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2017年に1200万稼いだ27歳フリーランスエンジニアはその後どうなったのか

※この記事は、旧ブログPermanent-Tilの2018年12月24日の記事を加筆修正した上でnoteに再投稿したものです。

この記事はフリーランス Advent Calenderの24日目です。

フリーランス Advent Calendar 2018 - Adventar

前年のアドベントカレンダーでは数多くの人に記事を読んでいただけたみたいでありがたいです。

あらためて自己紹介と簡単な経歴

・yukito ohira
・東京大学工学部卒
・応用情報技術者
・2014年4月にERPベンダに就職、2016年2月独立、2017年7月株式会社CodeKnightsとして法人成り
・Java(Spring Framework)を用いたWeb系開発をやってましたが、Ruby on Railsを用いたWeb系開発に切り替えてちょうど3年目に突入しました

株式会社ジラフ様の開発案件のお手伝いをしていたときにいくつか記事を執筆させていただいたりしています。

スキルセット

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フリーランスエンジニアとしての月単価の推移

2016年2月に個人事業主として独立し、2018年12月までフリーランスエンジニアとして仕事をこなしてきました。

2017年に法人成りをしていますが、従業員を雇わずに自分ひとりで仕事をこなしているのでイメージとしては個人事業主と変わらないかと思います。

法人成りについては以下の記事でまとめています。

常駐での月単価の推移は以下のとおりです。あくまで一例として、独立を考えているエンジニアの方の参考になれば幸いです。

55万(週5) -> 64万(週5) -> 77万(週5) + 23万(週2) -> 67万(週4) -> 100万(週5)(すべて税別表記)

77万+23万で週7で働いていたのが2017年ですが、今年は常駐としての稼働を週5まで下げました。

2017年の記事で書いた、

「金に拘った」2017年ですが、2018年は稼働を減らしつつ「時間あたりの生産性の向上」、及び「Webサービスローンチ・収益化」を目指していきます。

これの前者については一定の前進をすることができた状態。

「月100万なんて高すぎる!」みたいに思う方が一定数いらっしゃるかもしれませんが、よくよく業界を調べてみると「ふつうのSIerの経験年数5年前後リードエンジニア」のエンド単価が100万/月前後なので個人的にはようやく追いついたか、もっと上げていきたいという気持ちです。

また週7で働けば、例え単価を上げるような営業戦略をロクに考えなかったとしても、月130~140万はいけるんじゃないか、という目測はあります。

が、

・流石に体力的にキツい

・週2日は自分のプロダクトを育てる作業期間に充てたい

・「ここから大きく稼ぐにはどうしたら良いか?」を考えリサーチする時間に充てたい。どうせ月150万程度では2000万にすら届かないし

・純粋に疲れたときは休みたい

このような理由から今は週末稼働はやらない方針にしています。

単価と技術的なやりがいの関係についての所感

「最初は単価が安くても成長できるような仕事を〜」みたいなことをよく耳にしますが、基本的には高単価の仕事ほど技術的なチャレンジがあって面白いと思います。

もちろん、「高単価で技術的にも面白い仕事はどうやったら取れるだろう?」ということについて考え抜き試行錯誤してきた結果ではありますが。

フリーランスなので仕事は当然選びますし、私は仕事の話を頂いたとき、現場に入る前に企業さんの担当者と「予算はいくらか」「バージョン管理は何使ってるか」「エンドユーザをハッピーにするために何が必要なのか」「開発メンバーの人数とスキルセット」「完成するプロダクトのイメージ」「この企業のビジョン」「CI環境の有無」などを話し合う機会を設けています。

で、予算がやばいと他の項目もだいたいやばいです。。。のでこういった場合はお断りせざるを得ません。

一エンジニアの参考事例としていただければ幸いです。

Ruby on Railsは稼げるのか?に関する所感

「Railsはオワコン」「Rubyやる奴センスない」とかTwitterの一部界隈では言われているようですが、正直あまり実感はないです。

RubyKaigiでも「Rubyは死んだ」とネタにされていたのでもう公式ネタ化したんでしょうかね。

で、肝心の仕事ですが普通にRubyの案件たくさん流れてますし「Rails人採れねえ!」って毎日のように聞いてます。需給バランスが大幅に需要側に偏った状況はそう簡単に傾かないでしょう。(Railsだけでなく他のWeb Frameworkでも人不足の状態ですが)

観測範囲から考えると、Web開発のスキルとしては

・Ruby on Rails

・Spring Framework

・Laravel

・CakePHP


この4つのうちどれかを使えるようになっておけば仕事の話は来るだろうと思います。(.NETとかExpressとかFlaskとかPhoenixとか他にもいろいろあるだろうが!と思われるかもしれませんが、一旦例外として省かせていただきました。)

