【BL声劇フリー台本】トラウマの君と
拉致監禁された結果トラウマを抱えることになってしまった男と、そのトラウマになってしまった男のBL二人用台本です。
この台本は男性が演じてください。
台本では「」と【】で読み手を分けて記載しています。
《》の箇所はそのままでもお読みいただけますが、読み手の方のお名前などお好きなお名前に変更してもお楽しみいただけます。
地の文は【】の人が読んでください。
※の箇所は音の指示ですので読み上げないでください。
アドリブはご自由にどうぞ。
ご利用の際は利用規則をご一読下さいますようお願い申し上げます。
【利用規則】
◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。
商用・非商用問わずご利用いただけます。
ご自由にお使いください。
利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。
音声作品には以下を明記するようお願いいたします。
・作者名:影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
(@yukitora01)
配信でのご利用も可能です。
配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。
台本のアレンジはご自由に行いください。
便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。
性別変更のみ不可とします。
この台本は男性が演じてください。
◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。
【台本】
【《アオイ》……っ! 聞こえるか、《アオイ》!】
「…………ぅ」
【《アオイ》!】
【俺のこと、わかるか?】
「……《リョウ》?」
【ああ、そうだ!】
【よかった……もう、大丈夫だからな】
【本当に、よく頑張った】
【さ、一緒に帰ろう】
「……いっしょに、かえる……?」
「ッ、う」
【どうした《アオイ》?】
【どこか痛むのか? 怪我してるのか!?】
「う、あ……あぁッ!」
【大丈夫か!?】
「ヒッ……!」
※差し伸べられた手を払い除ける
【っ、】
【《アオイ》……?】
「ぁ……ご、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
「ちがう、ちがくて……っ」
【俺なら大丈夫だ】
【それよりも、《アオイ》……】
「う、うぅ……ああああッ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめんなさい……だから、ゆるして……許してください……っ」
【…………】
【これは、一体……】
拉致された《アオイ》がやっと発見された。
時間はかかったが、なんとか《アオイ》を助け出すことができた。
その筈なのに、《アオイ》は俺を見る度に酷く怯え、しまいには泣き出すようになってしまった。
捕われていた間、《アオイ》の身に何があったのかは分からない。
ただ、後で検査して分かったのは、《アオイ》にはなんらかの薬物が使われたということだった。
【ごめん……ごめんな、《アオイ》】
【もっと早くに助けられていれば、お前をこうやって苦しめることもなかったのにな……】
【もう、俺には《アオイ》を苦しめることしか出来ない……】
【だから、俺はここを去ろうと思うよ】
【今までありがとう、《アオイ》】
【お前に出会えて、本当によかった】
【…………元気でな】
「ッ、ま、待って! 《リョウ》!」
【……え?】
【お前、なんでここに……いや、それよりも!】
「う……ッ」
「い……いかないで、《リョウ》……」
「お願い、俺の話を聞いて……?」
そう言いながらも、目には涙を浮かべ苦しそうに肩で息をする《アオイ》は見ていて痛々しい。
きっと、今この瞬間も俺を視界に入れるだけで、俺の声を聞くだけで、耐え難いような恐怖と痛みに襲われている筈だ。
俺は、《アオイ》の前に現れるだけで《アオイ》を苦しめてしまう。
だから今すぐ、《アオイ》の言葉を振り切ってここからいなくなってしまうべきだ。
なのに。
だというのに、俺は久しぶりに《アオイ》が俺のことを見て、俺の名前を呼んで、話しかけてくれたということに喜んでしまっている。
「俺を、置いていかないでよ《リョウ》……」
「俺、頑張るから……だから、ひとりにしないで……っ」
【……お前はもう、十分頑張ったよ】
【今だって本当は……俺のこと、怖いんだろう?】
「…………ぅ」
【これ以上、お前が無理する必要は無いんだ】
【だから──】
「いやだ」
【…………え?】
「いやだ……いやなんだ」
「正直、《リョウ》の言う通り……今だって凄く怖い……」
「っ、ほんとうは、逃げ出したいくらい……」
「で、でも……でも、いやなんだ」
「だからって、《リョウ》が居なくなるのは……っ!」
【お前……】
「お、俺に色んなことをしてきたのが、《リョウ》じゃないって……頭では分かってる。分かってるんだ」
「そ、それに……俺はまだ、ちゃんと、《リョウ》のことが好きなんだ……好きなんだよ!」
「いやなんだ……このまま、《リョウ》が俺の前から居なくなるのは……」
「怖いけど、苦しいけど、それでも……っ」
「《リョウ》が俺の名前を呼んでくれなくなって、話してくれなくなって……近くに、居てくれなくなって……っ」
「それが……それが、一番いやなんだ……っ」
【けど……俺は、これ以上お前を苦しめたくないんだ】
【だから、こうするしか方法はないだろう……?】
「そんなこと、ない……ないよ、きっと」
「《リョウ》が、俺に教えてくれればいいんだよ」
【教える?】
「っ、……う、うん」
「怖くないって……《リョウ》がそんなことするわけがないんだって、俺に教えてよ……!」
「あれは全部薬のせいで、《リョウ》じゃなかったんだって……俺に、教えて……」
「俺を、たすけて……っ」
【……断る、わけにはいかないな】
【お前が……《アオイ》が、俺に『助けて』って言ったんだ……断れるわけ、ないよな】
「……っふ、ふふ……そうだね、《リョウ》ならそう言ってくれると思ってた」
「だから、よろしくね……《リョウ》」
【……ああ、わかった】
【一緒に、なんとかしていこう】