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取材記録:静岡県立大学学生有志団体「おつかいし隊」

今回は取材記録を書きます。

私はこれまでも時間を見つけて気になる社会人起業家の方に取材をしてきました。noteに書くのは今回が初めてになりますが, 今後は定期的に書いていこうと思います。

今回は静岡県立大学の学生有志団体「おつかいし隊」を取材しました。

当団体は「募金だけでなく消費で熱海を応援したい」という学生の想いから結成された団体です。周知のとおり熱海はCovid-19と先日の土砂災害で大きな被害を受けています。「お土産屋さん」も例外ではありません。

私がこの活動を知ったのはtwitterでした。そのうえで彼らを取材してみたいと思ったのは, 学生たちの「募金だけでなく消費で熱海を応援したい」という理念に惹かれたところも大きいですが, 彼らの活動が広報されることで学生がもっと純粋に被災地を支援できる社会になればいいなと感じたからです。

学生が自発的に何かしたい, と思うことは何も珍しくありませんが, いざ活動しようとしても諸々の制約があったり限界があったりして実現しないことがあると聞きます。

もっと純粋に想いを実行に移せるようになれば・・・

と, 常々思っていました。

そんな中出会ったのが「おつかいし隊」のみなさまでした。

学生の多くは県立大学での私の非常に面白くない講義を真面目に聞いてくれたうえに刺激的な意見をくれました。このように以前から交流はありましたが, 改めて「熱海に向き合った一人の人間」という視点で学生に取材をしました。 

取材で訴えたいこと

読者のみなさまに感じていただきたいのは「学生たちの活動を通じた苦悩」や「もっとこうすればよかったという後悔」,「活動を通じての達成感」です。

苦悩や後悔をシェアしていきませんか?そしてそれらを少しでも乗り越えた達成感を分かち合いませんか?

苦悩や後悔を知ることで今後被災地支援をしたいと思う学生にとっては大きな励みになると思います。

「こんな素敵な活動でも苦悩がやっぱり絶えないんだ」

「後悔する経験を先に知れてよかった」

「私も被災地支援で達成感を味わいたい」

社会人起業家の事例を学んでいるゼミで学生(静岡産業大学)がよくゼミ中にこんな意見を出してくれます。そして「私もやってみたい」と純粋に発言してくれます。

広報・・・って, こうあるべきだよなー, と。

よく思います。

プロジェクトの成功体験や活動意義ばかりがフォーカスされますが, それだけでは「私もやってみたい」とはならないかもしれません。

活動を通じて感じた苦悩, うまくできなかった後悔, でもそれを乗り越えて得た達成感, などが「活動したくても躊躇してきた学生への光」になるのではないでしょうか。

そんな光を提供できる広報であってほしいと思います。

今回の取材はまさに「おつかいし隊」のみなさまの苦悩・後悔・達成感を整理したモノです。文章はできる限り彼ら・彼女らの言葉そのものです(該当部分には, 以下「」をします)。

「本当に熱海を支援できているのか?」

数人の学生からこんな声が聞こえてきました。

他にも以下。

「今回協力してくれたお店以外にも支援を必要としているお店はいると思う」

「本当に支援が必要なお店に支援ができているのか」

「正直・・・協力してもらえるお店をもっと自分たちの足で見つけてみたかった」

このプロジェクトは何より熱海のお土産屋さんの支援(他にも地元の商工会議所の方等, 多くの方の支援があったものと推察します)がなくては始まりません。お店の選定に学生たちは尽力したようです。

とはいってもコロナ禍で活動に制約がかかる中では満足な調査はなかなかできなかったでしょう。

制約がある中で学生たちはよく頑張りました!と声をかけたくもなりましたが, 一方で「本当に支援が必要なお店に支援ができているか」という言葉を聞くと気軽に労うものでもないと思いました。

純粋に支援をしたいという気持ちが, もっとこうしたい!という苦悩や後悔を生むのですね。この学生の気持ち, 熱海の方へ届けー!

「おつかいし隊で活動しないと得られない経験ばかりだった」

学生の多くは観光のゼミ(経営情報学部)に所属しています。普段から地域活性化や観光に関する静岡の諸問題を真剣に検討しています。

ただ, 学生の中には経営情報学部以外の方やゼミに所属前の学年の方もいました。

経営情報学部以外の学生。

「やっていることが本当にタメになっているのか」

「注文数が全然増えない・・・」

などなど, 初めて会ったポンコツ教員(私)にも丁寧に話してくれました。

注文数・・・そうだよね。希望と現実はどうしても一致しないときがありますよね。

広報・宣伝の難しさ, でしょうか。

注文数は確かに今後の課題。もっと多くの人にこの活動を知ってもらえるといいね。でもこの取材中にまさに貴殿が梱包していた一つ一つのお土産が熱海の支援になっています。その一つ一つのお土産はお店の方が日々真剣に作られたものです。お店の人の気持ちまで込みで, 注文してくれた人に届くといいね。お疲れ様!!

