X-ServerでのDify運用は本当に安いのか?
はじめに
X-ServerでのDifyデプロイサービスが開始されました。
「安い!」と表現されることがありますが、本当に安いのか?を深ぼっていきたいと思います。
ちなみに私もX-ServerでDifyをデプロイしています(試してみたかったのでずっと使い続けるとは言い切れないが)
※ここでの比較としてローカルでのセルフホストは除外します
結論
使い方によるが初心者からするとX-Serverは気軽で安く運用できる。
これが結論です。
「使い方」という部分ですが、これが安くなるかを左右します。
ここではAWSとX-Serverで比較していきたいと思いますが、大前提としてAWSとX-Serverの金額に影響する大きな違いは従量課金制と定額制であることです。
この違いが安いか高いかの別れ目になってきます。
Difyセルフホストの仕様(制限)
Difyのインスタンスを実行するためのスペック要件は以下の通りです。
CPU: 2コア以上
RAM: 4GB以上
従い、他のプラットフォーム上で動かすにはこの要件を満たす必要があります(でも要件を下回っても動かそうと思えば動かせます=重いけど)
まずAWSでDifyをデプロイするときは様々なAWSサービスでデプロイできてしまうので、ここではよくDifyデプロイでの観測が多いと思っている「LightsailとEC2」で比較していきます。
Lightsailを一言でいうと「簡単に利用できるVPSサービス」です。
主に小規模なウェブサイトやアプリケーション向けに設計されており、EC2に比べて機能が限定されていますが、セットアップが簡単で、月額料金が予測しやすい点が特徴です。EC2を一言でいうと「クラウドのサーバーサービス(IaaS)」です。
多くのカスタマイズが可能で、さまざまなワークロードに対応できますが、その分、設定や管理に関する自由度と複雑さも増します。
このように、Lightsailはシンプルさを重視したVPSサービスで、EC2はより多機能で柔軟なクラウドサーバーのサービスです。
それではそれぞれの料金を見ていきます
LightSail
先程AWSは従量課金制といいましたが、Lightsailはホボ定額制です。
このホボというのは一定の利用範囲を超えると追加課金されます。
月額$24
CPU: 2
メモリ: 4 GiB
80 GB SSD ディスクが含まれる
4 TB データ転送が含まれる
※2CPU、2GBメモリ($12)ならLightsailの750h無料枠があるので、動作が重くてもいいのであればこちらも選択肢としてはあり
EC2
※オハイオでの金額です(オハイオやバージニアだと東京リージョンより1,2割ほど安くなります)
t4g.medium
CPU: 2
メモリ: 4 GiB
価格: USD 0.0336/h(1ヶ月24時間のフル稼働だと月額: USD 24.19)
m5.largeCPU: 2メモリ: 8 GiB価格: USD 0.096/h(一ヶ月24時間フル稼働だと月額: USD 69.12)
2.c7g.large
CPU: 2
メモリ: 4 GiB
価格: USD 0.0723/h(1ヶ月24時間のフル稼働だと月額: USD 52.06)
t4gとm5c7gだと2倍以上金額に違いがありますが、これはインスタンスファミリーの違いで金額に差が出てきます。
tは汎用タイプ、cはCPU最適化タイプなのですが、tシリーズはCPUバーストという機能があり、CPU利用のしきい値を超えると一定時間パフォーマンスが下がるという特性があります(バーストを制御したりするオプションもある)
ここらへんは今回の本質ではないので説明を省きますが、乱暴な表現で一言でいうと、tはテストや検証用、mやcは本番環境向きと思ってくれればいいです。
また、これ以外にもEC2には様々なインスタンスタイプとインスタンスファミリーがあります。
先ほど説明したのはEC2の単純なインスタンス利用料だけです。
EC2にはインスタンス以外にも課金ポイントがあります。
1. インスタンス使用料(先ほど説明した箇所)
概要: 起動しているEC2インスタンスの利用時間に応じて課金が発生します。
目安金額: 例えば、t4g.mediumの場合、1時間あたり約USD 0.0336が課金されます。
2. EBSストレージ
概要: EC2インスタンスにアタッチされたEBSボリューム(ディスク)の容量に対して課金が発生します。
目安金額: GP3(汎用SSD)の場合、1GBあたり月額約USD 0.08です。例えば、100GBのストレージを使用する場合、月額約USD 8.00が課金されます。
3. VPCデータ転送
概要: インターネットへのアウトバウンドトラフィック(データの送信)に対して課金が発生します。
目安金額: 最初の1GBの転送は無料ですが、それ以降は1GBあたり約USD 0.09の料金がかかります。例えば、10GBのデータを転送すると、約USD 0.90が課金されます。
4. Elastic IP (EIP)の料金
IPv4 EIPの新料金体系(2024年2月1日より適用)
目安金額: 1 IPアドレスあたり0.005 USD/時間の料金が課金されます。1ヶ月フル稼働させると、約USD 3.60が課金されます。
IPv6アドレスの料金
目安金額: 現在、IPv6アドレスの使用に対して追加料金は発生しません。
ここまで書くとかなり複雑な料金体系に見えますね、、、
ちなみに無料枠で使える範囲もあります。
EBSの30GBとVPCの1GB転送量であれば無料枠でおさまるはずです(ようは検証などなら無料でおさまる)
EC2<Lightsailの方が安いのか?
