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鏡の自分はいつもより美人にみえる

「高校生になれば彼氏ができる」と思い込んだのは、鏡のせいだ。

鏡に映る自分は、なぜかちょっと美人に見えた。加工もしていないし、ぼかしも入れていない。化粧室のような女優ライトもない。それでも洗面所や浴槽、トイレの鏡で自分を見ると、「あれ、わたし意外に可愛いんじゃない??」と思う瞬間があった。だから、自然に彼氏ができると思っていた。

ただ写真でとると、鏡にいた自分はどっかへ消えている。写真には地味でさえない女子がうつっていた。あれ、全然美人じゃない……。本当にわたし??何かの間違いじゃないの?といいたくなる写真ばかりだった。

数年前まで、今ほどスマホの画質がいいわけではなかった。でもそんなスマホ駆け出しの時代でも、美人の写真はやっぱり美人に撮れていた。つまりわたしは決して美人ではなく、どういうわけか鏡を通してみたときだけ美しく見える偽物美人だったらしい。そのせいなのか、残念ながら高校3年間で彼氏はできずにJK時代を終えてしまった……。

調べてみると、「鏡の中はなぜか美人/イケメン」と感じる人は多いようだ。かの有名な高須院長によると、「真正面から強い光を当てると、顔の凹凸のある部分に影ができないため、目のクマやシワが消え、若く綺麗に見える」らしい。鏡が光を反射して、若くきれいな顔に見せていたようだ。あの美しい自分の顔は、残念ながら実力じゃなかったのだ。

鏡より写真の自分を愛せるようになった

あれから約8年、わたしの容姿は変わらない。しかし、写真にうつる別人のような自分が、そんなに悪くないと思えるようになったのだ。

笑い方も服装も髪形も、全然変わっていない。それでも楽しそうにわらう自分の写真を見て「なんかいい写真だな~~」と思えるようになった。それは、自分に自信が持てるようになったからかもしれない。中身に自信がついてきたから、自然体の写真の自分が愛せるようになったんじゃないだろうか。

とはいえ、鏡の自分の美しさは健在だ。今も変わらず、自分の顔が実力以上に美人に見えている。よく生き様が人の顔に出るといわれるので、もうちょっと清く正しく生きれば鏡の中の美人になれるかもしれない。そう思うと、ちょっとだけ頑張ってみようかなと思えないこともなかった。

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