11月9日(水)新作CD『泳ぐ』発売のお知らせ
昨年、急に、無性に「生ピアノ」が弾きたくなって、近所のスタジオを調べた。
時折使わせていただいているスタジオに設置されているのはわかっていたけれど、全部のスタジオに設置されているかわからなかったし、あらためて調べていると、なんと「グランドピアノ専門」のスタジオが近所にあった!
しかも、自転車で5分ほどの距離に!!
グランドピアノだけのスタジオなんて、聞いたことがなかったし、驚きと共に不思議なご縁も感じた。スタジオ一覧のページを見ていると、ひとつだけマンションの一室をスタジオにしている部屋があった。料金が変わらなかったので、その部屋を予約した。
玄関の鍵を開けていただき、部屋に案内していただく。スタジオスタッフの方が部屋を出られると、1人になった。
静寂……
グランドピアノと、わたしだけの、空間……
そして、
わたしは、
今までに経験したことのない「幸福感」を感じていた……
静寂がこれほどまでにおだやかさとしあわせをもたらすものだったとは、初めて知った。
それには、それ以降わたしのお氣に入りとなったグランドピアノさんの存在もあるだろう。
美しく、やさしく、そして深く、素朴なその音色に、引き込まれるように、わたしはピアノを弾いた。
我を忘れてピアノ世界の中にいた……
4歳から13歳まで習ったピアノ。
両親が音楽音痴であったから、こどもには音楽を習わせるという教育方針であったようで(弟も習った)“習わされた”という記憶しかないピアノ。
バスに乗り、個人教室をされていた先生に習いに行った。ものすごい豪邸で、グランドピアノがリビングに置いてあり、発表会などもそこで開催された。
先生はスパンコールのお洋服が多かったのを覚えている。そして伸びた爪がピアノの鍵盤に当たり「カチカチ」と鳴っていた。こども心に「なんで爪を伸ばしているのだろう」と思っていた。ピアノを弾くのはあまり好きではなかったが、1人でバスに乗り、この先生にピアノを習っている時間は好きだった。
「バイエル」から始まり、「ソナチネ」という教則本(あまり記憶がないが上級の初歩ぐらいの本であったと思う)まで弾いたのだから(今は弾けないと思う)それなりに真面目に習っていたのだろう。学校の合唱などでも何かの曲を弾いた記憶がある。
そういえば、先日弟と話していた時にピアノの話が出て「ゆっこちゃん結構難しいの弾いてたよ」と言われた。へぇ。本人記憶なし……
そしてわたしは、中学に入ると「吹奏楽部」に入部した。「オーボエ」という楽器を担当し、楽しくて、朝練も夕練も張り切って出て、もうすっかりピアノのことは忘れてしまったのだ。
9年も習っていたのに!
高校生になってからも、吹奏楽部に入部したが2年生の時に退部し、その後はバンド三昧! 最初はボーカルでバンド活動、高校3年生の文化祭からはドラムを叩くようになり、その後は10年ほど、いろんなバンドで、いろんなライブハウスで活動した。
27歳からは現在のギター弾き語りでの活動になった。そういえば、今思い出したが「ピアノで曲作りもいいかも」と思い、中古の電子ピアノを手に入れたことがあったが、少し弾いただけで置きっぱなしになっていたので、欲しいという友人に譲ってしまった。
そして数年してまたピアノで曲を作りたいとの思いが出てきて、友人にチラと話すと、折り畳み式のピアノをいただいた。しかしこれは、少ししか弾いていないのに壊れてしまい(一部の音が出なくなってしまった)、仕方なく手放した。その後、何度か中古のピアノを探してお店を回ったりしたが、結局買うことのないまま、またすっかりピアノのことは忘れてしまい、10年くらい経っただろうか。
2020年春。
ライブ、イベントの中止が相次ぎ、自宅で過ごす時間が増え、いやでも自分の人生を深く考えることとなった。この機会にヨガを深めたいと思い、冥想を毎朝するようになった。人ごとのようだが、わたしの心は少しずつだが確実に変化していった。
そして2021年。
「ピアノ」
という存在が再び浮上してきたのだ!
「弾きたい!」という強い衝動と共に。
人生とは本当に面白い。
そして宇宙のタイミングは完璧だ。
こんなにピアノが楽しかったなんて。
こんなに心が求めていたなんて。
わたしのおおきな喜びと共に、この大好きな友だち「グランドピアノ」さんの美しい音色をみなさんにお届けしたいと思いました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、実は「ゆっこらんどのゆた〜とラジオ」で、YouTube配信時代から「BGM」でかけています。
ピアノの音色と人の話し声はとても合うように感じています。
今作の発表に向けて、ご相談させていただき、試聴していただいた、Sさん、Kさん、Kさんのご主人様、本当にありがとうございました。
みなさまの憩いのひとときに、ほんのりお聞きいただけましたら最高のしあわせです!
感謝を込めて ゆっこらんど 拝
愛してる しあわせ ありがとう💕
追記として
母はわたしがお腹の中にいるとき「ショパン」を良く聴いていたそうだ。
大好きで、大尊敬しているショパン。時に優しく、時に激しく奏でられるその旋律は、わたしがそのような音楽を作りたいと願う、理想の音楽世界。
好きで聴いていたのか、“胎教”にいいからなど言われて聴いていたのか、今はもう知るすべもないが、どちらかというと「後者」のほうであったと思う。母がわたしの前でショパンを聴いている姿は見たことがなかったから。
わたしはもう横浜に住んでいたが、長い間家族4人で住んでいた家が人手に渡ることになり(父の会社が倒産してしまった関係で)「必要なものがあれば、取りに行って」と母に言われた。いくつかの思い出の品と「クラシックの名曲レコード集」の中の3つを持ち帰った。
そのレコードは今も手元にある。ん? さっき見てみたら、「ヨハン・シュトラウス」もあった! 大好きなワルツの拍子。美しい旋律。
ピアノの音色とショパンだけじゃない。私が「3拍子」が好きで3拍子の作曲が多いのはもしや? 胎教音楽が原点??
原点の原点を見つめ、とにかくあらためてピアノが大好きになったわたし。
今度こそ、ピアノを買う!
中古ではない。電子ピアノだけどいい音のするピアノを。
そしていつかはクラシックピアノを家に置きたい。