おそらく経営情報学部の学生のメンバーが多い中で活動することに戸惑いや不安もあったと思いますが, 学生自身「アクションを起こせるようになった」と達成感を口にしてくれました。

その言葉・・・沁みました・・・

アクションを起こせるっていいねwith苦悩!with後悔!

段ボールのサイズ・・・これで大丈夫?

私が取材でお邪魔したときはお土産を梱包しているまさに作業中でした。

「段ボールのサイズ・・・お土産を見たわけじゃないんでわからない」

なるほど・・・こういう苦悩もあるのですね。

なんとかなる!とは人生における魔法の言葉かもしれませんが, なんせ梱包は丁寧な作業が求められます。なんとかならないときに何かあってはいけないですよね。

段ボールの発注で苦悩する・・・活動をした人ならではの貴重なご発言でした。

同じ学生は今後について「色々な挑戦をしてみたい」「色々な人を巻き込んでみたい」と笑顔で語ってくれました。

・・・はい、少なくとも私は巻き込まれていますよ、皆さんの熱意に。

「人を助けたい」

どうしてこの活動に参加しようと思いましたか?と取材中に全員に聞いて回りました。正直あまり好きな質問ではないんですね。

面接みたいで。すいませんでした…。しょーもないこと聞いて。

そんな中での一つの回答。

「人を助けたい」

純粋な気持ちです。

まさに「おつかいし隊」の理念ですね。

熱海を助けたい, 熱海の力になりたい, と思う人は日本中に多くいますよね。老若男女問わずです。

でも・・・どこか言うのが恥ずかしい言葉です。

でも学生は取材中照れた様子もなく, むしろ真剣に「人を助けたい(から今回の活動に参加した)」と答えてくれました。

きっとこの学生は今回の活動を通じて人を助けるためには?という点を自分で問い続けたのではないでしょうか。

禅問答かもしれませんが, 常に熱海で困っている人の顔が浮かんでいたのかもしれません。

この純粋な気持ち, 熱海の花火とともに光り輝きますように。

明日はきっといい日になる

「宅配伝票を取得するのに苦労した」

「なかなかお店の人との“つて”がなくて・・・」

「連絡のやり取りをするのが緊張する」

「電話をかける・・・それができたことが達成感」

「連絡が滞り, メンバーに怒らえた」

「まだまだ紹介できていないお店がある」

取材は実は録音せずに行いました。

録音に甘えていい加減に話を聞くことがないようにしようと思ったからです。

学生の言葉が改めて胸に染み渡ります。

自分が被災した経験を思い出しました。

私は小学2年生までは神戸に住んでいました。

阪神淡路大震災により大阪に引っ越すわけですが, その震災で友達を数人なくしました。

真冬にライフラインが1週間止まり, 近所のスーパーまで水をもらいに行った記憶があります。

ボランティア活動をしていた人が声をかけてくれました。

「明日は暖かくなるといいですね(記憶が曖昧ですが, その日は雨or雪だった気がします)」

そうか, 被災して改めて明日という言葉の重みに気づけました。

明日がある, というのはいいですね。

歌手の高橋優さんの歌にも「明日はきっといい日になる」というフレーズがありますが, 聞くたびに当時のボランティアの人を思い出します。

熱海で懸命に頑張っておられるお土産さん

それを支援したいと純粋に願う学生のみなさん

今回はありがとうございました!

明日は・・・きっといい日になると思います。

今回は取材をさせていただきありがとうございました。

そしてこの拙い取材記録を読んでくださったみなさま。

いつどの地域が被災地になるかわかりません。

そんな中で「被災地を支援したい」という人はいます。

「おつかいし隊」のように「消費で地域を支援したい」と考える人も出てくるでしょう。

支援はしたいけれども具体的に何をしたらいいのかわからないと嘆く人もいるかもしれません。そんな方のために今回の取材があります。

是非彼らの苦悩・後悔・達成感を少しでも共有してください。そして今度はあなたが得た苦悩・後悔・達成感を私に教えてください!!

明日をよりいい日に。その道のりをみんなで歩もう。



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