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病院に行くタイミングっていつ?

こんにちは。
YUKOです。

最近、うちのクリニックも認知症の相談に来院される方が少しずつ増えています。

  1. 家族から指摘された。

  2. 職場の上司から病院受診を勧められた。

  3. 本人は納得していないが、家族が心配で連れてきた。

  4. 車の免許更新の認知検査で引っかかった。

特に、最近は4の認知検査を受けた結果で、受診される人の割合が増えています。

このように、検査を受ける機会があることで、自分も、家族も気づかなかった認知機能の低下を知ることができるのはとてもいいことだと思います。

これまでは、自分又は家族が気付いて相談に来られるパターンが多いのですが、そうなると割と進行してしまっているパターンが多いのが事実です。

「早めに受診して、早期治療をしよう」

こう考える方は、本当に僅かです。

認知症とひとくくりに言いますが、いくつかの種類に分けられます。  

  • アルツハイマー型認知症

  • レビー小体型認知症

  • 血管性認知症

  • 前頭側頭型認知症

これらが代表的な認知症の種類になります。

アルツハイマー型認知症

【原因】

アミロイドβの蓄積により、神経細胞が減少し脳の萎縮が進行する。

【症状】

記憶障害が徐々に進行し、日付や曜日がわからない。短期記憶が低下。

【進行の特徴】

緩やかに進行する。

レビー小体型認知症

【原因】

レビー小体というタンパクが脳に蓄積する。

【症状】

実際には存在しないものや人物に見えるという幻覚(幻視)の出現。
転びやすいなどのパーキンソン様症状が徐々に進行。
脳の萎縮が見られない症例あり。

【進行の特徴】

調子良し悪しの変化が大きい。

前頭側頭型認知症

【原因】

前頭葉と側頭葉の萎縮が徐々に進行する。

【症状】

同じ行動を繰返す。
自分勝手な行動をとる。
言葉の意味がわからなくなる、言葉が出なくなる。
感情の起伏が激しくなる。

【進行の特徴】

発症の年齢が50-60代と若い。

血管性認知症

【原因】

脳出血や脳梗塞によって、損傷を受けた脳の部位の機能が失われることで症状が現れる。

【症状】

損傷を受けた脳の部位によって症状が異なる。

【進行の特徴】

階段状に症状が進行する。
脳梗塞等の再発で、進行は1段ずつ変化する。

認知症の治療

薬による治療

アルツハイマー型認知症の薬物治療には、認知機能を増強して、中核症状を少しでも改善し病気の進行を遅らせる治療があります。

新規治療薬(レケンビ)も、テレビのニュース等で話題ですが、使用前に詳しい検査をして、対象となることを確認してからでないと使用できない様です。

血管性認知症の場合には、血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬を投与し、生活習慣病の予防と、必要であれば治療も行います。

レビー小体型認知症では、パーキンソン病の治療薬を使用することもあります。

薬の種類もいろいろあるので、病院に相談しながら患者さんの体に合ったものを処方してもらい継続していきましょう。

薬以外の治療

運動療法や作業療法、認知リハビリテーションなどが挙げられます。

生活習慣病も症状を悪化させる危険因子となるので、定期的な確認(特定健診など)を行い食事や運動なども取り入れて、生活スタイルの見直しをしていきましょう。

受診のタイミング

  1. 本人が気づいた時

  2. 家族が気付いた時

しばらく様子を見るというのも、決して悪くはないのですが、放置している間に進行して、受診のタイミングを失うよりは、1度行ってみよう位でもいいと思います。

一度でも受診すれば、定期的に通う切っ掛けにもなりますし、かかりつけ医として、いざという時に頼る場所があるというのは、本人も家族も安心だと思います。

病院は敷居が高いとお考えの方も多いと思います。

そんな方のご家族にお願いしたいのは…。

特に高齢のご夫婦の二人暮らしや、独居生活をされている親御さんがおられる場合は、その地域ごとに地域包括支援センターという組織がありますので、介護支援専門員さんと情報を共有しておくといいと思います。

高齢の方を定期的に訪問してくださる民生委員さんや、介護支援専門員さんとの情報共有をしておくと、いざという時連絡を取り合えて、助かるのではないでしょうか?

認知外来に受診する時に大切なこと

そしていざ受診というときにお願いしたいのは…。

患者さん本人だけの受診は避け、患者さん本人の普段の状況や、様子が分かる家族と受診してください。

物忘れで受診される方の多くは、自覚がなく、家族に勧められて1人で受診されます。

当然、自覚はないので、物忘れの情報不十分で治療に繋げられないのです。

うちのクリニックでも、物忘れで相談があった時は、家族の方と来ていただく様にご説明します。

でも、みなさん「息子も娘も忙しいから病院に付き合わせるのは申し訳ない」と言われます。

お気持ちはわかるのです。

私も働いているので、正直親といえど病院に付き添うのは色々と日程の調整が必要です。

それでもやはり、お一人で来られても十分な検査も治療も行えないという病院も少なくありません。

是非、認知外来を受診される時は、ご家族と一緒に来てくださいね。

認知外来ではどんなことをするの?

これは、病院ごとに異なると思いますが、うちのクリニックを例に挙げてみます。

  1. 受診受付:問診票の記入

  2. 看護師の予診:患者さんとご家族から状況の聴取

  3. 簡易検査:長谷川スケールなどの簡易検査

  4. 医師の診察

  5. 画像検査:MRIやCTなどの検査

  6. 認知検査:本人に行う聞き取り検査
        :   家族に記入してもらうもの

  7. 結果説明:画像検査などの説明、投薬治療の相談、追加検査の相談など

  8. 生活指導:看護師による処方薬の説明、介護認定の説明、生活指導など

こういった内容になるので、全てを行えば半日以上かかります。

時間に余裕を持って受診してくださいね。

あとがき

物忘れの受診のタイミングについてお話ししてみました。

実際に認知外来を受診されると、ここに書いてあるよりももっと詳しく丁寧に話を聞けると思います。

病院受診を躊躇う方も多いと思いますが、受診をすることで早期発見につながったり、安心することができたりと前向きに過ごせると思います。

是非、一歩踏み出してみてください。


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