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60年という時を経て、記憶が温かく呼び戻る《オーダー水彩画 利用者インタビュー》

「愛おしいを、えがく」をコンセプトに、日常生活における小さな幸せを絵にしている水彩作家yukko。心に残したい感情を表現する、世界にひとつだけのオーダー水彩画「かぞくアート」を提供しています。

今回インタビューに応じていただいたのは、東京都在住のHさん。

「家族に愛情を注いだ母にプレゼントしたい」という思いでオーダー水彩画を依頼。60年という時を超え、若かりし頃のお母さまと幼少期のHさんの姿が水彩画で蘇りました。水彩画が届いて初めて気付いたHさんの気持ちとは?インタビューにて詳しくお聞きしました。(取材・文:堀 聡太)


朝から晩まで働きづめだった母に水彩画をプレゼント

──yukkoさんの水彩画を知ったきっかけを教えてください。
yukkoさんとは、かつて同じ会社に勤めていた同僚でした。時々、企画書などに手書きのイラストを描いていたんですよね。僕が会社を辞めた後もSNSでつながっていたので、水彩作家として活動しているyukkoさんのことは存じ上げていました。

──なぜyukkoさんに水彩画を依頼されたのでしょうか?
僕にとっても大切な存在である母だからこそ、「家族」というテーマに真剣に向き合っているyukkoさんに迷いなくお願いできましたね。

──Hさんが依頼したのは、若かりし頃のお母さまですね。
制作に際してyukkoさんにお渡しした写真は、約60年前のものです。一緒に写っている僕はまだ1歳だったそうです。

中学校を卒業して、母はすぐに働き始めました。父との結婚を機に上京し、文字通り、朝から晩まで働きづめの人生でした。周囲に頼れる人も少なかったようで、そんな中で子どもを育てるのは大変だったでしょう。当時の姿を水彩画に残し、母の人生を長く感じられるような絵を描いてほしいと思いました。

愛情を注いだ母の気持ちに初めて気付く

──写真は、どんなときに撮られたものなのでしょうか?
写真館で撮影された写真ですね。両親が僕の幼少期を記録したいと思ったそうです。でも撮影時、僕が大泣きしてしまったようで。撮影が難航したので、急遽、母が僕を抱っこしてくれたんです。「撮影予定がなかったので、普段着のままだったんだよ」と、後に母が教えてくれました。

60年前の写真。泣いてしまったHさんを慌てて抱っこしたお母さま

──そんなストーリーがあったんですね!本当に、Hさんに対するお母さまの愛情が伝わってきます。
当たり前のことですが、物心つく前の記憶というのは残っていません。ただ、どうしたって当時に戻ることはできませんよね。せめて若かった母の気持ちを少しでも想像したいと思い、yukkoさんに水彩画を依頼したという経緯もあります。

水彩画で描かれた母の表情を見て、「ああ、僕に愛情を注いでくれたんだなあ」と初めて気付くことができました。「こんなふうに愛されたんだな」と実感しましたね。自分自身の胸に刻みたいと思います。

──水彩画をプレゼントしたときのお母さまの反応について教えてください。
パッと明るい顔になったのが印象的でした。本人の第一声は「私はこんなに美人じゃない」って言ってましたけど(笑)。でも僕が、「『(yukkoさんに)美人に描いてね』ってお願いしたんだよ」と伝えると嬉しそうに笑っていました。

母にとって、自分の絵を描いてもらうことは人生で初めての体験です。部屋に飾ると、少し恥ずかしそうな顔もしていました。これを見て「元気になってくれよ」という気持ちで渡しました。

大泣きした後、お母さんに抱っこされて安心した表情の当時のHさん。
手はお母さまをぎゅっと握っている。
お母さまがHさんを抱き寄せた時のような、
温かさを感じる絵に

描くだけでなく、思いを込める水彩画

──水彩画をプレゼントした後、Hさんの生活は変わりましたか?
先ほど話した60年前のエピソードですが、残念ながら母は憶えていませんでした。なので僕から「お母さん、あのときは大変だったって言ってたよ」と、当時のことを説明したんですね。そういった大事な記憶を語り合えるようなきっかけをつくれました。

──yukkoさんの水彩画には、どんな特徴があると思いますか?
yukkoさんはただdrawする(描く)だけでなく、yukkoさん自身の思いを作品に込めているように感じました。それが間違いなく、彼女のクリエイティビティにつながっていますよね。

水彩画の制作過程で、僕から母に対する思いや写真のエピソードを共有しました。キャッチボールを重ねながら、yukkoさんが60年前の情景に思いを馳せ、様々な思いを汲み取ってくれたように思います。

モデルとなった写真の母は、慌てて撮ったこともり、満面の笑みではありませんでした。yukkoさんは他の写真も参考にしながら、母の自然な笑顔を描いてくれました。「僕がほしかった絵は、こういうことだったんだ」と、絵をもらってから気づきました。

──ありがとうございます。最後に、yukkoさんの「オーダー水彩画」をどんな方にお勧めしたいか教えてください。
人生の節目となるイベントで、ご家族や親族にプレゼントするのにぴったりです。結婚式や還暦のお祝いなどに喜ばれるでしょう。イベントが終わって、少し経った後に水彩画を振り返ると、そのときの記憶が温かく呼び戻されるような感覚を得られると思います。

今って、写真をイラストっぽく加工できるアプリも色々出ていますよね。クオリティもそこそこ高いのですが、だからこそ、yukkoさんのように手触り感のある作品が際立つと思います。僕も依頼してみて、気持ちをのせて描いていただけることの価値を実感することができました。

編集後記

母のプレゼントに、オーダー水彩画を依頼したHさん。

水彩画を喜んでもらっただけでなく、過去のエピソードを母子で振り返るきっかけになったと、Hさんは話してくれました。

過去に体験したことを忘れないように留めておくための記憶。しかし人間は、良くも悪くも忘れていく生き物なので、大切な記憶も薄れていくことがあるでしょう。

Hさんはyukkoさんの水彩画によって、「記憶が温かく呼び戻されるような感覚」になったといいます。そのことが、お母さまにとって何よりのプレゼントだったかもしれません。




サポートいただいたら息子とのお出かけに使いたいと思います、そしたらまた絵を描きたいと思います✨