27歳フリーランスエンジニアが1200万稼いでみて、得たものと失ったもの
※この記事は、旧ブログPermanent-Tilの2017年12月24日の記事を加筆修正した上でnoteに再投稿したものです。
この記事はフリーランスアドベントカレンダーの24日目です。
2016年からフリーランスエンジニアとして活動しはじめ、今年2017年は日本国内の全体的な好景気も相まって、1200万円ほど稼ぐことが出来ました。
前年の2016年の総まとめはこちら
本記事の稼いだとは?
最初に、本記事での「稼いだ」の定義を明らかにしようと思います。
というのは、「稼いだ」という文言は、「売上(諸経費を引く前)」なのか、「利益(諸経費を引いた後)」なのかがわかりにくかったり、時には意図的にぼやかさせていたりするからです。
本記事の「稼いだ」は、「売上」となります。つまり年商1200万です。
なお、インターネット上によく見かける、フリーランスエージェントの広告で謳われている「フリーランスエンジニアの年収」というのは、基本的には売上ベースでの数値となっていますので、これから独立を検討される方は一応注意しておいてください。
なお、自営業というと税負担が重くなるという意見も多いですが、経費を自由に切れるメリットがあり、(もちろんキャッシュがショートしない範囲で)自分の好きな技術書を何冊買っても良いし、モンスタースペックのPCを買っても良いし、なんなら西海岸のカンファレンスに行ったって良いのです。
「どうせサラリーマンエンジニアやってたら使ってただろう自己投資」を損金に計上できるのは大きいです。キャバクラに行くのは多分ダメです。
何をやったか
2016年まではJava(Spring Framework)+jQueryを中心に仕事をしていましたが、2017年はRuby on Rails+Reactに転向しました。
Ruby on Railsに乗り換えたに至った理由としては、「Javaは比較的カッチリした現場が多く、Excel仕事が多い、自動テストは書かない」現場が多かったのに対して、Railsは比較的機動力のある開発をする現場が採用しているイメージがあり、個人の嗜好としてそういった現場のほうが良いと判断したためです。
また、この意思決定をする2016年冬時点ではRubyのほうがJavaよりも単価が高めである傾向にありました。
Spring→Railsへのスキルコンバートは、言語の違いこそあるものの全体的なアーキテクチャの思想が同じMVCなので、キャッチアップにそれほど時間はかからないだろう、と考えており、「Ruby on Rails 5 アプリケーション・プログラミング」「メタプログラミングRuby」を4周ほど写経すればだいたいのことはわかるようになりました。
jQuery⇔Reactのコンバートはそこそこ苦労しましたが、もともとjQueryでもComponent志向のような書き方を心がけていたこと、ES6+webpackに関しては個人でキャッチアップを進めていたことから、これもしっかりクリアできました。
起用万能、スプラトゥーンで言うところのスプラシューターコラボのような立ち位置のエンジニアを目指してやってきました。
実際、案件の状況によってフロント/バックエンド/インフラを横断しながら(大体、最もリソースが足りていないところを依頼される)開発を進めて来ましたし、俺は俺の目指すスシコラになれたのかな、と自分では思っています。
もちろん、まだまだ進化していきます。
2017年実績
2017年は常駐稼働の案件をメインに、副業として株式会社ジラフにて開発をお手伝いしてきました。
常駐案件に関する詳細は伏せますが、ジラフでやってきたことに関してはCTOの許可を頂いたので書いていきます。
株式会社ジラフ (ヒカカク!/最安修理ドットコム/スマホのマーケット)
副業ベースで週2〜ほどお手伝いしていました。リリースされた3プロダクト全てに携わらせていただきました。
開発した機能は以下のようになります
最安修理ドットコムRails 5.0.0-> 5.1.4へのアップデートに関しては、Mediumで記事を書かせていただきました。
ヒカカク
・買い取りたい品を、一括で業者に買取見積もりを出すことができる、一括査定機能
スマホのマーケット
・スマートフォンの商品一括出品機能
最安修理ドットコム
