
ニューヨークのケースを見ても実感がわきにくいので、実際に東京タワーの価値を見てみます。中古の価格をベースにすると評価がしにくいため、新築分譲時の価格でプレミアムを出してみます。
某麻布台で新規に分譲されたラグジュアリーマンションの売出し価格をベースに検証します。それぞれの条件でフラグを立てて、坪単価の比較から出したプレミアムです。
手元にある情報をベースにしているので網羅性が高いわけではありませんが、東京タワーが見える方角の部屋は見えない部屋に比べて26.7%、高層階には40.4%のプレミアムが乗っています。ちなみに、方角で言うと北側を1とした場合、西向き(富士山、六本木ヒルズビュー)は1.1倍の坪単価になりました。個人的には富士山ビューも好きなんですが、特段評価されてなさそうですね。。
やっぱり東京タワーには相応のプレミアムが乗っているし、景色が抜ける高層階にもプレミアムを乗せた価格設定がされてます。
ブランドの価値
三菱地所や三井不動産などデベロッパーそれぞれに展開するブランドがありますが、強いデベロッパーが作ったマンションの価格は中古市場でも価値が底堅く推移しています。ブランドはわかりやすいし、住み始めてから管理の安心感もあるんじゃないかと思います。
今回は完全に私の趣味ですが、国内デベロッパーが展開するブランドについてはいったん置いておいて、Branded Residenceを取り上げたいと思います。日本ではまだそこまで数は多くないですが、京都のフォーシーズンズ、伊勢、東京、ニセコ のアマン、ニセコのパークハイアットといったラグジュアリーホテルがレジデンスを分譲しています。このようなレジデンスをBranded Residenceと呼びます。
Branded Residenceはそのブランドが持つ世界観を表した住居であることはもちろんですが、物件の管理やルームサービス、ファシリティの利用、ブランドが選定した家具や小物を購入するなど、ブランドを楽しむサービスを受けることができます。
世界中であらゆるブランドがレジデンス開発に取り組んでいて、ホテルはもちろんのこと、ファッションブランドや自動車メーカーも独自のブランド観を表した住居を提供しています。不動産は他のラグジュアリー商品と比較しても圧倒的に高額になるため、住居の領域にブランドが入ってくるのは当然ですよね。
Branded Residenceは不動産としての価値よりも、ブランドへの信頼感や希少であること、特別な体験ができることへの評価が大きく、地域のラグジュアリー物件から平均で30%程度のプレミアムが乗ってきます。(savillsレポート)
Branded Residenceまでのブランドではなくても、ネームに信頼があることは、将来的な維持管理の信頼感も相まって、より価値が評価されやすくなるんじゃないかと思います。
街も景色もブランドも、いずれも共通して言えることですが、唯一無二であることには大きなプレミアムが乗ってきます。そのエリアやそのブランドで一番良い物件であること、物件内ではペントハウスや、最上階ではなくても唯一無二である部屋にはプレミアムがつきます。
まとめ
今回はマンション価格にとってのプレミアムについて考えてみました。結局のところ住居は自分にとって豊かにくらせる環境はどれか、が一番大切ではあるので、あくまで乗ってくるプレミアムは参考程度だと思います。
ただ何に対して物件の価値が上乗せされているのか、逆に評価されていないのかを考えてみると、価格の妥当性を見る上で助けになるかもしれません。
家を買いたい売りたい方、いつか考えたいなという方、今の市況を知っておきたいという方。ぜひぜひお話しさせてください。カジュアルなご相談から売買仲介のご依頼まで、DM大歓迎です。