見出し画像

君と石

河川敷で君は言った
『知ってはいたんだ、彼女がいるって。いやぁフラれちゃったなー。』


僕はたまたまその場に居合わせただけだから
何にも言えずに黙っていた。



君は石を摘んでは少し前に投げる仕草を繰り返していた


僕がいるから泣けないのか
僕がいるから泣かないでいれるのか…



『なぁ三島、どこまで飛ぶか投げてみようぜ』
僕は君に提案してみた

君は少し僕の顔を見て軽くうなづいた
『私向こう岸までついちゃうよ。』

そう言って一生懸命石を探す君が
あまりにも可愛くて、
僕は少しだけ大きな石を選んだ


君は自分の石を見せて笑った

僕はいつもより大きな石を見せた



『イッセーのセッ!負けた〜もう一回やろ!』
君は制服のスカートを気にもせず
気持ちを投げるように何回も石を投げた



もちろん僕の方が遠くに飛んだ




それでも僕の方が小さく感じた



君と一緒にいるから

少しだけ背伸びをしたのは僕の方


もう少しだけ背伸びをしたら
君は僕に気づいてくれるかな…




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?