・修理業者自身が修理価格をシステム上から設定できる、修理業者用の管理画面を作成
・修理業者のPRが打てる広告機能の開発・整理
いずれもRails+Reactのプロダクトであり、「仕事をしながら成長できる」よい環境であると思います。
この案件に関しては2018年も引き続き継続していきます。
メンバーも親しみやすく優秀な人が揃っていると思うので、気になった方は応募してみると良いのではないでしょうか。↓
どういうビジネスをしたのか
簡単に言うと、一人でSESをやりました。自分で営業して常駐・リモート問わず自分で開発するスタイルです。
2016年は仲介エージェントを介して案件を取っていたのですが、2017年は幸運にもすべてエンド直請けで案件を取ることが出来ています。
何かと評判の悪いSESですが、経営的な観点で言うと請負受託より入金スパンが早く、一定額が毎月振り込まれるのでCFが非常に安定します。
SES・請負・自社サービスごとのCFの回りの性質はこの記事で詳しく説明しています。
法人成りしてまだわからないことだらけで、経営なども学んでいかなければならないので、安定したCFはメリットが大きいです。
※仲介エージェントのついての詳細解説はこちら
なぜ金を稼ぐことにこだわったのか
一言でまとめると、以下のような考えに基づいています。
技術力あっても稼げないと、未来に対する希望が持てずやる気が起きない。
2016年フリーランスとして活動してきた中で、私より明らかにコードが書けるけど単価安い人を見てきました。
その人にようにコードが書けるようにはなりたいが、その人のように安月給に甘んじることを良しとはできませんでしたし、それが私の、もしくは日本のエンジニアのあるべき未来だとも思えませんでした。
なので金を稼ぐことにこだわりました。
また、「新しい仕事の単価は、何に依って決まるのか?」という問題に関しても、もちろん技術力も相関していると思いますが、今までどの程度稼いできたのか、を基準にされることが多いわけです。
もしあなたが、転職エージェントとの面談をやっていればわかると思いますが、結局「年収を上げたいです」と言っても、前職と同じくらいの給与水準の企業を紹介された経験があるのではないでしょうか。
転職エージェントが見ているのは「実績としての給料」であって、「あなたが実際何をしてきたか」ではないです。メディアではしばしば逆の主張がなされますが。
給料と乖離したいわゆる「市場価値」なんてものは存在しないんです。給料==マーケットバリュー、だと強く思います。
これはフリーランスの交渉でも同様で、「あなたが何ができるの?」より「前職の単金いくらだったの?」ということが重要視されているように感じました。
ですから、「実績が実績を呼ぶ」流れを作るためにも、売上という数字に拘ることは重要だと考えていました。
さらに、手元に現金を集めておくと自己投資にも使え、不測の事態の備えにもできます。
お金を稼ぐ人は躊躇なく技術書を買ったり、有料のカンファレンスに参加したりして自分の生産性を上げることができます。
これがスキル資本主義です。
お金がなかったらこういう人にどんどん差をつけられてしまうわけです。
自己投資の原資を一刻も早く稼がなきゃいけないのに、お金より市場価値とか、お金よりやりがいとか、眠いことは言ってられないんです。
経営戦略(というほどでもないけど、重視してきたこと)
小さなことをしっかりやりきること。
私が2017年仕事上意識したことはこれです。
そもそも法人成りはしたものの、まだビジネスモデルもなければプロダクトもなくメンバーは自分一人、オフィスもなければ銀行口座もない。
ないないだらけで気が滅入る状態です。
しかしだからこそ、目の前のやれることをしっかりやりきる。
・目の前のチケットをきちんとクローズさせる。
・目の前の開発内容をきちんとリリースする。
・目の前の請求書を出してきっちり入金させる。
大きなことをやらないかわりに、小さなことをやりとげる。そして大きなことを考える時間を持つ。
泥臭くても良いから会社を一期回す。できれば、利幅がどんなに小さくても黒字で。
弊社の決算期は6月なので、まだ決算まで半年残っていますが、基本的にこの初年度は「やれることをしっかりやる」方針で続けていきます。
失ったもの
休日
前述したとおり、売上の最大値を出すことにこだわったので、常駐週5+副業週2とかで働いていました。
