メガネ探す用のメガネ
これは2年前の今日の話。
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「おかあさーん」
と、私を呼ぶ子どもたちの声も 滅多に聞かなくなった昨今。
時折、本当にたまーに呼ばれることがある。
それも決まって、それぞれの部屋のベッドの上から。
「私を呼ぶんじゃなくて、自分から私のところに来たらいいじゃないっ💢」
と、内心イライラしながら部屋に向かうと…
2人ともベッドの上で呆然としながら こう私に言うのだ。
「メガネがない‼️」と。
そういう時は、大抵メガネをかけたまま寝てしまった時。
寝ているうちに無意識に外してしまったか、メガネを枕元に置いて寝てしまい、寝ているうちに どこかに吹っ飛ばしてしまったか。
なら、自分で探せばいいじゃん!
…と、普通は思うだろう。
しかし、この2人、
ちょっとやそっとの目の悪さではなく、
メガネは もはや彼らの『目』なのだ。 だから「目」がない彼らは、自分でメガネを探すことができない。
どのくらいの目の悪さかと言うと…
物を見る時に、3センチ近づけて見えるかどうか。
コンタクトをするようになる前は、
例えば温泉などに行った場合、
浴場内で私が娘の手を引いて歩き、
「次、階段あるよー」と声掛けをしながらじゃないと危なくて仕方がない…というレベル。
2人とも、目の悪さはお父さんに似ちゃったんだなぁ。
今朝、私を呼んだのは息子。
コンタクトを付けに洗面所に行くこともできず、ベッドの上に座ったまま。
なぜか、メガネはベッドの下にあった。
そんな息子に、私はこう言った。
「ねぇ、メガネ探す用のメガネを用意した方がいいんじゃない?」😝
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今春、社会人となり親元を離れた息子は、メガネ探す用のメガネと、メガネ探す用のメガネの予備まで用意して家を出た。
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2018年9月6日、AM3:07。 私は、突然の大きな揺れに布団から飛び起きた。 北海道胆振東部地震発生。
ブラックアウト(大規模停電)が日本で初めて起きた。私の住んでいた地域は、近くに大きな病院があったためか地震発生翌日の夕方には復旧した。
信号機も消え交通整理の人もいない中、車の切れ目を見計らいながら大きな道路を恐る恐る渡った。食料を探し求めて、開いているコンビニを探し回った。
「水道が止まる」とのデマも飛び、浴槽、ペットボトル、バケツや鍋などに水を溜めた。
家族で給水車に並んだ、1978年の宮城県沖地震のことが頭をよぎった。
幸い、私の住むエリアは水が止まることはなかったのだが、エレベーター付きのマンションの住人は大変だったらしい。停電によりエレベーターも止まり、給水タンクを持って階段を何往復もした、という話をあとから人づてに聞いた。
この"水が使えない"という状況は、コンタクトユーザーにとっては致命的だ。"水が使えない"ということは、自分の手もコンタクトも洗うことができないのだ。たとえ手元にコンタクトがあったとしても、装着することはできない。この時、改めてメガネの重要性を知ることになる。
おそらく、"メガネ探す用のメガネ"と"メガネ探す用のメガネの予備"まで用意した息子は、今後災害に遭ったとしても、とりあえず自分の「目」だけは確保できているはずだ。メガネを失くさない限り…恐ろしく視力が落ちない限り…。