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今年初めてセミの鳴き声が聞こえたとき、思い浮かぶ顔

ミーーンミンミンミンミンミィーーーー

在宅勤務中、窓の外からミンミンゼミの鳴き声が聞こえてきた。そうか、もうセミが鳴く時期なのか。もう7月中旬だから、まあそろそろセミが鳴いてもおかしくない。それでも、今年初めて聞いたセミの声をきいて、何だかとっても嬉しくなった。お昼休憩に入ると、わたしは真っ先に夫にLINEで「今日、セミ鳴いてたんだけど(笑)」と連絡を入れた。ものすごく空腹だったけど、ご飯よりも先に「一番ゼミ」の声を聞いた喜びを共有したかったのだ。

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どうでもいいことを言える人がいるのは、ものすごく幸せだ。『サラダ記念日』で有名な俵万智さんの短歌に、こんな詩がある。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

「寒いね」という取るに足らない言葉に対し、「寒いね」と共感してくれる人がいる。そんな小さな幸せを描いた、とっても素敵な短歌だ。

「セミの鳴き声が聞こえたよ」と言える人がいるのも、とても幸せなことなんじゃないだろうか。LINEを送った夫は、いま遠く離れた福島へ出張している。だから横浜で鳴くセミの話をしたって、一緒に聞けない。それでも、遠く離れた場所から、取るに足らない話を聞いてくれる人がいる。きっと自分が思っている以上に、ありがたいことなんだ。

今日きこえたセミの声は、1度鳴いただけでもう聞こえなくなってしまった。時期尚早だったんだろうか。もしもう一度泣き声が聞こえたら、「またセミが鳴いていたよ」と送ってみよう。福島でも今年最初のセミが鳴いたとき、夫から「セミの鳴き声が聞こえたよー」と送ってくれると嬉しいなぁ。

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