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写真には残せなかった、娘とのかけがえのない瞬間が水彩画で蘇る。《オーダー水彩画 利用者インタビュー》
「愛おしいを、えがく」をコンセプトに、日常生活における小さな幸せを絵にしている水彩作家yukko。心に残したい感情を表現する、世界にひとつだけのオーダー水彩画「かぞくアート」を提供しています。
今回インタビューに応じていただいたのは、マレーシア在住で外資系メーカーに勤務している芋けんぴさん。
オーダー水彩画を注文したものの、完成のイメージは全く浮かんでいなかったそうです。描いたのは、ドライヤーをかけているときの母娘の姿。どこにでもあるような日常が、芋けんぴさんにとっての「お守り」に変わったそうです。(編集:堀 聡太)
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“映えない”日常も、水彩画で表現できるか
──yukkoさんの水彩画を知ったきっかけを教えてください。
きっかけはX(旧Twitter)です。タイムラインに流れてきたyukkoさんの作品を拝見し、干したてのお布団のような温かさと柔らかさ、陽射しでキラキラと光っている水面のような印象を抱きました。この感覚は今でも変わっていません。
──どうして水彩画を依頼しようと思ったんですか?
個人的な節目があり、「今までと違うことをやってみたい」と思ったからです。
期待と同じくらい不安も大きかったのですが、思い切って、好きな作家であるyukkoさんにオーダー水彩画を依頼してみました。
「愛おしい」と感じた記憶が蘇る
──yukkoさんが描いた絵は、芋けんぴさんがお子さんにドライヤーをかけている場面ですね。この場面を選んだ理由を教えてください。
もともと娘は、動き回ることが大好きな性格です。赤ちゃんの頃から、私に抱っこされるのがあまり好きではありませんでした。でも、ドライヤーをかけるときだけは、私にぎゅーっとしがみついてくれたんです。
個人的な話ですが、当時私は、何を考えるにも疲れてしまうような日々を過ごしていました。だから余計に、ドライヤーをかけているときが愛おしく、大好きな時間でした。
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──絵を描いてもらう際に、何か懸念はありませんでしたか?
実はyukkoさんが描いてくれた構図の写真はありませんでした。娘が立ち上がってドライヤーをかけている写真だけで、ちゃんと望むような水彩画を描いてくれるのか不安はありましたね。
──水彩画をご覧になったときの気持ちを教えてください。
恥ずかしながら、声をあげて泣いてしまいました。
他人からすれば、なんてことない日常のひとコマに過ぎません。でもその瞬間は私にとって、かけがえのないひとコマなんです。当時の情景がぶわ〜っと蘇ってくるような、そんな不思議な感覚がありました。
優しくなれるお守り
──yukkoさんのオーダー水彩画は、動画や写真、他の似顔絵などと比べて、どんな違いがあると思いますか?
記録として残すのであれば、写真や動画が最適です。
でもyukkoさんの絵は、写真の模写ではありません。私が感じていた気持ちやエピソードの思いを深く理解した上で、描いてくれているように感じます。写真や動画では絶対に表現できないでしょう。
絵を見れば、当時の状況をすぐに思い出します。少し驚いたのは、私のことを深く知らない方が絵を見たときに、私の当時の状況を共感してもらえているような感覚を持てることです。それはyukkoさんのイメージ力、表現力に尽きるのではないかと思いますね。
──依頼した水彩画は、芋けんぴさんにとってどんな存在ですか?
お守りです。
娘が成長するにつれ、ただ褒めるだけのコミュニケーションだけでは通用しなくなりました。どうしても、叱らなければならないことも出てきます。
叱ってしまった後で、少し感情的になりすぎてしまったかな……と思うこともあります。そんなときにyukkoさんの水彩画を見ると、この絵を依頼したときの気持ちも一緒に蘇ってきます。また明日から頑張ろう、優しくなろうと思えるような気がしますね。
──これからyukkoさんにはどんな作品を描いてほしいですか?
1歳のお誕生日や、20歳の成人の際に、子どもに贈れる絵本などがあったら素敵ですよね。 オーダー水彩画ではありませんが、その月が終わったらポストカードやポスターとして飾れるようなカレンダーも素敵だと思います。
あとは意外と年賀状のオーダーなども需要がありそうです。これからも色々な作品を楽しみにしています。
編集後記
なんであんな言葉をかけたんだろう……。成長した子どもとのコミュニケーションに難しさを感じる方も多いはず。
マレーシアに在住する芋けんぴさんも、子育てで試行錯誤を繰り返していました。yukkoさんの描いたオーダー水彩画を見ることで、「もっと優しくありたい」という気持ちが蘇ってくるそうです。
過去のエピソードは、当時感じていたこと。言葉にできなかった思いを、オーダー水彩画という形でyukkoさんに託してみてはいかがでしょうか?
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