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音楽は人を傷つけない

初めてピアノに触れた5歳から大学受験までお世話になった私のピアノの先生は、とても敬虔なクリスチャンの女性だった。手が小さく、センスも才能も何もない私にとことん向き合い、ピアノの基礎と、音楽の楽しさと自由さと奥深さを教えてくれた。 先生はまさに命懸けで奏楽の奉仕をしていた。祈り、聖書を読み、様々な楽譜を引っ張り出してピアノの蓋の全面を使って広げまくる。その中から納得のいく賛美を選んでいくのだが、これがなかなか大変なのよといつも言っていた。 実際、この奏楽の準備や練習の後にレッ

    • おばあちゃん

      いくつかの壁を乗り越え、おばあちゃんはICUから一般病棟に移ることができた。 普通に話もできるし、病院のご飯も美味しく食べているそうだ。 毎晩母のところに泣きながら電話がかかってくる。 大抵は神様に感謝し過ぎて嬉しくて泣いているか、他人の苦しみに共感し過ぎて泣いている。 いま心配するの自分のことちゃうんかい、とつっこみたくなる所がおばあちゃんらしい。どんなに小さいことにも感激し過ぎるのも、いつものおばあちゃんの通常運転。 あまりにも元気そうなので、病院から病人がかけてきて

      • 祈り

        おばあちゃんが救急車で運ばれた。 お正月には集まれる親戚で集まって、美味しいお肉を食べていた。おばあちゃんは、年末お腹を壊してダウンしていた私に「あんたちゃんと食べてるか?元気だしや!ええもん食べたら元気なるで!」と、いつもの明るく元気な調子だった。 おばあちゃんのお父さん(私からするとひいおじいちゃん)は牧師で、その影響もありおばあちゃんは小さい頃、世界一の大宣教師になります!と宣言したほどのクリスチャンだ。結局宣教師にはならなかったけど、教会のため、牧師のため、本当に

        • 弱い時こそ強い

          人は弱い。 どんなに強そうに見える人も、弱さは人の数だけある。 嫉妬、不安、恐怖、妬み、傲慢、怠惰、依存、偽善、、、 単語を並べるだけで、醜さと切り離せない自分から目を逸らしたくなる。まだ気づいていない自分の弱さも、他人には見えているのではないかと想像し、また逃げたくなる。消えたくなる。 私は弱い。 でも、私は、弱い時こそ強い。 追い込まれると実力を発揮するとか、次のステップに進むチャンスとか、ギラギラした自己啓発本のような意味に捉えられるかもしれない。 あるいは潔く諦め