ブラック・アウト
ブラック・アウト
あれだけ執拗に降り続けたこの国の雨がやみ、インドネシア全域はここスマランを含めて乾季に入っていた
直接的な被害をもたらす雨こそ止めど、凶雨が残していった禍根は不気味に形を変えてここスマランの東、そしてインドネシアの「第二の都市」、スラバヤに静かに生まれ落ち、そして猛威を振い始めた
何故、このデング熱が雨が残していった禍根なのかは明白で、亜熱帯気候のここインドネシアの広大な森林地帯に降り注いだ雨が無数の水場を生み出し、乾季が伴う熱波を浴びると蒸発して消滅する直前に、蚊の温床となって大発生し・・・
近年はその蚊が致死性のある猛毒を持ち、凶悪なウィルスを体内に宿しながら不気味な変異を繰り返し、吸血鬼のように人々の血を求めて都市へやってくるのだ
すでにここインドネシア国内では、約60,000人が罹患し、500名以上の命を奪い去ってなお、何かが狂ってしまったかの様に爆発的に暴れ回っている・・・
誰にともなく、口に出してこう呟く
今年の前半は天変地異の恐怖と戦って、後半はまず、デング熱の恐怖と戦えと、あなたは仰るのでしょうか・・・
そしてこのデング熱の恐ろしさは、例えばあの伝説的なふたりの黒い医者も手を焼いている
そしてこのデング熱の恐怖は大使館からのメールよりも早く、実はもう最前にまで迫ってきており、わたしの運転手がすでに罹患し、隔離病棟で入院を・・・
強烈な幻覚を伴うと言われる高熱にうなされ続け、おまけに腸チフスまで併発し、まるで骸骨のように痩せてしまった運転手は退院して来てこういった
ミ、ミスター・・・ごっ、ご心配をおかけしてしまって・・・
へへへ・・・もっ、申し訳ありませんでした・・・へへへ・・・
・・・・・・。
こうして、わたしの目の前にデング熱という新たな「敵」が出現したところでブラック・アウト、舞台の暗転、再びこのアカウントを凍結させて、本来自分がすべきことに集中しなければならない
本来はここで、この六月に復帰したnoteの感想、そしてここインドネシアを取り巻く様々な現状を書こうとも考えていたのですが、書き始めるとまた長大な記事になりかねないのと、今回はもうあまり時間がないこともあり、あっさりと現在下書き用のアカウントで準備を進めている、今後の記事の予告だけを最後に掲載させて頂きます
予告
二歳の恋人との夕餉
人物/エッセイ
大分県・臼杵市
ある帰国休暇の際に母とふたりで可愛い姪に会いに臼杵まで
ひょんなことから、小雨が舞う冷たい冬の夕暮れに、このわたしと”ケイティ”のふたりで妹夫妻宅でお留守番を仰せつかり・・・「禁断の一時間」の幕が上がる
45歳の”おいさん”と2歳の”ケイティ”
年の差43歳の奇跡のラヴ・ストーリー
愛の記憶
”全米が泣いた”笑
税関物語
紀行/エッセイ
大規模なテロ攻撃を受けて厳戒態勢が敷かれたヨーロッパの某空港
そして近年、日本からの観光客が激増した東南アジアのある国際空港
そこで実際にわたしが体験した、トランジットを含めた一時入国及び税関検査時に引っかかり、めでたく「別室」で取り調べを受けることになってしまった海外の空港でのトラブルの記憶
「取り調べ」を終え、ひとりで異国の空港のスタンドで冷たいビールを飲みながら嗚呼・・・世界って広ぇなぁ~と黄昏てしまった涙の記憶でもある
旅行にせよ仕事にせよ、これから海外を目指される方は、特にこの記事に書かれていることを反面教師として、大いに学ばれていってください(涙)
三話のオムニバス形式を予定
ジョグジャを見てから、死ね
紀行/エッセイ/ジョグジャカルタ
そうします
海賊王には、わたしはなれない
紀行/エッセイ/スマラン
昨年から引き続き、今年75歳になる会社の「会長」が月に十日程度はここスマランに滞在されている
デング熱の猛威もどこ吹く風で、ポロシャツに短パン姿で口笛吹きながらも何やら忙しそうにジャカルタ、カリムンジャワ、ジェパラ、そしてカリマンタン島を飛び回っている・・・
そしてある昼食時に、会長はわたしにこう言った
さわまつくん、キッチンと寝室付きの船を買ってきたからさぁあ、釣りでもしながら一緒にバリ島まで行こうかぁあ?なぁに、二日もあればヨォ・・・
その話の腰を折るようにしてお願いですからどうぞお一人で
