『はやり』 ショートストーリー🍒
『あーこれもなんか可愛くない。これもイマイチ』
私物を整理しながら呟やくと、その様子を隣で見ていた蓮が笑った。
私は昔から飽きっぽい。
そして惚れっぽい。
だからいつも物がたくさん増えていく
なので時々断捨離をする。
まぁ断捨離といってもフリマアプリに出品することなんですが…
『私ってダメなやつだよね。』
私の問いに蓮がこっちを見て聞いた。
『なんで?ダメなやつ?』
『なんか何が自分の正解か分かってない。』
蓮は少し考えてから言った
『別に”はやり”だからいいんじゃない?』
私は少しふてくされた
『別に全部が世間で流行ってるものを好きって買ったり、言ってるわけじゃないんだけどな。』
蓮は私の私物を手に持って言った。
『そういう意味の流行りってわけじゃなくて、自分の中の〝はやり“みたいなもの。』
私が変な顔していると、蓮は続けた。
『例えばさ、1年前携帯に好きなリズムの曲とか色んなの入れてたよね?』
たしかに沢山の曲を聞いていた。
『だけど今聞いたらそこまで好きと思わない曲ってない?あの時のあの瞬間の好きって気持ちは絶対に好きなんだと思うけど。』
蓮の言葉に思い当たる曲がある。
『その反対に何回聞いても何年聞いても飽きないし、ちょっと気持ち満たされる感じのものってあるじゃん。それが自分の本質の好きなのかな?って最近思うんだよね。あーなんか俺わけわかんない事を言ってる?伝わんない?意味分かんないよなー。』
蓮は照れたように笑う。
『語彙力なさすぎてあまり伝わらない。けどなんとなく分かる…気がする』
そう言って私も笑った。
『別にいいんじゃないの、最後に本質の好きが分かるための『はやり』だとしたら。迷うのも楽しいじゃん。』
『そうかな……うん。そうだね』
あぁ本当に…蓮の言葉はいつも私を癒し満たしてくれる。
『そろそろお昼ご飯食べに行こっか。』
私の歩幅に合わせて少し前を歩く、
蓮を見ながら思う
参ったな…本質の好きって急に言われても
何年も…何度も…か
本当に参った…好きだ
全然飽きない
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