その上で単価を上げていくには、

・元請けに近い位置で仕事を取る(これ一番大事。5次請けとかだとどんなに技術があっても単価は改善できないと思う)

・単価交渉(自分の今までの月収とかいいから、欲しい額をベースにまず提示すること。そして、参画途中の値上げは、現場の信頼感を得ておくとスムーズだと思う)

の2つをやっていくしかないです。

さて技術的な話をするとRailsのフロントエンド周りは、Rails標準の「Sprocketsに関連jqueryライブラリのラッパーgemを依存させていく」作り方だとしんどい気がしていて、Webpackerを使うかwebpack.config.jsを使うかの二択になりますが、そこの設定周りが秘伝のタレになりやすいので難しいよねという気持ちはあります。(「Unobtrusive JavaScript」という思想があまり時代にあってない感じがあります。)

一方で、フロントエンドを完全に捨てたRails APIモードではWeb開発に汎用的な機能は揃っていて、かつ無駄が省かれているので、チーム開発ではこちらが今後使われてくるだろうなと思ってます。(フロントエンドとバックエンドの分業ができる前提。)

個人開発の文脈ではまぁモノリシックなRails + Herokuで「技術的な関心を仕組みに任せて」いろいろ試してみるのが一番効率いいんじゃないかと思います。最近だとCloudFunctionでサーバーいらねえぜみたいなのも出てきてますが、いずれ触ってみる予定。

総論すると「Railsで仕事は全然取れるけど単価を上げれるかどうかは立ち回りが重要だよ」ってことです。

やったこと(技術的な話)

技術的な問題に際したときに、Qiitaやはてなブログではなく、まずgithub上の一次情報を見るようになった

今までコーディングで詰まっていたときに日本語で検索してQiitaやはてなブログ上の記事を見て「最短で解決を目指し」てから、それでも解決できなければ公式を頑張って読む、というやり方をやっていました。

2018年は「まずgithub上の情報を見る」ことを意識して実行してきました。

結果として問題解決までの速度が早くなったと感じています。

例えばRailsのgemで認証を扱う「Sorcery」などがありますが、あの辺りは最初に公式のREADMEやwikiに目を通した方が絶対に効率的だと思います。

副次的な効果として、自分自身英語慣れしてきた感覚があるのでやってよかったと思っています。

これは引き続きKeepしていきたいと思っています。

RubyKaigi行った

今まで地方に行く必要がある+参加費がかかるタイプのカンファレンスは重要性は認識していたものの、実際には行けていませんでしたが、今年のRubyKaigiには参加することができました。

技術的な深い内容を聞けるというのももちろんですが、「世の中にはこんなにすげぇ人達がいる!」というのを実感してモチベーションがあがる効果もあるので、多少費用はかかりますが行って正解だったと思っています。

来年の福岡でのRubyKaigiにも行く予定です。(すでにホテル・航空券取りました。グランドハイアット福岡!!)

来年はGoogle I/Oとかも行けたらいいなぁ。

やったこと(経営的な話)

技術的トピック以外でのインプットを増やした

税務、会計、ファイナンス、マーケティング、SEO、経営戦略、事業を取り巻く法律や業界慣習などのインプットを増やしました。

インターネット上の情報だけでなく、書籍や実際に動いてみたり人に会って得られるインプットも意識しています。(2019年は後者の比率を上げていきます)

「技術屋は技術のことだけわかっていればいい」という風潮もありますが、

・新しい知識を得られて面白い

・この面白さは技術的なインプットをする場合と「面白い」の方向が一致している

ので個人的にはやって損はないかと思いました。

余談ですが特に税務周りはフリーランスならば必須の知識です。実務で使うのは簿記三級(高校生や大学生がなにか資格とるか、って言いながら受けるレベル)レベルの知識があれば問題ありません。

総勘定元帳やBS、PLはソフトを使えば計算してくれますが、特にレシートも「仕分け」ができてないと話にならないです。

税理士さんをつける場合も、「なぜこれがまずい仕分けだったか理解できる」レベルではある必要があります。

固定オフィスを借りないという決断をした

固定オフィスがないことで、設立当初は銀行口座の開設などで苦労することもあったのですが、今直面している不具合はないのでこのまま行こうと思っています。

会社をやっていると法人用不動産賃貸会社から「いい土地にオフィスを構えていないと信用されないですし、採用にも悪影響ですよ!」と営業をかけられたりするのですが、本当に必要となるまではオフィスは借りない方針でいこうと思っています。