フリーランス・会社経営者には労働基準法は適用されないので、限度いっぱいまでいった感じです。
ただ、この働き方を何年も続けるのは難しい、と身を持って実感できましたし(この感覚を身をもって実現できただけでも個人的にはやった意味がありますが、他人にオススメはできません)、2018年は少し稼働を落とす予定です。
休むことはめちゃくちゃ大事です。
体力の最大値
休日を失うことは予定に折込済だったのですが、これは予期していなかった週7稼働の副作用です。
アーロンチェア買っていても腰痛が早く来るようになったり、朝起きたら腰が痛かったり、レッドブルを飲んだら半日気持ち悪かったり、「今までなんともなかったこと」が明確に身体にダメージを伴うようになってしまいました。
「エリクサーを使う!」と勢いで2000円のランチを食うようにしても、あまり効果の改善にはつながりませんでした。自分はイーロン・マスクにはなれないことを痛感しました。
体調は明示的に強化・維持するべきもの。そういう歳になってきてしまったようです。2018年は今度こそ筋トレをします。
実は過去2回筋トレ挫折した過去があり、原因を自分なりに分析してみると、「駅から遠すぎて寄る気にならない、さらにロッカーがいっぱいで荷物を置けない、だからモチベーションがあがらない」という結果になったので、次のジムは自宅から近く、ロッカーが開いているところを選びました。
2018年やっていくぞというお気持ちです。
得たもの
キャッシュ
休日がない状態だったのでお金使う暇がありませんでした。(がしかし、1500円のランチはとても美味しいですし、フルマネージドの焼肉は本当に舌がとろけるジューシーな食べ物です。)
どこかの記事に書いてあった「スタートアップのシードラウンドくらいの額は集まった」つもりでいたのですが、どうやら今時はシードラウンドで5000万とか調達するらしいので全然足りてませんでした。。。
しかし、私一人が1年間ほど引きこもるには悪くない金額の貯蓄が出来たので、引きこもってWebサービスを作るのもアリだな、と思っています。
いつでも常駐をやめてそういった方向へ舵を切れる選択肢を得たのは大きいです。
やはり金は自由への可能性です。
実績
システム開発会社を経て、常駐・リモート合わせて、7件のプロジェクトに参画し、Rails+Reactを書いてきました。
結果として27歳で年商1200万円を達成。
もし次の現場に入ることになっても、金額交渉の場でこの「嘘ではない実績」を示して単価交渉ができるのは大きい。
自信
独立当初は、単価も正直低かったので、「本当にやっていけるのかな」感がありましたし、常駐先の環境に飽きてきてもすぐ抜けるという選択肢の行使をせず、金欲しさにダラダラやってた(クビになったらその時はその時か、程度の構えはしてましたが)時期もありました。
正直なところを言うと、私は業務経験歴的にはJava+Spring2年、Railsは今年で1年という、業務経験という尺度で見るとかなり評価が低くなる経歴なわけです。
エージェントに「経験年数」だけで書類選考の時点でダメ...ということも何回もありました。
エンジニアリングに経験年数なんか何の能力を測る指標になるんだろう、と怒りたくなるときもありました。
ここを逃したら、誰も採ってくれないんじゃないか、そういう不安が頭の中をよぎることも多々有りました。
しかし、結果として、2017年度まとまった額を、現実に稼ぎきったことで、今の感覚としては「明日契約切られてもまぁ大丈夫か」といった感覚です。
上述したようにキャッシュがあるので、引きこもって勉強して技術力を上げてから営業活動しても良いし、そのままWebサービスをローンチしてほんとうの意味での「起業」をしたっていい。
そう心から思えるようになったのが、正直額面よりも大きな「得られたもの」だと思います。
お金は全てじゃない、たしかにそうかも知れないが、がむしゃらにお金を追うことで得られるものもある。
有利子奨学金の完済
大学に通うにあたり、私は240万ほど奨学金を借りて通っていました。
正直、就職したときは絶望しましたよね。
きちんと勉強して東大まで出たのに、社会に出てみると債務者としてスタート。もうやってらんねぇ、と荒んだ時期もあります。
就職したときから定期的に奨学金を繰り上げ返済していたのですが、法人成りする前に残っていた140万をすべて完済し、個人の債務をゼロにしました。
