詩 あなたに
あなたに向けて最後の詩を書く
あなたのいないこれからの世界で
あなたのいないここからの時間で
ぽつんと見たことも
ぱりっと聞いたことも
ぴかりと触ったことも
ぺろんと嗅いだことも
ぷくっと味わうことも
ぜんぶ詩にはなりきれずに
ぜんぶ言葉のままであなたを探す
寂しいなあ
あなたのいた世界を向いて
あなたの描いた時間を向いて
ぽつんと
ぱりっと
ぴかりと
ぺろんと
ぷくっと
どこまでも青いままの空を知ってる
寂しいなあ
あなたの描いた言葉が私を掬って
その詩をなんでか見ていた
孤独なんか忘れてたんです私
寂しくなるなあ
2024.11.19
雪屋双喜