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五行論を紐解いてみる 陰陽五行論#7

こんにちは、ゆっきーです。

#5にて一極二元論と陰陽論についてお話しさせていただきました。
世の中の物事には陰と陽という二つの性質があって、それらは対立するんじゃなくて、むしろ支え合っている。

今日は「五行論」というものについてお話ししていきたいと思います。

実は五行論って、私たちの身の回りにあるものを理解するための、とても自然的な考え方です。

例えば、一年の移り変わり

春の柔らかな芽吹き、
夏の燦々と照る太陽、
秋の澄んだ空気、
冬の静けさ。それに、季節と季節の間にある独特の雰囲気。

こういった豊かな変化って、単純に「暑い季節」「寒い季節」の陰陽二つだけでは表現しきれないですよね。

そんな風に、世界のより繊細な姿を理解するために生まれたのが、五行論なんです。

五行論の成り立ち

さて、この五行論、いつ頃から始まったのか、ちょっと見ていきましょうか。

今から約2300年前の中国。この時代の人々って、本当によく自然を観察していました。春になると木々が芽吹き、夏には太陽が燦々と照り、土地が作物を育て、秋には金属が採取され、冬には水が凍る―。

そんな自然界の変化を見ているうちに、「もしかして、世の中のすべては『木・火・土・金・水』という五つの性質で理解できるんじゃないかな」って考えるようになったみたいです。

特に面白いのが、この考え方が自然界の観察だけにとどまらなかったところです。齊(せい)という国の鄒衍(すうえん)という人は、「この法則って、人間社会にも当てはまるんじゃないかな」って考えました。

それからというもの、五行論は色んな分野に広がっていきます。
お医者さんは人間の体の状態を五行で理解しようとしたり、
建築家は建物の配置を五行の調和で考えたり。
音楽、食文化、工芸...様々な場面で、この考え方が取り入れられていったんです。

「なんでそんなに広まったんだろう?」って思いますよね。

それはきっと、五行論が机上の空論じゃなくて、実際に目の前で起きている自然の変化をうまく説明できた考え方だったからなんだと思います。

では、その五行論の具体的な中身について、もう少し詳しく見ていきましょうか。

五行とは何か

「木・火・土・金・水」という五つの要素。これが五行論の基本になります。

「木とか火とかって、要するに自然の物を表しているんだ」

そう思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

これらは単なるモノではなく、世の中のあらゆる現象に含まれる「性質」や「はたらき」を表していきます。

具体的に見てみると

まずは「木」。春の若木を想像してみてください。すくすくと上に伸びていく、その姿。「木」の性質って、まさにそんな感じ。
新しいことが始まり、成長していくエネルギー。何かを始めようとするときのワクワク感、そんなものを表しています。

次は「火」。キャンプファイヤーの炎を思い浮かべてみてください。パチパチと燃え上がり、周りを明るく照らす。情熱的で、活発で、エネルギッシュな性質です。

「土」は、大地のような性質。すべてを受け入れ、育んでいく。私たちの生活の土台となる、そんな安定感のある性質ですね。

「金」は、ピカッと光る金属のような性質。物事をクリアにして、本質を見極めていく。秋の澄んだ空気のような、すがすがしさを感じませんか?

最後の「水」は、水が低いところに流れていくように、柔軟に状況に適応する性質。静かだけど、大きな力を秘めています。

そして五行論の面白いところは、これら五つの要素が互いにどう関係しているか、というところにもあります。

その関係性には、大きく分けて二つのパターンがあります。

一つは「相生(そうしょう)」。要素同士が育み合う関係です。 例えば、木があるから火が燃える。火が燃えた後には灰となって土になる。土からは金属が採れる。金属が冷えると水滴となる。そして水は木を育てる...。

もう一つは「相剋(そうこく)」。お互いを抑制し合う関係です。でもこれ、決して悪いことではありません。むしろ、この抑制があることで全体のバランスが保たれているんです。

ちょうど、私たちの人間関係にも似ていますよね。時には励まし合い、時には互いに牽制し合う。そういった関係性があってこそ、バランスの取れた関係が築けるものです。

陰陽論と五行論の関係

さて、ここで少し立ち止まって考えてみましょう。#5の陰陽論と、今回の五行論。この二つって、どんな関係にあるんでしょうか?

実は、とてもシンプルな例で説明できるんです。

一日の移り変わりを想像してみてください。
陰陽論で見ると、昼(陽)と夜(陰)の変化ですよね。でも実際には、もっと豊かな表情があります。
朝日が昇る時間、お昼の強い日差し、夕暮れ時の柔らかな光、月明かりの静けさ、深夜の闇...。

そう、陰陽論が「大きな流れ」を教えてくれるとすれば、五行論は「その間にある様々な表情」を教えてくれるんです。

だからこそ、東洋の考え方では、この二つの理論はいつもセットで語られてきました。だから陰陽五行といいます。

どちらも私たちの"道しるべ"として、大切な役割を果たしてくれるんです。

まとめ:五行を学ぶ意味

ここまで五行論についてお話ししてきましたが、
「面白いけど、結局これって今の私たちに何の意味があるの?」
って思われるかもしれませんね。

例えばこう考えてみてはどうでしょう。

現代って、何でも白黒はっきりさせたがる傾向がありませんか?
「これが正解!」「これは間違い!」って。
でも実際の人生って、そんなにクッキリとは割り切れないですよね。

五行論が教えてくれるのは、まさにその「グラデーション」の部分です。
物事は循環していて、それぞれが関係し合っている。今うまくいかないことも、実は次の段階に進むために必要な過程かもしれない。

私自身、この考え方に出会って、随分と気持ちが楽になりました。
完璧を求めすぎず、でも投げ出すわけでもなく。そんなバランスの取れた考え方ができるようになったような気がします。

2300年以上前に生まれたこの考え方。でも、現代を生きる私たちの心にも、確かに響くものがありますよね。

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