虹色の雲
潮風が通りを抜けて私の頬に届く
一輪の白い薔薇にあなたの笑顔が宿る
本当の名前も語れず切り離された暮らし
そこにあなたは優しい笑顔と暖かい手を伸ばした
あなたが直した下駄の鼻緒には
あなたの着物と同じ柄の布が結んであった
病で歪んだ私の指を摩る
あなたの事をお母さんと一度呼んでみ
たかった
少しだけ明かりのさした私達の暮らしも
長く続かずにあの日 嵐がやって来た
目の見えぬ者の手を引き私の友を背負い
何人も堤防へ届けたあなたは海にのまれて消えた
一晩中眠れずに凍える身を寄せて
黒くうねる波の向こうにあなたの姿探した
あれから何年経っても優しいその笑顔を
海の彼方に探している雲の向こうに探してる
虹色の雲が見えたならば心は風になって
あなたの元へ翔んでいける
そんな夢をみていた
虹色の雲が見えたならば心は風になって
あなたの元へ翔んでいける
そんな夢をみていた