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「オッサンの放物線」 #18オッサンの白昼夢

~連続しょうもな小説~

「オッサンの放物線」 第十八話 オッサンの白昼夢

〜この物語はフィクションであり、着地点は無い〜

2023年7月4日
あー。
女子高生なりたいわー。
女子高生に生まれ変わって。
青春しまくって。
ちょっと大人になったら。
網タイツ穿きたい。
ケケケ。

2023年7月5日
最近は、純愛モノの映画かラブコメのアニメばかり観ている。
元々そういうジャンルは好きだったが、拍車が掛かっている様だ。
そして行き着いたのが「君は放課後インソムニア」だ。
アニメでハマって、コミック揃えてしまった。
「オッサンこれでインソムニアです。」と言っても過言ではないくらい観まくっている。
毎晩、頭の上でピノ(犬)とアーニャン(蜘蛛男)がジャレあって揉みくちゃになっていてもお構い無しにベッドで読み返している。

2023年7月6日
エライものを発見してしまった。
「君は放課後インソムニア」実写版映画。
現在上映中。
しかも、主演は森七菜ちゃん。
テレビを見ないオッサンは最近その存在を知った。
映画「銀河鉄道の父」を観た時、宮沢賢治の妹役の女優さんの演技にとても惹かれたのだ。
そうか。あの女優さんが、いさきちゃん役なのか…。

最高のアニメが実写化された時、大抵はガッカリさせられるものだ。
しかし、彼女なら「曲伊咲」を演じきるのではないか…。
観たい。
そして今日は休みだ。
私は用事をほっぽらかして、家族の夕飯だけ置いて、出かけた。
「いざ出陣。」
18時からの一回上映。
客席は私以外は、女子高生の二人組のみ。
オッサン、一番前の席で首上方45度でかぶり付く。
50歳手前の大人って、こんなんやったっけ…。
ケケケ。

感想。
森七菜さん。
結婚して下さい。
それが無理やったら。
せめて。
名字呼び捨てにして下さい。
ケケケ。

良かった…。
素晴らしかった…。

2023年7月7日
森七菜ちゃんに夢中だ。
Wikipediaで調べたら…。
息子の一歳上だった。
それやったら、息子の方がまだ可能性あるのか…。
でもな。
アイツじゃアカンわ。
ケケケ。

歌も歌っているらしい。
なかなか良い声で、曲もポップで素晴らしい。
やはり演技力のある人は、歌にも色がある。
CD買おうかな。
初回限定盤にしようかな。
でも、ちょっと高いな。
でもな。
でもな。

「えらく入れ込んだわね。」
小雨パラつく中散歩していると、いつの間にかルカが隣を歩いていた。
「好きになると、トコトンなんで…。」
若干の軽蔑を含んだ目でルカが聞いた。
「どこが、そんなに良いの?」
「全部です。安全靴で蹴って欲しい。」
コンマ5秒でこんな返答ができる程に、私の変態ぶりは筋金入りだ。
「まあ…。お大事に。」
そう言い残して、ルカは消えてしまった。YouTubeで観た。
「bye bye myself 」
僕はいつの日か。
この曲を。
パクるだろう。
ケケケ。

明日はライブだ。
実はウチのバンドメンバー全員が体調不良で、この2ヶ月間休止状態だったのだ。
明日はソロで演奏する。
せっかくだから、バンドでは演奏しない曲をやるつもりなのだが…。
どうなることやら。

やっぱり限定盤にしようかな…。


つづく。