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共感できるたったひとりにであえたら 読書記録  森に眠る魚


双葉文庫


読書記録 森に眠る魚 

角田光代さん、
八日目の蝉は、
映画で見たかもしれない。その原作者。



この題名をみて自分を思いました。

かつて職場で仕事は懸命に頑張っているのにどんどん孤立していく自分。



このお話は、幼稚園の年中組の保護者の交友関係を中心に進んでいく。

◎あらすじ
東京の都心部に住む、幼稚園年中組の母。

瞳、容子、千花

そして0歳児の母、繭子。

娘を私立の小学校に通わせている、かおり

かおりの住むマンションに越してきたのが繭子だった。

繭子は気さくな性格で年齢のちがう幼稚園のママ友たちや同じマンションのかおりと仲良くなり、

かおりの友人の編集者から「小学校受験について」のインタビューをみんなで受けることで関係が微妙に変化していく。

新緑の森


◎気になった箇所
✳︎36ページ(瞳と容子)
瞳はのびのびとした子育てをしたかった。光太郎が何かをしたいと自分からいいだすまで、無理に始めさせるつもりもなかった。

しかし彼女たち(公園で知り合った母親たち)と顔を合わせる機会が減ったら減ったで、やっぱり習い事は常識なのだろうか、と不安になる。中略

(容子は)
「うちは、そういうの(習い事とか)やらない主義なんです。この子が何かしたいって言えばやらせるし、そういうのがないうちは、毎日楽しく過ごせればいいと思っているんで」

ああ、私もです!私もそう思っているんです!と、瞳は大声で言いたい気分だった。


✳︎✳︎ 75ページ(容子の心のうち)
気の合わない人やどうしても好きになれない人、あこがれてしまう人嫉妬してしまう人、そんな大勢ので生きているうち、そんなことは私には関係ないと割り切ることができなくなってしまうことが、こわかった。

手に入らないものをほしがったり、ほしくもないものに焦がれたり、そういうこと、ねえ、瞳さんにも覚えがある? 
心の中で、容子は必死に話しかけながら、

ヒメヒオウギ



◎感想
✳︎印象、誰かに初めて会った時、人は何を思うだろうか。
この歳になると、顔の作りの美しさもさることながら、身のこなしとか応答の仕方、視線の合わせ方などで、「何か感じがいいな」とか、
「ちょっと自分とは合わないな人かもな」
と、思うだろう。
でも、第一印象が外れることもある。

ふとしたことがきっけで、好きなことが同じとか、価値観の似ている人に出会うことがある。

そんな時は、その場で私もと共感のメッセージを送ってしまう方がいいかもしれない。

コミュニケーションは瞬間勝負。

みんな自分の考えに自信があるわけではないし、でも感覚的にいい、ちょっと違うはあるので、自分に共感してくれる人がいたら、心強い。
まして、ここ「のびのび育てたい」は母親としての「教育観」の根幹とも言えるところだ。

✳︎✳︎
「朱に交われば赤くなる」

私は時々、自分の母、
(大正生まれで戦争をくぐりぬけ、物のない時代をいきてきた)に言われたことばを思い出す。

「朱に交われば赤くなる」

とは、自分がどんな集団に属して、どんな考えを持った人たちと交流するか良く考えてから行動しないと、少しずつ影響を受けて気がついたら、後悔することがある、などの意味あいだったと思う。


自分の価値観を持ったら、その考えの違いすぎる人たちの中に入ると息苦しいのは確かだ。

このお話の容子は、瞳と交流したいと熱望しつつ、今一つのところで踏み出せないまま、孤立しながら、受験の波に飲み込まれてしまった。

✳︎✳︎✳︎
子どもの学校選択について。
自分で行きたいところを考えて選ぶことができるのは、やはり自分が将来何をやりたいか決まってからだと思う。
少なくとも、幼、小、中は選択の実質的なものは保護者がやることになると、私は思う。

私はフルタイムで働いていたので今考えれば経済的には子どもを私立小学校、中学校に通わせることは可能だったかもしれない。


でも、私立という選択肢のほとんどない地方で育ったせいもあり、
子どもにも地元の学校に時間的肉体的に余裕を持って通って、自由な時間に友だちと遊んだり、本を読んだりして過ごしてほしかった。

勉強は一生続くもの、色々なことに興味や関心を持てる心と、健康な身体作りも大切だと。


ただ、一方で私立校の設備の良さや環境に恵まれた子どもたちに囲まれた教育水準の高さは公立とは比較にならないと思う。

仕事関係で学んだが、私立校で競争の中で育った人はやはり思考が緻密で、パワーバランスがうまく、無駄なことはやらない賢い人が多いなという印象が私にはある。

国立の附属校は税金で運営されている分、設備は私立ほどではないが、やはり保護者や身内に同窓の人も多く、教育環境が整った家庭で育っている子が多い。また大学の研究の場でもあるので教員の指導水準も比較的高いというのが、随分前に実習に行かせてもらった印象だ。

ただ一人一人の児童生徒に合わせた教育ができるか、という点ではこれは出会いでしかない。どんな師や仲間に会えるか、可能性は公立も私立も国立も同じだと思う。

でも、今わたしが年中さんの保護者だったら、やっぱり公立の小学校を選ぶと思う。

それは、幼児期に身体や手や頭を使って、直接的な楽しい経験をたくさんして、脳に刺激を与えて遊んでほしいからだ。

身体を使って遊ぶことの楽しさ、
物を作ることの楽しさ、
人と関わって共感することの楽しさを味わってほしいから。


そして、似たような考えの人を探しながらのんびりともう一度子育てをしてみたい。

けれど好奇心旺盛な私は、じっとしてられず、やっぱり仕事をしながら、子どもたちを乗せた自転車で一緒に歌を歌いながら、保育園の送り迎えをしそうな気もする。


スイセン


◎今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました😊

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