税理士事務所ではどんな仕事があるの?税理士事務所で働く人間が1年間の仕事内容について解説します。②月別で行う仕事について
税理士事務所で行っている1年の仕事の流れを解説しています。
このnoteは①の続きになります。まだの方は①を読んでください。
月ごとに行う仕事は?
4月
5月
日常業務のみになります。
6月 源泉所得税(納期の特例)の計算
上でも説明した源泉所得税ですが、納期の特例を選択した場合、源泉所得税の納付義務が年2回になります。
6月に計算した源泉所得税の納付期限は7月10日です。
1社1社の手間はそんなに多くないんですが、半年に1度のこのタイミングで顧問先のすべての給与計算をチェックします。
なので全体としてみると業務量は結構多いです。
7月 社会保険関係
社会保険料の定時決定 7月10日が期限です。
労働保険の申告 7月10日が期限です。
社会保険料というのは、4~6月までの給料を基に計算されます。
社会保険に関する書類の提出というのは社会保険労務士の独占業務です。
税理士は業務として請け負うことができません。(うちも提携しています)
計算して最後のチェックだけしてもらうような感じなので、実際の計算などは自分たちで行っています。事業内容も把握していますしね。
6月から源泉所得税の計算と一緒に取り掛かっているケースが多いです。
8月 税理士試験
業務とは関係ないですが、税理士試験は年に1回で毎年8月です。
この直前になると有給消化期間に入るので、いかに6月、7月の業務を早く終わらせるかで自分の使える時間も変わってきます。
9月
9月は日常的な業務のみですが、
社会保険料の金額が変わります。
7月に提出した定時決定に基づいた基本給の社会保険料で計算をしていきます。
給与計算や源泉所得税に影響がありますので少し注意が必要です。
10月
11月
日常業務のみです。
毎月資料を預かるわけではないけど、売り上げボリュームの多い企業なんかは、半年分の資料を回収したりします。入力や計算はどうしても手数がかかるので、空き時間に入力だけをしておくことで、決算期の作業がスムーズになります。
12月 源泉所得税の計算(納期の特例) 年末調整
6月に行った源泉所得税(納期の特例)の計算をもう一度行います。
12月に計算した源泉所得税の納付期限は翌年1月20日です。
源泉所得税を計算する段階で年末調整を行うことになるので、ほぼほぼ一緒の業務です。
給与所得者の1年間の所得税は、年末調整によって確定します。
年末調整をした結果、
1年間の所得税 < 毎月給料から引かれていた所得税
となればお金が戻ってきます。(還付)
1年間の所得税 > 毎月引かれていた所得税
となれば12月の給料から引かれることになります。
(追加でマイナスされるとなんか損した気分になりますよね・・・)
給料が増えたり減ったりしているのではなく、あくまでも本来もらうべきだったお金を精算しているだけです。
年末調整は還付になる人のほうが多いです。12月の給与は毎月の給与よりも多めにもらうという方が多いんじゃないでしょうか。
それは年末調整によって今まで納めていた税金が多くて、調整した結果今月納める税金が少なくて済むからなんです。
この時期から大体確定申告のことを考えて動き始めます。
必要な資料のアナウンスをしたり、あらかじめもらえそうな資料は回収しにいったり、空き時間を利用して個人の確定申告の準備を進めていきます。
1月 給与支払報告書・法定調書・償却資産申告書
〇給与支払報告書の作成
給与支払報告書とは会社が去年1年間でこれだけの給与を払いましたよ~というのを従業員の住んでいる市区町村ごとに提出する書類のことをいいます。自治体はこれらの書類を基に住民税の計算を行って住民税の金額を決定します。
給与支払報告書の提出期限は1月31日です。
年末調整が終わった段階で一緒に終わらせているケースが多いです。
〇法定調書合計表
法定調書合計表とは会社が去年1年間に支払った給与・報酬などの報告をする書類のことをいいます。提出先は税務署です。
法定調書の提出期限が1月31日です。
法定調書には、○○さんにいくら支払いましたよ~みたいな数字が載っています。
