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こんな時だからラーメン
「作れる」を発見する
都会に住んでいたら、なかなか気が付かないことがある。それは何か?
『いろんなものが身近にある=作る必要がない』という環境
ということは田舎に住むと、その逆ということである。人間の欲求というものは個人に差はあるもの、基本的にはすべての人間がなんらかの欲求を内に秘めているものである。
では私の欲求は何か?もうおわかりだろう。それは「ラーメン」だ。しかし田舎に、さらにはアメリカの田舎においしいラーメン屋など存在するはずもない。ならどうするか。
答えは簡単である。自分が作れるようになればいいのだ。
まずは「学ぶ」
何かを始めるには、それを学ばねばならない。20年前だったら、現実的なラーメンの学び方は料理本を読むかラーメン屋で修行する事しかなかっただろう。しかし今は2020年。ネット上に学びのヒントはいくらでもある。中でもYouTube等の料理動画はとても効率が良い。
まず作りたい種類のラーメンを決め、その動画を複数本ざっと目を通す。その後さらに他の種類のラーメンの動画もざっと目を通す。すると以下のことがわかってくる。
1.ラーメンの構成要素
2.各要素の作り方と各種レシピの共通点
3.調理の流れと所要時間
ここまでがおおまかに頭に入ったら次の段階へ進む。
作りたいラーメンを「計画」する
私の場合、ベーシックな家系ラーメンが食べたかったので、今回はそれをベースに書いていくとする。
ラーメンの構成要素は大きく分けると以下の4つ。
ちなみに、○○▲▲ラーメンと名のつくものをよく目にするが、基本的にスープとタレの組み合わせを表している(例:豚骨醤油、鶏塩など)。なお、タレの種類が省略されている場合もあるので、すべてに当てはまるわけではない(例:魚介豚骨つけ麺など)。
1)スープ
2)タレ
3)麺
4)トッピング類
1)家系ラーメンのスープ
ご存知な方も多いと思うが、元祖家系ラーメンと言われる吉村家のラーメンは豚骨醤油である。なので当然豚骨がベースになる。今回の材料は以下の通り。
(約2杯分)
・げんこつ(豚の足の付け根の骨):1本
・背ガラ(豚の背骨の所):15cmくらのもの1本
・モミジ(鶏の足):6個
・玉ねぎ:1個
・ネギの緑の部分:2本
・生姜:スライスしたものを5枚程度
調理は至ってシンプル。まずげんこつと背ガラを5分程度下茹でし、アクを軽く水洗いして圧力鍋に移す。残りの材料と水2Lを入れて圧力調理1時間。常圧に戻し30分煮込む。この時にげんこつの骨髄を箸等の先が尖ったものでスープに溶かす。最後にザルで濾して出来上がりである。
2)醤油ダレ
タレがラーメンの方向性を決める。基本的にメインの味に風味や塩味を加える形で作られている。家系ラーメンは特にスープの香りが強いので、タレはシンプル。
・醤油 :30cc
・岩塩 :10g
・水 :60cc
・昆布 :5センチくらい
こだわりにもよるが、冷蔵庫で数時間寝かせた後に火にかけてひと煮立ちさせて粗熱を取ったら出来上がり。非常にシンプル。
3)麺
ラーメンを自作する際、麺を自ら打つことで初めて「完璧な自作ラーメン」と言えるのかもしれないが、さすがに最初からそれは手がかかりすぎる。今のところ、麺は中華系スーパーの市販品を使うこととした。
4)トッピング
家系ラーメンの定義は、「○○家」という名前で吉村屋からののれん分け店であり、ラーメン自体は豚骨醤油であること以外は店によって多少アレンジされている。今回はスタンダードとされる以下のトッピングとした。
・チャーシュー
・ほうれん草
・のり
・きざみネギ
チャーシューのレシピはいくらでも見つかる。特に何を参考にするわけでもないが、豚バラ肉を醤油、みりん、酒、砂糖、生姜を合わせたタレで圧力調理20分で作成する。ほうれん草はサッと茹でて水分を絞るだけとした。
ラーメンを「仕上げる」
スープ、タレ、麺、トッピング類が用意できたらあとは仕上げるだけである。麺を茹でる鍋に湯を沸かし、別途スープを温めておく。トッピングはすぐに盛り付けできるよう、一杯分ずつ皿等に小分けしておく。
スープとタレの合わせる比率は10:1くらいがちょうど良い。どんぶりにタレをあらかじめ入れておき、そこにスープを加えてもいいし、麺が茹で上がるタイミングに合わせて温めたスープに味を確認しながらタレを足していっても問題はない。
どんぶりにラーメンスープを入れ、茹で上がった麺を加える。そしてトッピングをバランスよく並べたら完成である。
手作りのラーメンを「味わう」
アメリカに住んでもうすぐ5年になる。数回帰国したが、家系ラーメンを食べに行く機会は作れなかった。そんな生活の中で自作したラーメンは、まさに自分の中の「家系ラーメン」の定義に当てはまるものであった。
作る過程の中でも、スープを煮込む際の匂いが家系ラーメン屋のそれであったことには感動すら覚えた。麺の自作も視野に入れ、また他の種類のラーメンも作っていきたいと思う次第である。