なお、この借金の早期返済という戦略は資金繰りという観点で言うと正しくありません。
CF経営的な観点で言えば、金利の安い借金はギリギリまで返さないのが原則。金利1.7%程度の奨学金を早期返済するべきではありません。
しかし、個人の負債を一旦ゼロにすることは、精神的な安定を買う意味でも意味がありましたし、法人成りする上でできるだけリスク要因を排除しておきたかった、という目論見があったので返済に踏み切りました。
失敗したこと、今後の課題
ブログの収益化
独立したときから、自分の勉強したことをアウトプットする場、及び副収入になれば良いな、という感じでブログをちょくちょく書いています。
現在、2年間で160記事ほど書いており、PVは8000/月程度ですが、収益は200円/月程度の低空飛行となっています。(注:noteに移行したためこの記述は正確ではありませんが、当時の状況を再現するためあえて残しております。)
Webライティングのノウハウ等書籍をいくつか買って試してみましたが、未だに収益という形では返ってきていないというのが現状です。
しかし、PVは徐々についてきていますし、やはり「自分の学んだことをアウトプットすることで自分の学習効率を最大化する」場としては機能していると思っているので、ブログは引き続き続けていこうと思っています。
Qiitaが買収されてしまいましたが、今後はまだ個人の技術ブログに書く時代に戻ってくるのか、Qiitaがさらに進化して返ってくるのか、楽しみです。
デイトレード
お金稼ぎたかったので、本を20冊ほど読んで勉強して日経平均先物・株式・仮想通貨でポジションを取ってトレード(数日単位で売買する、スイングトレードというやり方)をしていました。
結果、自分でアクティブに買い・売りを行ったリターンは+11%程度でした。
インデックスファンドを買ってホールドするだけで+15%程度の値上がりが起きているので、ものの見事に自分で取引した分が足を引っ張っています。
仮想通貨に関しては全体的な意味不明な上がり方によって徐々にホールドするだけで+110%程度のリターンが出ていますが、再現性があるかどうかわからないので正直オススメできません。
(2018年追記:仮想通貨暴落により、元の価格まで戻ってしまいました。なので元の価格で決済して手仕舞いしました笑)
投資に関してはもっと勉強しないとダメだなということがわかった感じです。
2018年やっていくこと
技術面
インフラ、特にミドルウェア周りの知識を付けたい。あとデザイン。
これさえできればプロダクトを一人で作れるスキルセットが完成します。
Rubyに関しては、「メタプログラミングRuby」を読みつつOSSの深いところまで読み込んでいき、その血肉を吸収したいと考えています。
フロントエンドは相変わらず進化が速いが、とりあえずReactの復習とVueの習得を目指していきます。
経営面
チャリンチャリンビジネスが欲しいので何かやりたい、というかその何かに対して実際にリソースを投下していかなければならないと考えています。
チャリンチャリンビジネスの基幹ができる(MVPというらしい)が出来た瞬間が、人を雇う瞬間だと考えています。
別件だが、香港・深セン、アジア諸国、アメリカでどんなサービスを求められているのかを知りたいので、現地視察の割合も増やしていきたいと考えています。
「金に拘った」2017年ですが、2018年は稼働を減らしつつ「時間あたりの生産性の向上」、及び「Webサービスローンチ・収益化」を目指していきます。
目指せ年収3000万円。
経営者という立場になってわかったことですが、「自分の実力次第で年収3000万、億だっていける」というのが現実的に収入が実力次第で青天井なので可能だし、当たり前にそうしている人がごろごろいる。
僕は2流の技術者なのかもしれないが、2流の技術者すらめちゃくちゃ稼げるということを、この背中を世に示したい。そうすればIT業界は今よりもっと優秀なやつであふれかえる。
だから僕は、稼ぎ続ける。
それでは長くなってしまいましたが、本記事はこれで終わりにしたいと思います。
メリー・クリスマス!
2018年度版の記事はこちら
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。サポートいただけると記事を書くモチベーションになりますので、よろしくおねがいします。