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わたしが、鬼婆仮装行列をやったわけ

福島県二本松市には黒塚伝説という話がある。
俗にいう、鬼婆伝説だ。

二本松には、その昔旅人を喰らう鬼婆が住んでいたという。
その鬼婆は昔は美しい一人の女性で、女性がなぜこの地に住み着く鬼婆になったのか、なぜ旅人を襲うのか、そして退治されるまでのかが語り継がれている。

私はその黒塚伝説がある二本松市で育った。

私が関東で仕事をしていた頃、安達ヶ原の鬼婆の話を埼玉や東京の子供達がしていて、驚いたことがある。子供というのは今も昔も、ある一定の時期に都市伝説やら怪談話にハマる傾向があって、その過程で妖怪図鑑・都市伝説本を読んで「黒塚=鬼婆」を知るのだと思う。

黒塚伝説は、怖くもあり、悲しくもある話で、私はこの話が大好きだ。
慣れ親しんだ地元の昔話ということをベースに、遠い土地の子どもたちも知っていたという誇らしさと、そして何より、子供の時はハラハラドキドキする昔話として、大人になってからは鬼婆になった女性の思いが何となくわかる昔話として、愛着がある。


そんな場所で、以前よりお付き合いのあるそらのまちマルシェさんが今年(令和5年)は定期的にイベントを開催していて代表の松尾さんから「何か面白いことができないか」と相談をいただいたことがきっかけだ。
私は「規模が小さくてもいいから仮装行列をやってみませんか」と提案させていただいた。初回なので、10人くらい集まればいいよね、という細やかな想いだったけれど。

昔話を聴いて終わり……ではなくて、参加型・体験型でみんなで楽しめる「今も続くお話」にできたらいいなと思っている。昨今はタブレットやスマホを通して、子供たちも、どんどん刺激のある情報に触れている。ただの昔話で終わらない「身近な昔話」として捉えてもらうには、体験も必要なのではないかと思う。


実はこの鬼婆仮装のイメージは私が小学生くらいの時からひっそりと胸の内にあったもので、安達ヶ原ふるさと村の入り口のトンネルを歩くたびに、「この暗いトンネルの中に鬼婆が出たら怖いだろうな」とぼんやりと思っていたものが、なんとウン十年の時を経て実現した。笑

今回、地元の語り部の方々に、鬼婆伝説の語りもしていただいた。仮装行列は、飛び入りの子供たちや福島市の方々も参加してくれた。

鬼婆仮装は、参加者さんから来年も参加したい!日程が決まったら知らせて欲しいと言ってもらえているようで、細々続けばいいなとは思っている。
(ここは会場さんが貸してくれるかにかかっているけれど・・・)

お姫様を大切に思うあまり妊婦の生肝を取るというなかなか狂った旅に出た岩手さん。そして実子を殺してしまったショックで鬼婆になってしまった岩手さんの伝説がある場所が、、、、たまたまとはいえその後キッズパークになっているのは、なんか不思議。

みんなで仮装して、『心の中の鬼を露わにする日』でもいいし『鬼愛しているモノについて叫ぶ日』だっていいと思う。



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