見出し画像

故郷の歌が聴こえる

地下鉄の駅のホームの人の流れに
最近になってようやく慣れてきたんだ 

この街へ来て毎日あくせく流す汗の中
ほんの少しだけ混じる涙も一緒に拭う 

あんなに憧れた都会の暮らしの中で
心にしまっておいた故郷の歌口ずさむ 

忘れかけていた夢と
忘れていたはずの景色が今
固く閉じた瞼にそっと映ってる 

嗚呼どれだけ離れていても
あなたの家はここにあるから
僕の名を呼ぶ声が聞こえた気がした


神社の前を流れる河のほとりに
いつだって二人並んで座ってたよな 

わがままな僕はいつも怒らせて喧嘩して
次の日には仲直り大声で笑った 

調子外れで掠れた僕の吹く草笛に
優しく君が重ねる故郷の歌が聴こえる 

失くしかけていた夢と
失くしてしまったはずの景色がほら
固く閉じた心にそっと灯ってる 

嗚呼どれだけ離れていても
みんながずっとここで待ってるから
僕の名を呼ぶ声が聞こえた気がした