基本的に支払う側は嘘をつかないので、税務署はこれらの数字を基に支払われた金額と確定申告の金額を照らし合わせることになります。
確定申告してないとバレるのは、この法定調書が理由になっていることが多いです。
もし確定申告をせず、脱税しているケースがあったとします。
税務署は脱税を把握していないケースというのは少ないです。
把握した上でとれる税金が少ないからスルーされている。
寝かされたうえで数年分まとめてやってくる可能性もあります。
(利息や延滞税をがっつり持っていかれる)
税務署はある日突然やってくるので、怖いです。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
○償却資産申告書
償却資産とは、事業用の固定資産を所有している場合、減価償却が必要な資産をいいます。
所有している減価償却資産について、償却資産税を納める義務があります。
償却資産税は地方自治体が計算するので、会社はこれだけの資産がありますよ~という資産の保有状況を教える申告書を出します。
償却資産申告書の提出期限は1月31日です。
わたしが未経験で入った当初は、
こんな税金も納めなきゃいけないの?と衝撃を受けた記憶があります。
会社って法人税、消費税以外にもいろんな税金を納めているんです。
1月の仕事をなるはやで終わらせて、地獄の確定申告シーズンへ突入していきます。
2月、3月 所得税、贈与税の確定申告
法人税・消費税の申告と並んで、
税理士事務所のメインの仕事パート2です。
やってまいりましたメインの討伐クエスト!という感じ
この時期にはめちゃくちゃ働きますし、めちゃくちゃ残業します。
そしてめちゃくちゃ稼ぎます。(所長がね)
○所得税の確定申告
給与だけをもらっている人も、実は所得税を確定させる手続きをしています。それが年末調整です。
年末調整は会社がやってくれるのに対して、給与以外にも収入がある人、自分で事業をやっている人などは自分で所得税を計算して所得税を納める手続きをしなければなりません。
所得税の確定申告書の提出期限は3月15日です。
とにかく件数をこなさなければならないので、時間との勝負です。
所得税は全員新しい人の計算をするのかといわれるとそうでもありません。
法人の代表者でお客様は、個人の申告も同じ税理士事務所で請け負っているケースが多いです。
なので自分が法人税の計算をしている顧問先で確定申告が必要なお客様は、基本的に自分が担当になります。家族・親戚とかも申告が必要な人は、一緒に請け負ったりします。
2月と3月がめちゃくちゃ忙しくなる理由
12月決算の法人の法人税の申告期限が2月28日です。
12月は顧問先の件数が多い中、法人税と所得税の確定申告を同時並行で進めていかなければならないので忙しくなってしまうというわけです。
ここ数年、2月末は大体死にかけています。
○贈与税の確定申告
110万円以上の贈与を受けると贈与税がかかってきます。
相続税を下げるための対策として、贈与をしているケースが多いです。
あとは住宅を買うために親から資金援助をしてもらったとか、特例の適用を受けるためには、申告が必要になります。
通常500万円の贈与を両親から受けたとすると、贈与税が485,000円かかります。
これを住宅を買うための援助ですよという申告をすることで贈与税が0になります。
(買う住宅によっても適用が受けられるケース・受けられないケースなどがあります。)
贈与税の確定申告書の提出期限は3月15日です。
贈与税だけの申告というのはあまりないので、法人税や所得税の計算をしている顧問先の節税対策のために贈与をして、贈与税の申告をしているという感じです。
なので所得税の計算と一緒に、贈与もある人は一緒に計算をやっています。
まとめ
年間の業務をまとめてみました。
改めて書いて整理してみると、1年を通じてみると結構やることがありますね。
繁忙期は地獄ですが、繁忙期以外は基本的に定時で終わるので、いい面もあり、悪い面もありといった感じでしょうか。
終わりが見えている分頑張れるというのもありますしね。
転職活動をする際は繁忙期を避けて行うようにすると、成功確率もあがることでしょう。