見出し画像

本当の意味知ってますか?「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」

 では、みこちゃんの妹みかちゃん(しつこい?)がお贈りする『アウトプット大全』読解術です!

 癒やしのアウトプット術『アウトプット大全』では、アウトプットをすることのメリットを簡潔に6つにまとめています。

「アウトプット」を行う6つのメリット

1.記憶に残る
→「アウトプット」した情報は、脳が「使われた情報」「重要な情報」と判断するため、記憶に残る。

2.行動が変わる
→「アウトプット」はすべて「運動・行動」を起こすことであるため、フィードバックをすることでより良い方向へと変えていける。

3.現実が変わる
→「アウトプット」により自分の行動が変わると、周囲の人にも様々な影響が現れるため、現実も変わる。

4.自己成長する
→インプット、「アウトプット」、フィードバックのサイクルを繰り返すことで確実に自己成長の階段を上がれる。

5.楽しい
→ポジティブな「アウトプット」により、周囲から評価され、自己成長を感じられると楽しくてモチベーションが上がる。

6.圧倒的な結果が出る
→「アウトプット」を続けることで、自己成長の階段を確実に上がり、現実への影響度がどんどん大きくなることで、圧倒的な結果に繋がる。


 どれも良いことばかりです!でも良いことイメージが強すぎて、「うんうん」と深くうなずきながら、かえって逆にこの6つのメリットの本当の意味、本当の凄さをつかみ損なっている可能性もあるのじゃないかな、と思えてしまいます。

「3.現実が変わる」あれ(゚0゚)通説と違う?

 この6つのメリットの中で最も特徴的なのは、3番の「現実が変わる」です。

 樺沢紫苑氏はこのように書いています。

自分の行動が変わると、周囲の人たちにさまざまな影響があらわれて、現実が変わります。仕事がより効率的になったり、人間関係が円滑になったり、現実世界がポジティブな方向に動き出します。

『アウトプット大全』P36

 これって、自己啓発書の定番で誰も疑っていないあのエリック・バーンの言葉と正反対のこと言ってませんか?周囲の人達に影響を与えて現実が変わる、と樺沢紫苑氏ははっきり言っています。

エリック・バーンのあの言葉をもう一度おさらいする

 ところが有名な言葉でこれがあります。

他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる

公認心理師の人がまず教科書で目にするエリック・バーン

 もしこの記事をご覧の方が、エリック・バーンの言葉も好きで、『アウトプット大全』も好きだ、という場合、正反対の考え方を同時に好きになっていることになるので、何だかおかしなことになっています。

 いったいどっちの言葉が正しいのでしょうか。

 私たちは、周囲の現実を変えることができるのでしょうか、それとも、現実なんて変えられないから自分を変えて楽になるのが正しいのでしょうか。

エリック・バーンの言葉は誤解されている


 肝心のエリック・バーンの言葉なんですが、これを曲解するとこうなります。

 過去も他人も変えることは出来ないのだから、私たちは目の前の現実に目をつぶり、自分の脳を騙して現実世界に反応しない練習をして、ストレスを感じないようにすれば良い。

 実際エリック・バーンのこの言葉をこう解釈して宣伝している自称専門家もいますが、本当にそんな事言っているのでしょうか。

 それは、エリック・バーンの本を実際に読んで見れば分かりますが、まったくそんなことは言っていません。

 エリック・バーンが言いたかったことは、過去にとらわれることから始めてはいけない、他人の評価軸に振り回されるところから始めてはいけない、ということです。

 言い換えれば、 過去も他人も変えることは出来ないのだから、私たちは目の前の現実に目をつぶり、自分の脳を騙して現実世界に反応しない練習をして、ストレスを感じないようにすれば良い。(エリック・バーンの偽解釈)とは言っていないということです。

 エリック・バーンが言ったのは、スタート時点で自分は過去にこんな失敗をしたからもうだめだ、とか、スタート時点でこの環境(例えばクソ上司や毒親)の中で結果を出せと言われても無理だ、というネガティブな態度、信念の否定です。
 そんな風に考えてはいけない、まず自分の現在と未来に目を向けるところから始めよう、というのがこの言葉のほんとうの意味です。