「信用という名の見栄を張らないこと」はとても重要だと考えています。

そういうのキリがないですし、他の会社がやっているからといって無思考にお金を使うと一瞬でキャッシュアウトします。

事業を回すこと。回る事業を作ること。「もし人を雇うなら、どのような体制にすればリモートワークで事業を問題なく回せるだろうか?」を考えるほうが生産的だと思うので、これからもそっちの方向にリソースを投下していきます。

時間単価によらないサービスを作ってみる

レベニューシェアのWebサービスを一本、Webメディアを一本、そして「Comopet」をローンチしました。

※Comopetは2021年1月29日サービス終了

やったこと(私生活的な話)

今まで家賃5万、築45年の木造アパートに住んでいたのですが、2018年に都心のタワーマンションに引っ越しました。

家賃は倍以上になりましたが、

・BtoB企業が多く集まる六本木、BtoC企業が多く集まる渋谷に近くなったので、例え常駐という働き方を選択しても通勤時間が短縮される

・コンビニ・スーパー・飲食店が徒歩数分圏内にあるので日常生活を効率化できる

・夏暑くなく冬寒くない

・前の家と違って、エアコンつけたままケトル沸かしてもブレーカーが落ちない

・ジムがついているので(自分のやる気次第で)筋トレ・健康維持ができる環境にある

とメリットが大きく、引っ越して本当に良かったと思います。

ハードワークで失った体力の最大値を筋トレで取り戻したい。

余談になりますが、フリーランスでも

・確定申告をきちんとしている

・年収申告があまりに低くない(700万稼いで600万経費に使って年収100万で申告するとか)

この2つを満たしていれば賃貸の審査は(ある程度紆余曲折ありますが)通ります。クレジットカードも問題なく作れます。

もう一つ余談ですが、引越し先の内見をしているときに「個人事業主です」と賃貸業者の担当に伝えたら「確定申告、ちゃんとしてますか...?」 とめちゃくちゃ不安そうに聞かれたので多分世間のフリーランスのイメージってまだまだそんなもんなんだろうなと思いました。

詳しくはこの記事で解説しています。

2019年の業界動向の勝手な洞察

結論から書くと、2019年はバラ色の未来を手放しで得られる状況にはならないかな、という感覚です。

そもそも日経平均株価が乱高下するようになってきて市場全体の不透明性が増してきたこと。

IT分野でトレンドだと認識していた仮想通貨、民泊、シェアリングエコノミーあたりが不祥事や何やらで減速基調なので、全く新しい流れが出てくるか、あるいは一波、下方向に来るか。。。

余談ですが、「よっしゃ仮想通貨についてのメディア作るで!」と年初に意気込んで取得したドメインがNEM流出事件の後、塩漬け状態です。w

もう一つ余談ですが、仮想通貨はほぼプラマイゼロで手仕舞い、メルカリは5200円で掴んで3800円で損切りしました。投資信託は含み益をほぼ吹き飛ばしてマイナス域に突入しました。ww

まぁ、とはいっても個人としてやれることは変わるわけではないので

・もらった仕事をしっかりこなす

・しっかり請求、確実に着金

・浪費を慎みながら、売上の種を撒き続ける

これらをしっかりやっていく。

2019年にやっていくこと

売上を「非課税資産」に振り替える

「売上の種をまく」とも言えますが、私の一番しっくりくる表現はこれです。

一般にいう資産とは以下のようなものが挙げられます。

・現金

・株や債権などの有価証券

・不動産

・車

・仮想通貨(だいぶ資産性が怪しくなってきてはいますが)

もちろんこれらも無いよりはあるほうが絶対に良いです。

が、

・リターンが限定されやすい

・市場の外部環境の影響を受けやすい

・課税対象

という欠点があります。月100万程度の売上からここに投資を集中してもリターンはたかがしれているでしょう。

以下のようなものが、会社が(ときには現金を使ってでも)積み上げていくべき「非課税資産」だと私は考えます。

この中には、私が持っていないものも含んでいますが、一般化のためにあえて挙げています。

・自分自身の知識、スキル(フリーランスならここに投資する点にはある程度納得してもらえるかと思われます)

・会社組織としての知識、ノウハウ、あるいはネットワーク
TwitterやInstagramといったSNSのフォロワー

・自分の所有するメディア・サービスのユーザー(例えそれが収益化に至っていなくても)

・Youtubeのチャンネル登録者数(私はYoutubeはやっていないですが)

公的には資産とみなされないが、実は資産になるものを見極める、そしてそこに種を撒くことがポイントだと考えています。

これら非課税資産が積み上がっていれば、「営業利益」という数字を増やすことにあまり意味はないので、今季は赤字決算になっても気にしない予定。

さいごに

やっていき。メリークリスマス!

2019年の振り返りはこちら


ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。サポートいただけると記事を書くモチベーションになりますので、よろしくおねがいします。