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リスボンの生活に溶け込んだ典型的なカフェの菓子パンたちに思うこと

今回は、今まで書いてきたような、新しいスタイルのお洒落なベーカリーなどではなく、街に根付いた典型的なカフェのパンやお菓子の話。

リスボンの街には、すごい数のカフェがある。もしかして、日本の街中のコンビニよりも多いかも。歩いていると、一つの小さな通りにカフェが十軒ほどあるところもあるほど、とにかく地元民が通うカフェ文化は根付いている。どこのカフェも常連さんがいて、地元民の憩いの場であり、生活の一部になっているのがわかる。それもお洒落なカフェとかではなくて、本当にシンプルで、タイル張りの内装だったりが多い。

こういう無機質な感じが多いかな。ポルトガル人は綺麗好きなので、清潔感はある。時には洗剤の匂いでいっぱいのカフェも。

大体のカフェには、色んな種類の菓子パンや、鱈や牛肉、海老のコロッケなどの揚げ物などが並んでいて、その他に、頼んだら作ってくれるサンドイッチやホットサンドがある。

これはポルトガルに来た時から今までの15年以上ずっと変わらないのだけど、どのカフェも、並んでいるパンや揚げ物が、どこも顔ぶれはほぼ同じということ。だから、どれも見ただけで中に何が入っているものか、どんな味か、その商品の名前も、いちげんさんだってわかる。

よくある顔ぶれ。下の段は、は右からサモサ、海老のクリームコロッケ、鱈のコロッケ。

サンドイッチになると、これが、本当に潔いなぁと、逆に思ってしまうバラエティだ。種類は、

ハムのサンドイッチ
チーズのサンドイッチ
ハムとチーズのサンドイッチ!


この3種類だけ、というところがほとんど。そして、Tosta(トシュタ)という、これのホットサンドバージョンも加わるから、6種類となるのか。

カフェによっては、これに卵のオムレツサンドを置いているところもある。

昔、ポルトガルに来てまだ数年の時に、よく外国人の友人たち同士で、このサンドイッチの種類の少なさの話題で盛り上がったものだ。

サンドイッチを頼むと、必ずどの店でも店の人に、「バターは塗る?」と聞かれる。「お願いします」と頼むとすごい量をたっぷり塗ってくれる。これは、日本人からしたら贅沢かも知れない。ここをケチってマーガリンにしている店は、意外とほぼ見ない。

サンドイッチのパンの種類は色々と選べる。ブリオッシュ風のミルクパン、ココナッツがかかっている甘いパン、丸パン、田舎パンのスライスなどなど。なんだかこうやって書いているうちに、パンの種類も入れたら、結構バラエティ豊かなのかな。。?というような気がしてきた(笑)


菓子パンは、10種類以上あるところが多い。ポルトガル風クロワッサン、エッグタルト、砂糖がたっぷりかかった揚げパン、デニッシュみたいなやつ、などなど。お菓子系のものは、とにかく歯が痛くなるほど甘い!

ここは観光客向けのカフェだから、ちょっとバラエティ多めの品揃えだった。


一つ残念なのは、どこのカフェのどの菓子パンも、大体全部同じ人工的な味で、個性がないこと。これは、もう店で手作りして売っているカフェがリスボンにはほとんどないから。大体どこも、業者から仕入れている。または、冷凍の状態で仕入れていて、店でそれを焼いて出すというスタイル。よく業者スーパーで、菓子パンや冷凍のパン、コロッケなどを大量に買っている人たちがレジで並んでいるのを見ると、ああ、この人たちがやっているカフェでは食べたくないなぁと毎回思う。


リスボンに、老舗で、お菓子のバラエティも豊富なとても有名なカフェがあり、以前フランス人の友人が来た時に、そこに食べに行った。「どうだった?」と聞いたら、「すっごくバラエティは豊かだったけど、どれも人工的で、同じ味だったよ!」ととてもガッカリしていたのが今でも忘れられない。もちろん、全てのリスボンのカフェがそうだというわけではなくて、ちゃんと全部作っているところもあるけど、圧倒的に少ないと思う。それから、リスボン以外の他の都市はまた事情が違うのかも知れない。


だから、数年前から少しずつ出てきている、小さな天然酵母のベーカリーや、出すものを手作りしているカフェなんかは、少々高くても、味わいがあって私はとても嬉しい。工場で大量生産されているものをただ購入して売っている店がメインではなく、ポルトガルの、昔ながらの手作りの本当の味を置く店が増えていってくれることを切に願う。私のイメージ的に、北部はまだそういうお店がたくさんある印象だけど、どうなんだろうか?経済の大部分を観光に重きを置いている国としては、観光客が求めているのはそういう素朴でポルトガルらしい味わいなんじゃないかな?

ただ、そんなカフェで出されているランチやスープになると、また別の話になるので、それはまた今度!ポルトガルのカフェの話になると、生活に根付きすぎていて、書きたいことがたくさんあるので、少しずつ綴っていこうと思う。




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