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古代インドは宗教と王朝の特色が狙われる!

世界史入試!ここにフォーカス04【古代南・東南アジア世界】

アンコール・ワットの朝日(オンシーズンは冬!)

南インド世界には多くの宗教が誕生します。誕生の背景やその宗教の盛衰と変化、関わった王朝などの正誤問題が出題されます。宗教の詳細内容ではなく、なぜ生まれたのか、どう伝播したのか、各王朝はどう関わったのかを整理しておく必要があります。典型的な正誤問題を取り上げました。今回は、「仏教の伝播」「グプタ朝の業績」をしょうかい致します。

A:クシャーナ朝の時代以降の仏教文化について述べた以下の文のうち,誤りを含むものはどれか。
a インドのアジャンター石窟寺院の壁画に見られるグプタ様式は,法隆寺金堂の壁画にも影響を与えたとされる。
b ジャワ島の仏教遺跡であるボロブドゥールは,シャイレンドラ(シャイレーンドラ)朝期に建立された。
c 雲崗の石窟は北魏時代に造営が開始され,その仏像にはガンダーラ様式とグプタ様式の影響が見られる。
d カンボジアのアンコール=ワットは,スールヤヴァルマン2世によって仏教寺院として建立され,後にヒンドゥー教寺院に変えられた。

B:グプタ朝について述べた以下の文のうち,誤りを含むものはどれか。
a 王国の直轄領以外の地域では,地方の権力者に統治権を認める分権的な統治体制が行われた。
b サンスクリット語が公用語とされ,戯曲『シャクンタラー』などのサンスクリット文学が生まれた。
c 東晋の法顕は,チャンドラグプタ2世の代にグプタ朝を訪れ,さらにスリランカを訪れた後に帰国した。
d この時期,西北インドのインダス川流域にナーランダー僧院が建てられた。

早稲田大学・人間科学部より

A:典型的な間違い探し。dのアンコール=ワットは当初ヒンドゥー教寺院でしたが、現在は上座部仏教の寺院になっているので誤りです。ちなみに、アンコール=ワットに関する正誤では、真臘・クメール人・12世紀半ば、スールヤヴァルマン2世がキーワード。12世紀末に増築されたすぐ近くにあるアンコール=トムは城山(都)を意味していて、中央にあるバイヨン寺院は大乗仏教寺院として使用されていた。増築者はジャヤヴァルマン7世で隣国チャンパーと抗争していたことも出題されます。a:アジャンターはインド中西部にあるがグプタ朝の支配領内にはありません。近くにあるエローラ石窟は右から仏教・ヒンドゥー教・ジャイナ教の3つの石窟寺院があります。b:ボロブドールは大乗仏教遺跡。近くには、10世紀に古マタラム王国が建設したプランバナン寺院群(ヒンドゥー教)があります。c:平城の雲崗石窟と洛陽の竜門石北魏北魏ですが、敦煌の莫高窟は五胡時代から造営され、元の時代に完成したとされています。

B:dが誤り。正誤文においては「東西南北」は疑え!の原則です。ナーランダー僧院はガンジ流域流域(仏教の聖地周辺)です。もともと、西北インドといえば、インダス文明の発祥地でパンジャーブ地方付近とされていて、クシャーナ朝支配領域です。a:抽象的な正誤文なので正文であると確定するのは難しいですね。b:「インドのシャークスピア」と呼ばれたカーリダーサの作品。この時代にヒンドゥー教の聖典ともされる『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』もサンスクリット語で完成しています。c:古代インドに登場する有名な渡印僧は3人。グプタ朝期の法顕、ヴァルダナ朝期の玄奘、分裂期&ジャワのシュリーヴィジャヤ期の義浄が有名ですね。書籍、ルート、関係する王などは比較しておきましょう。


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