<文献紹介 第3弾:ICUでのDVT予防にフットポンプは必要なのか?!>
モニター音や点滴などのアラーム音に混じって、時々「ピーピー」と小さく鳴り響く音、皆さんも聞き覚えありますか?
どこから鳴っているのか、色々探っても小さい音で分かりにくくて、患者さんの布団をめくって、やっと音の正体に気がつくって
ことあると思います!
そう!
その正体は、フットポンプのアラーム音、患者さんが足を動かしたりすると、空気を送るチューブが抜けてフットポンプのアラームが鳴る。
病院ではあるあるな光景な気がします。
毎回、毎回、装着しないといけないので、看護師的にとっても大変。
その度に患者さんの眠りを妨げたり、フットポンプどうにならないだろうか?
【今回ご紹介する論文】
Adjunctive Intermittent Pneumatic Compression for Venous Thromboprophylaxis
Y.M. Arabi, F. Al-Hameed the Saudi Critical Care Trials Group
参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30779530
【背景】
本研究は集中治療患者において予防的抗凝固療法に間欠的空気圧迫法を追加することでDVTに対する予防効果が強まるかを検証した国際的多施設ランダム化比較試験である。
【方法】
研究デザイン:RCT
サウジアラビア、カナダ、オーストラリア、インドの20施設の内科、外科、外傷集中治療室に48時間以内に入室し、72時間以上入室が予測される患者を対象とした。
介入群:
ICU入室後48時間以内に、未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリンによる抗凝固療法に加えて、1日最低18時間以上の間欠的空気圧迫法によるDVT予防を行った。
対照群:
対照群では介入群と同様の予防的抗凝固療法のみを行った。
【結果】
対象者数:介入群に991人、対照群に1012人(合計2,003例)
・主要アウトカム:新規の近位下肢深部静脈血栓症の発生率
介入群での発生率は3.9%、対照群で4.2%
リスク比は0.93(95%CI;0.60-1.44)、調整リスク比は0.93(95%CI;0.61-1.41)だ
【結論】集中治療患者のDVT予防において、予防的抗凝固療法に間欠的空気圧迫法を追加しても追加のDVTに対する予防効果はみられない。
【私見】
本研究は、ICUに入室する患者に対して、予防的抗凝固療法に間欠的空気圧迫法を追加することでDVTの予防効果が強まるか検証した研究になる。この結果から、抗凝固療法を行っている患者に対して、フットポンプを追加することでDVT予防効果が上がるわけではないと考える。そのため、予防的に抗凝固療法を行っている患者にフットポンプを併用することは臨床的に意義が少ないと考える!
しかしながら、研究では、抗凝固療法が行えない出血患者、治療的抗凝固療法がされている患者などが除外されているため、これらの患者に対してフットポンプのDVT予防効果がないとは言うことはできないため、そういった患者においては注意が必要である!
画像先:https://www.saintlukeskc.org/health-library/preventing-deep-vein-thrombosis-after-surgery