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【コドモオトナ】

『ただいまーお母さんいるー?』
姉が一人娘のしおりを連れて実家に遊びにきた。
『あらいたの?しおり〜さきおばちゃんお仕事お休みみたいだよ。良かったねー。』
軽い二日酔いの朝、私を見て姉が言った。

『さきちゃん、今日お休みなの?遊べるの?』
テーブルの端から可愛い顔が覗く
『しおりちゃんこんにちは。ちょっと見ないうちに大きくなったねーテーブルまで届くんだ〜。』
私がしおりに話しかけると
『しおりもう5歳になったんだよ。届くもん。逆立ちだって出来るんだよー。』
しおりは少し得意げに言った。
『今からお菓子買いに行く?』
『行く‼️』
姪ってなんでこんなに可愛いんだろう。
しおりの嬉しそうな顔を見ると私まで嬉しくなる。
簡単に着替えてしおりと家を出た。

手を繋ぐと子供の手の小ささに少しドキッとする。

なんて小さい手なんだろうか、手だけではない、全てが小さいのに、生きる力は私よりもあって全てが輝いてる。

『さきちゃん前見ないと危ないよ。』
しおりがこっちを見て注意した
『ごめん〜あんまりにも可愛すぎて見惚れちゃった〜。』
しおりは恥ずかしそうに笑い、変な動きをしながら私の笑いを誘った。

『さきちゃん前から人がくるよ。ぶつかるよ。』
『さきちゃん信号は黄色で渡ったらだめだよ』
『さきちゃん車に気をつけて行こうね。』
これじゃどっちが子供か分からないなぁ

こんな時小さな手の小さな5歳のしおりを見て思う。
小さい子供はルールを必ず守るようにいつも言われている
喧嘩しても仏様のごとく許すように諭され
悪口も言ってはならない
そう考えると子供は大人よりも大人かも…
お酒飲んでクダまいてる私よりもずっと大変かも…
仕事でミスをした。自分が足りないのは分かっているけど言い訳もしたくなる。ドラマやアニメのような努力も成長も自分の現実にはおこらないと思い知らされる。

近所の駄菓子屋に到着。
『さぁしおり、何が欲しいの?どれが欲しいの?な〜んでもさきおばちゃん買ってあげるよー。』
しおりがつぶやいた。
『全部』
『えっ?』

『ぜーんぶ欲しい。一緒に美味しいもの食べてさきちゃん元気にしてあげる。』
しおりが両手を広げ、最高の笑顔でこっちを見た。


勝てないなぁ
子供は大人のはるか上を軽々飛び越えてしまう
私よりもはるかに生きる力が大きい

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