とはなかなか言えないものなのだ・・・
なぜならば、この会長にはすでに二度ほどジャワ海の漁船をチャーターした海釣りに連れていって頂いたが、高波が呼び起こす強烈な船酔い、日焼け止めを無視して内臓にまで突き刺さるような強烈な紫外線、本物の「海賊」がでるという噂の海域、水面下を獰猛に泳ぎ回る名前も聞いたことのないような本物の鮫たち・・・
それは”優雅なクルージング”ではなく、はっきり言って”命がけの航海”なのだ・・・
わたしはあの有名な漫画「ワンピース」は読んだことがないが、読まなくてもあの麦わら帽子の少年は、実際は大変なんだろうなぁと同情を禁じ得ない航海日誌
そして、この会長を見ているといつも、老いることも決して悪いことではないと思わせる「何か」が間違いなくあるのだ
そしてその「何か」は、先だってわたしの内部に在った「H氏への斬奸状」というある老人との思い出を記事として導き出すことになり、老いてなお、彼らのように迫力をもって生きることは果たしてこのわたしには可能なのかどうか、という点が今後書きたい記事のひとつの重要なテーマになりつつある・・・
これは現在進行形でもあるので不定期で「連載」という形式をとって、その一部始終を書きだす予定です
灯台と猛毒の雨
創作/短編/5,000字(縛り)
書けるかどうかはわかりません・・・
呪術師は甦ることができない
紀行/エッセイ/平原王墓(福岡/糸島)
西暦100年頃ー弥生時代初期
何者かの強い意志で叩き割られた国宝の銅鏡が示唆する、この小さな古墳の謎の埋葬者とは・・・
逆葬
この小さな王墓を造った者たちの声が聞こえてくる
”二度と甦ることがないように・・・”
かつて、この豊かな糸島の土地を治めた者とはいったい・・・
ゆめゆめ、わすれることなかれ
人物/エッセイ
両手の指に小さな障害を持って生まれてきた、今年二歳の甥っことの交流記
”いいか、坊主?
おいさんの話をよく聞くんだ。これからお前をラーメン屋に連れていくが、たとえ二歳児でも手をあげて元気よく「替え玉くだしゃい!」くらいは言えるようにならないと、これから先の激動の時代を生き抜くのはいささかきびしーぜ?
「麺の硬さ?」生意気なことを言うんじゃない。10年は早い
そしていいか、これだけはよく覚えておくんだ。おれたちはな、いつでもどこでもタフでなければならないんだ”
上記、七本以外にも構想中の記事がいくつかあるのですが、頭の中でおおよその構成を終えているのが上記の分となります
順不同で並べたのですが、もしも優先的にこの記事が読みたいとのご希望があればコメント欄でぜひお聞かせください
極力それにお応えさせて頂く形で、しかし全体の流れを見ながらこちらで一度考えてみます
そして今回の復帰では試験的に文字数の上限を取り払って書きたいだけ書いてみましたが(いや、一ヶ月しか猶予がなかったので一話に詰め込みました・・・)、次回以降の復帰では「短編」を5,000字までとし、「長編」を10,000字までとする私的な定義を設け、それ以上に長くなるのであれば「連作」という形式で書くつもりでいます
そして今回の復帰では長文だったのにも関わらず、予想以上に記事の最後の一行までお付き合い頂いた方が多く、率直に嬉しく思っています
おかげさまで「創作」の楽しみを思いっきり味わせて頂きました
本当にありがとうございました
そして申し訳ないのですが、明日6月30日(日)の夜には再びこのアカウントを凍結させて、アプリケーションの一時的なアンインストール及びメール通知も消すことに致します
わたしはあまり器用なタイプではないので、noteと仕事を両立させることができないのです
ひとつの事にしか集中力を発揮できないタイプなのです
そしてそれはnoteでは「書くこと」よりも「読むこと」に常に重点を置いているからなのかも知れません
「凍結」以降にコメントを送って頂いた方には、大変恐縮ではありますが復帰後に改めてご返信させて頂くこととなります
他意は一切ございませんので、ご理解頂ければと思っている次第です
では今回はこの辺りで失礼させて頂きます
またお目にかかりましょう
では
また
Yukitaka Sawamatsu
おしまい
BGM
飾りじゃないのよ涙は
井上陽水