久しぶり
見栄って怖い。
普段面倒な時は眼鏡なのに
ここぞと言う時は絶対にコンタクト
髪の毛だってネイルだって完璧にしたい
お化粧は時間をかけて
ナチュラルに見えるメイク
鏡の前で笑ってみる。
大丈夫。可愛い。
心でそう唱える。
油断して少し太ったからお気に入りの
スカートは履けなかったけど
まあまあなスタイル
誰に何を見せたいのか
自分でも分からない。
『もう出ないと遅れるんじゃないの?駅までゆっくり歩くんでしょ?5分前行動』
『ありがとう。行ってくるね。』
出る間際に軽くほっぺにキスをされる
『僕のお姫様は今日も美人だね』
私は慣れた手つきで彼の肩を叩く。
『知ってる。』
戦闘体制に入ります。
頭の中で誰かがそう言った。
同窓会って本当に厄介。
自分がどれだけ見栄っ張りかを思い知らされる
『いってらっしゃい。楽しんでおいで』
彼の笑顔に心がチクリと痛くなる
誰のためにオシャレをしているのか…
何のためのオシャレなのか…
誰に綺麗だと思わせたいのか…
女はいつでも綺麗と言われたい
心でそう繰り返した。
少しくらい見栄を張るのも悪くないじゃない
それでも何度も何度も心で繰り返す
『久しぶり』
うまく言えますように…
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