 あくまでもスタートの話なのでした。

 出発点が自分の現在、そして未来なのです。

 そうすると、自分が変わることによって他人や未来、つまり環境そのものが変わっていくということです。

 大切なのはこっちです。

 樺沢紫苑氏が言うように、エリック・バーンもまた、結果としてこのことを想定しています。

自分の行動が変わると、周囲の人たちにさまざまな影響があらわれて、現実が変わります。仕事がより効率的になったり、人間関係が円滑になったり、現実世界がポジティブな方向に動き出します。(樺沢紫苑)

 最初のスタートを他人と過去から始めるな、そうすれば、結果として他人と未来を変えることができるし、さらにあのつらい過去があったればこそ大切なことに気がつくことができた、という意味で過去の解釈すら変えることができる。

 これこそが「交流分析」の本質です。エリック・バーンを丁寧に正しく読めば、過去もネガティブ解釈を定義し直し、過去のあのつらい体験の意味をポジティブに変えられる(過去が変わる)というところがむしろ交流分析の本質なのです。

インプット偏重とは現実に目をつぶり脳を騙すこと

 このように整理すると、なぜ、インプットだけでなくアウトプットが大切なのか、そのほんとうの意味がわかります。

 インプットというのはつまり、自分の脳を騙して、自分に都合の良い脳内変換で物事を吸収することです。アウトプットしてそれを検証するということなしに、自分だけで満足している状態、これがインプットだけやってアウトプットをしない人です。

 これは完全に自己満足の妄想人間ですよね。そうならないために、私たちはアウトプットをして、自分の考えが正しいかったことを結果的に正しく自己認識します。

 それが独りよがりでない証拠には他人も「そうだね」と言ってくれて「俺も明日からちょっとそれやってみようかな」と現実が変わっていくわけです。もし、何も現実が変わらないのであれば、それはアウトプットしているつもりになって、インプットだけしていた妄想状態といいうことに他なりません。

 つまり、他人が変わらないアウトプットなどは、脳内妄想のインプットで止まっていることと同じだということになります。

まとめ

 まとめますと、アウトプットが大切だと言うことの本当の意味は、エリック・バーンも樺沢紫苑氏も言っていることは同じで、アウトプットの力によって周囲の人達に影響を与えて現実が変わるということなのでした。


 もし、現実が変わらないのだとすれば、それはインプットだけして自己満足して、他人にそれを評価してもらったり、という影響を与えることを最初から放棄している態度ですので、アウトプットはそもそもその人にはまったく必要ないことになります。

 アウトプットとはインプットした自分の世界を、もう一度現実世界に投げかけて自分の検証をしたり、現実を変えていくことです。

 インプットだけじゃだめだ、と言っている人が、変えられるのは自分だけで環境も他者も含んだ未来も変えられない、と考えているのは矛盾だらけのでたらめな状態だということになります。

 そして、それは樺沢紫苑氏もエリック・バーンも著作というアウトプットで読者に訴えたかったことではありません。

 だって、そもそも、樺沢紫苑氏もエリック・バーンも、現実に目をつぶり脳を騙すことが大切だと考えているのなら本なんて書くわけないじゃないですか。

 本を書くということは最大のアウトプットであり、そしてその本を読むということは、てアウトプットの切さ、その本が書かれた本当の動機、著者の思い=読者に(もっとより良い人生に)変わってほしい、という著者のアウトプットを受け止めることのはず。

 そうでなければ、一番最初のお釈迦さまのように、悟った後人に一切伝えることをやめよう、という決意が最も正しのです。仏教の初転法輪とは、本当に奥深い話であることが分かります。初転法輪はアウトプット大全だったのです。

 三段論法風にまとめればこんな感じ。

 本を書いて出版というアウトプットは、現実を変えようとする行為にほかなりません。そして、まさに現実を変えることを意図した本をよむことが読書です。だからこそ、正しく本を読むというインプットは再び現実を変える方向でアウトプットしなければならない。このロジックが最も大切です。

 この、現実を変える力の獲得=アウトプットの本当の意味を学ぶことが『アウトプット大全』というわけでした。


いいなと思ったら応援しよう!