【声劇フリー台本】記念だったもののお祝い
100本目の台本なので自分なりに自分らしく祝ってみました。
一人用台本です。
温度差でグッピーを殺してみたかった、などと供述しており……
ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
僕の為に、色んな人が集まってくれた。
綺麗な飾りつけをして、色んなものをたくさん用意してくれて。
何もかもが輝いて見えて、既に胸がいっぱいになりそうだ。
うわぁ、ありがとう!
うん、そう。そうなんだ!
とうとうここまで来れたんだよ。
ありがとう。本当にありがとう!
ここまで来れたのも君のお陰だよ。
君がいなかったら今の僕は居ないと言っても過言では無いからね。
わぁ! 君もお祝いしてくれるの?
嬉しいなぁ。わざわざありがとう!
プレゼントまで用意してくれたの?
そんなぁ……! 本当にいいの? すっごく嬉しい!
ふふッ、中身はなんだろうなぁ……開けるのが楽しみだよ。
ありがとう! うん、これからも頑張っていくからよろしくね。
うん、そうなんだよ。最初はここまでやってこれると思っていなかったなぁ。
そうだったね、君と出会ったのもこれがきっかけだったね。
色んなことがあったよね。僕自身、色んな刺激をもらったよ。
あははっ、それもそうだね!
これだから、人生って何が起こるか分からなくて楽しいなぁ。
挫けそうになったこともあるよ。でも、みんなが居たからやってこれたんだ。
だから、みんなには凄く凄く感謝してるんだよ。
こうしてみんなに祝ってもらえて、僕は本当に幸せだなぁ。
ちょっとしたお祭りみたいで本当に楽しいよ。
みんな大好き! ありがとう!
なーんて、全部虚像。
だーれもいない、綺麗でもない、壊れていないものなど何一つとしてない廃墟。
薄暗い闇の中で僕は一人、血だまりの中で最期を迎えようとしている。
お祝い? 記念? なんだろうね、それは。
キラキラして楽しいものなんて僕は知らないよ。
僕の世界に、そんなものは存在しない。必要もない。
だというのに、あんな虚像を見るだなんて……この期に及んで、僕は何に縋ろうとしているのだろう。
死ぬ間際に、『しあわせ』というものを経験してみたかったのだろうか。
あれが『しあわせ』?
はっ、笑わせてくれるね。
中身も何もない空っぽだったじゃないか。
あんなものを『しあわせ』と呼んでへらへらと笑うぐらいならそんなものは要らないね。
嘘ばっかり並べて、耳障りのいい言葉だけを吐くなんて、僕はごめんだ。
……なんて、もう死ぬ僕には関係の無い話だが。
自分の腹から生えた、棒状の鋭いものに目をやる。
自分の身体をあっさり貫通してくれたこいつは、僕をここに縫い留めて離さない。
やろうと思えば無理にでも引き抜けるだろうけど……さて、どうしよう。
せっかくだから、自分の死に場所だけはもう少し選んでみようか。
ここから動けないまま死んでいくというのは、少々味気ない。
「……ッぐ、う゛ぅ゛! あ゛ァ゛あ゛、ああああああああッ!」
「ッ、ガハっ……ゲホッ、ゲホッ……う゛、ァ゛……」
ずるりと嫌な音がして。
ごぽりと色んなものが零れて。
べちゃりと僕はその場に倒れた。
あーあ、死に場所を選ぶどころか、一歩も動くことが出来なかった。
無様な死に様を晒しただけだった。
なんてみっともない最期。
だけど、それが僕らしい。
……さようなら。
……おやすみなさい。