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自分の「好き」を自覚しないと、結局どこにも行けない。

デザイン制作に本格的に取り組むようになってから、自分の「頭の中にある引き出し」をひっくり返してあーでもないこーでもないと探り回ることがとても多くなりました。

デザインを制作するにあたり、基本的な原理原則やお作法、技法などは当然あるけれど、何かをオリジナルで作るとなったときに最終的な落とし所を決めるためには、結局自分の目と感覚に頼るしかないんだなと感じます。

これでバランスはいい?
色はしっくりくる?
コンセプトの印象を感じる?

無限に可能性があるいろんな要素に対して、感覚的に「違う」「これだ」の判断ができないと、どれがいいのかずーっと選べなくて、もう永遠に完成させられないのです。

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今は仕事でデザインをやってるという話を誰かにすると、「すごいね〜、私はセンスとかないから・・・」みたいなコメントをいただくことがよくあります。いや、待って。私も別に、自分にセンスがあるとは思っていません。

例えば、学生時代プリ帳作ったり(懐かしい)、持ち物などをデコるのがやたらうまい子ってクラスに1人にはいましたよね?私の中で「センスがある人」って、そういうイメージなんです。セオリーを学んだとかじゃなくて、きっと「いいな、こういうの好きだな」と思った感覚を、自分なりに取り入れて、表現するのがすごくうまい人。

たぶんそういう人は、インテリアを整えたり料理の盛り付けをするのも、なんとなく上手に違いない。偏見かもしれないけどw

そして私自身は、そういうのは全然苦手でした。
「好き」を自由に表現しながらも全体のバランスをうまくまとめておしゃれに飾るセンスとか、ほんとにないな〜〜って思ってました。今もそういう意味での「センス」は全然自信ないですね…。いや、難しいですよね?

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まぁでも、デザインに関して言えば、テイストって色々あるじゃないですか。おしゃれなだけでなく。

最初はいろんな方向性のデザインにトライしていくものだと思いますが、少しずつ対応できる範囲が広がってくると、今度は自分の"持ち味"や"得意"みたいなものも知りたくなってくるんですよね。
好みとか一切関係ない制作でも、なんとなくその人の色が出る(出てしまう)のがセンスなのかもと思ったりします。

そこで、自分の得意なテイストは?好きな雰囲気は?と考えてみたところ・・・・・・

何も浮かびませんでした。

私は「こういう感じが好き」みたいなのはいっぱいあるほうだと思ってたんですが、こうやって真剣に考えてみると「全くわからない」。
自分でも驚きました。

いざ「それらを羅列せよ」と問われると、何も書けない。
とりあえず書き出してみても、それってただ今思いついたから書いただけでは?ほんとですか?みたいな。

つまりそれは、日頃から意識できてないってこと。
自分でも自分の感覚をよくわかっていないということ。

これはよくないなと思いました。
もちろん、デザインの「知識」として学ぶべきことがまだまだたくさんあるのはわかっています。
でも、知識を入れたところで、それらをしっかり栄養として吸収できるだけの土壌が備わっていないと、結局本当の意味での力にはならないのではないかと考えました。

だからもっとちゃんと、自分は「デザインを作って生きてる人」なんだという自覚を持って暮らそう!と意識を入れ替えました。

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アーティストとして仕事をしているわけではないので、自分の好みが全てではないのは大前提です。
それでも、自分が「良い」「美しい」「好き」と思う感覚さえも認識できていないようでは、どんな感覚も掴めないと思います。

だから、まずはもともと好きだった「いろんな作品を観ること」をしっかり大事にしていくことにしました。

何かを体験したら、できるだけ感想を書く。
何に心が動き、どう感じたのかをぼんやりさせたままやりすごさない。

これまでさまざまなデザイナーの方が書いた本を読みましたが、プロのデザイナーはみんな何かしら、自分なりの「センス」を磨くためのインプットの習慣があることは共通しています。

今までは「出勤している時間」と「オフ」がかなり明確な職業だったのもあり、外に出かけたり好きなものを楽しんだりすることを、つい「いや、こんな遊んでる場合じゃない」みたいに思ってたけど、もうそういう価値観の根っこから変えていかないといけないと痛感しました。

街に出ることを侮るなかれ。
外へ出て、いろんなことを見たり聞いたり、体験したり観察したりするのも大事な仕事のうちなのです。

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とはいえそこまで明確に意識しだしたのはここ1年くらいですが、そういう気持ちは少なからず昔からあったので、noteにもこれまでにいろいろな作品の感想を書いています。

その中でも、いいねはそんなについてないけどアクセスを見ると実はめちゃくちゃよく読まれている記事をいくつか貼っておきます。

(趣味全開のテンションで恐縮ですが、全部真面目に書いてます!w)

おそらくこれらの記事がよく読まれているのはその作品や企画自体の注目度が高いからなので、私が書いた感想だから読まれてるというわけではないとは思いますが。

ただ自分が過去に書いたnoteを読んでると、「いかにも私っぽい文章だな」と思います。これも、「自分らしさ」の種のひとつといえるのでしょう。

noteは文章だけど、生み出す元になる脳は同じなので、結局はこういう価値観や感覚が、あらゆるものづくりにエッセンスとして滲み出ていくのではないでしょうか。

いい作品を観たからといってすぐにいいデザインが作れるわけではないですが、誰かが作ったものにたくさん心を動かされて日々を過ごすことで、どこにでもあるテクニックを、知らず知らずの間にでも「自分のものにできる」土壌が、時間をかけて育っていくのではないかと思っています。

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