class 2:レポート作成入門Tips
カバー画像:《Etudes de figures d'hommes ; de femmes ; et d'enfant》
ウジェーヌ・ドラクロワ、ルーブル美術館所蔵
4月20日、書留で学生証が届く。
リサーチやレポート作成の入門編リソース
ムサビ通信にも「レポート入門」のような科目もある。3年次編入等で前掲科目をとっていないが久々にレポートに向き合う通信生向けTipsをまとめておく。自分の備忘録でもある。
なお、本件は芸術学関連分野のメモなので、分野によってそれぞれの王道リソースがあるだろうし、あるいは、自分も我流でやっているため、鵜呑みにしてどうにかなっても当然責任は負えない。ベストプラクティスと自認しているわけではない、ということです。
このメモは有料設定をしていますが、有料部分にはさほど有用なことを書いていません。おひねりくらいの気持ちで置いてみました。
『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』
2022年12月に出て評判の高い一冊。「何らかの媒体に書かれていること」を対象に調査するなら役に立つ。そもそも図書館(なりメディアセンターなり)で本を探すにはどうするの〜? という方は、まずは住んでいる自治体の図書館を有効活用出来るように自分で練習しよう。
レファレンス協同データベース
このレファレンス・チップスをざっくり把握したうえで、レファ協で検索すると知りたいことの手がかりの見つけ方(と本当に知りたいことの差分)実例がよく分かるだろう。文献情報が明記されているのも素晴らしい。
文献プラットフォーム
図書館に行く時間がない(急いでいる)。どうも図書が見つからない。そんなときはWebで見られる論文活用。先達の知の一部を拝借し、あらたな知を創造するのです……。
そんな意味で、急いでいる・無料が良い場合はJ-STAGEが鉄板。
王道はもちろんCiNiiだが、急いでいるときに活用できない(すぐにアクセスできない)場面もある。
CiNiiを使いこなすには多少の習熟がいる気もするが、まぁそんなに小難しいWebサイトじゃない。色々検索してみて慣れましょう。
なお、機関レポジトリに直結していたりDOIとついていなかったりする、「Web Site」のタグしかない場合はNDLを活用するしかない。まぁ、学士号をとるのであればNDLの登録くらいしても良いと思うので、入学・編入してまずやることはNDLのサインアップということにしよう。
J-STAGEから紹介しましたが、あくまで基本はCiNiiからという認識。CiNiiでアタリを付けつつ、自身の問いに対する源泉を突き止める、それがリサーチの一歩。きっと。
国立国会図書館(NDL)
先述のNDLは、国立国会図書館のこと。国立国会図書館の東京本館は学生のときに数回行ったことがあるが、あれから10年ちょっと、ずいぶん便利になったなぁという印象。
CiNiiとNDLの違いは、CiNiiは記事単位かつ論文・文献全般がインデックスとされて検索できる一方、NDLは図書館なので図書単位のインデックスで検索できる、という点。「調査対象Xを書いている記事・論文があるか」がCiNii、「調査対象Xに関する図書・雑誌があるか」がNDL。なので、CiNiiで記事・論文がそもそもあるのかを検索するほうが手広く探せるが、どのようにその記事・論文にアクセスできるかは必ずしも一意に定まるものではない。NDLは、図書・雑誌が実在しており少なくとも国立国会図書館に登録されていることが確かなので、多少安心できる。
NDLサーチ登録図書館のうち、国立国会図書館(東京本館または関西館)しか持っていない場合(または送信可能な図書館の中に自分が行ける範囲のものが存在していない場合)もしばしば。そんなときには複写依頼をする。このときに、サインアップが必要なので、入学してまずサインアップしたらよいと先述したのだった。
まるまる一冊読みたいわけではなく、この記事だけ読みたい! という時に大変便利。
NDLデジコレ
NDLデジコレではログインなしで見られる資料も一部存在する。
著作権の切れている著作物等がデジコレで閲覧できる資料に該当。郵送で取り寄せたり、図書館で閲覧したりしなくてよいものもある。
注意点としては、作品鑑賞においてはディスプレイの輝度や解像度、大きさに依存する部分が大きいので、せめて大型本を図書館で入手するほうが明らかに得るものがある、というところ。ざっくり確認にはよいが、鑑賞にはやはり不適な場合もある。文献であればさほど問題ない。書き込みたい人はプリントアウトするなりタブレットにいれてどうにかするなり。
美術館や博物館のWebサイトデジタルコレクション
何らかの著名な造形作品は、何らかの館で収蔵されていることがほとんど。寺社所蔵でなければ、Webサイトで閲覧することも出来る。ただ、画像の質はまちまちなので、鑑賞というより図版活用になりがちだけれど……。作品の解説もあるので、美術館・博物館を決めてコレクションを確認するほうがおすすめ。
Webならルーヴル美術館にだってすぐ行ける。英語くらいなら著名な美術館で対応しているので、現地美術館のWebサイトもおすすめ。
日本語でGoogle検索しても出てこないであろうことが難点だが、英語も適当に使えるようになっておくのがよかろう。
Google Arts & Culture
検索して記事を探すには、まぁ……という感じのGoogleだが、Arts & CultureはBooks・Scholar並によさげ。
実際の作品の鑑賞に勝るとまで一概に言えないが、結構高画質なので、参照してみるのもよさそう。
フリー校正ツール
Google検索すると、文章校正ツールも見つけられる。無料であれば精度は多少犠牲になると思うが、レポートを書き上げたあとに使うと、多少客観的に確認できるのでおすすめ。自分の目で見ても見落とすことがあるのが、文章。
まとめ
スタンスと雑記部分は、おひねりをいただけると読めます(読まなくても何も困らないです)。
リソース
リサーチの前に読んでおく
『調べる技術:国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』
リサーチの一歩目としてアクセスする
レファレンス協同データベース
CiNii
論文や記事にアクセスする
国立国会図書館(NDL)サーチ、NDLデジコレ
J-STAGE
地元の図書館
作品をデジタルで閲覧する
美術館や博物館の公式Webサイト
Google Arts & Culture
レポートを書いたあとに
フリー校正ツールの活用
スタンスと雑記
何にせよ、図書もWebも信頼に値するレファレンスになるのか、というリテラシーが必要。それを身につければ何とかなるよねという話なので、上記のリソースにこだわる必要があるわけでない。
地元図書館をフル活用できるようにするために、NDLとかも使いこなす、と換言すると私の言いたいことかもしれない。
ちなみに、大学図書館をリソースにいれていないのは、私が鷹の台または三田まで行くのが面倒だからで、アクセスしやすい大学図書館が近辺にある人はそれを地元図書館と併用すると幸せになります。
積んで♡