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古森夕子
2020年1月15日 11:05
紅白の雫(一) 埃っぽい街で私は一人で歩いていた。すれ違う人々のカラフルな服装と甲高い笑い声がまるで南国の鳥のようで、静かに様子を楽しみながら冬空の下で私は白いため息をついた。今年はそれでも、暖かい。私は近所のスーパーで購入した安物の洋服に口紅だけをつけた顔に少し幼児体型の身体を持てあましながら、自分自身の姿のみすぼらしさに、背中を心持ち曲げる。余計に年を取った気分だ。そうなのだ、最近になって、