ここまでを見ると「ECよりLightsailの方が安い」と思う人が多いのではないでしょうか?
実はそうでもないのです。
Lightsailは契約すると$24は発生しますがEC2は従量課金制です。
何がいいたいかというと、EC2を使わないときに停止しておけばインスタンス料金は発生しません。
ですが、インスタンスを停止していても課金が発生するサービスもあります
EBS
EIP
これらはインスタンスを停止していても課金が発生していしまいますが、EBSは30GBまでなら無料です。
ですがEIPはインスタンスを停止していてもUSD 0.005/hが発生します。
これを防ぐにはEIPをリリースする必要があります。
まとめ
24時間稼働の場合
X-Server:2,200円:4CPU、4メモリ
Lightsail:3,300円($24):2vCPU、4メモリ
EC2:3,300円(t4g.medium:約$24):2vCPU、4メモリ
※1ドル=150円
1日2時間稼働を一ヶ月の場合(60時間利用)
X-Server:2,200円
Lightsail:3,300円($24)
EC2:600円(t4g.medium:約$2)※EIPをリリース&EBSは30GBの場合&転送量1GB内
なるべく無料枠で使いたい場合
2CPU、2GBメモリ($12)ならLightsailの750h無料枠がありますが、Difyの要件を満たしていないのと動作は重くなりがちです。
なので、EC2はインスタンスを使うときだけ起動して使わないときは停止すれば安く使えるのでX-Serverより結果的に安くなります。
ですが、そんなことは考えたくないし運用も面倒くさいしずっと起動させておきたいなら「X-Server」がいいと思います。
EC2に関して言うと冒頭書いた通り、金額以外のメリットがあります。
EC2はカスタマイズ性が高いこと、さらにAWS内のサービスとも色々組み合わせて使えます(例えば認証、証明書、ログやモニタリングなどなど)
またAWSに限らず3大メガクラウドは様々な第三者機関の認証がされているので信頼も高いです。
ISMAPにもメガクラウドは早くから掲載されていました。
補足
AWSには3つの無料枠があるので説明しておきます。
これらを有効活用することでコストを抑えてAWSサービスが利用できます。
さらに「builders.flash」の毎月のクイズに正解すると300名に$25分のAWSクレジットが当たるので、これも有効活用するのをおすすめします。
12ヶ月間無料トライアル
12ヶ月間無料トライアルは、AWSの新規顧客が対象で、サインアップした日から1年間、特定のサービスを無料で利用できます。例えば、EC2インスタンスを月750時間まで無料で利用可能です。
常に無料のサービス
常に無料のサービスは、特定の使用制限内で無期限に無料で利用できるオファーです。例えば、Lambdaの100万リクエスト/月やDynamoDBの25GBのストレージなどが含まれます。
短期無料トライアル
短期無料トライアルは、特定のサービスを有効にした日から開始される短期間の試用版です。例えば、Amazon SageMakerの2ヶ月間無料トライアルなどがあります。
それではよいDifyライフを!