小説『衝撃の片想い』シンプル版【序章】①
【序章】国民的人気女優の決意①
「息苦しい。お酒の飲みすぎかストレスかわかんない」
女優の奥原ゆう子はベッドの上で胡坐になって、心臓の辺りに手を置き、ゆっくりと胸を擦った。パニック障害の発作だった。しばらく深呼吸をしていて、そのうちに横になり、浅い眠りに就いていた。
ゆう子は27歳。二年ほど前からパニック障害の発作が出るようになった。慕っていた父親が死んでから体調が悪くなってきていた。
――お父さんが死んだのは何年前だったかな
父のことを思い出すと、また息苦しくなり、忘れよ