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ゆきすく流緊縛ショーの作り方

皆さん、明けましておめでとうございます!新年いかがお過ごしですか?私は早々にインフルエンザにかかってしまい、クソ楽しみにしていた縛り手飲み会を泣く泣く欠席しております…そのストレスを発散するために筆を取っている、というところであります。

そんな幸先の悪い2024年をスタートとしているゆきすくりーむですが、今回のnoteでは「緊縛ショーの作り方」を皆様にお伝えをしようと思っております。

ありがたいことに昨年も沢山の場面で緊縛ショーをさせて頂きました。時折お客様や同じ縛り手さんから「どうやってショーの構成って考えているんですか?」と聞かれることもあるので、noteにしちゃえ!という魂胆ですな。

・これから緊縛ショーの挑戦したい縛り手さん
・緊縛ショーを楽しむ観点を増やしたい方

あたりにおすすめです。ではどうぞ!


緊縛ショーのゴールを決める

私が新しい緊縛ショーの演目を考えるときに、起点としているのはココです。私にとっての緊縛ショーのゴールというのは「お客様に価値を感じて頂く」ということ。決して安くないお金を払って観に来て下さっているお客様に、感動やHappyな気持ち、いいもの観たな〜っていう感情を持って頂くことをゴール設定するようにしています。

但しここのゴール設定を自分本位で設定してしまうのは良くないので、私は以下の順番で思考を深掘りしていって「自分たちが届けられる価値は何か?」を考えるようにしていきます。

  1. そのイベントはどんな「場」か

  2. そのイベントに来られるお客様の感情や期待は何か

  3. 自分たちが出せるオリジナリティは何か

そのイベントはどんな「場」か

緊縛イベント、SMイベントといってもそれぞれ趣旨も違えば色も違うわけですよね。自分本位なショーにならないためには、自分たちが出させて頂くイベントはどんな「場」になるかを事前に想定しておく必要があります。
細かく言語化するのは難しいのですが、例えば私がこれまで出てきたイベントだとこんな感じに分けられるかなぁと。

・若縄:若手の縛り手が思い切って自分たちを表現する場。新しい、若々しい縛りが受け入れられやすい。
・SM Festa@ミカド劇場:基本的にはえっちな女の子を観に来る場。縄の技術や縛り手の格好良さより、受け手女性の妖艶さや生々しさ、はしたなさが受け入れられやすい。
・SMファン感謝祭:「マニア」と呼ばれるようなSM・緊縛ショーの観劇歴が長い目の肥えたお客様が来られる場。本格的なSM・緊縛がしっかりと評価され受け入れられやすい。

勿論どんな「場」でも通用するような圧倒的なパフォーマンスができるのが理想ではあると思うのですが、現状の私にはそんな実力がないのでまずはしっかりとイベントの趣旨や色に合わせていくことから考えていきます。

お客様の感情や期待は何か

これはイベントはどんな「場」か、に少し近くはあるのですが、そのイベントにお客様はどんな感情を持って、何を期待して来られるのか…を次に考えていきます。

例えばお店の周年イベントであればお客様はお祝いの気持ちを持って来られると思います。おとなわ会とかであれば、ちょっとクスッと笑えるような演目を期待してお客様は来られると思います。大繩あそびであれば観ていて心が温かくなるような演目を期待してお客様は来られると思います。

自分たちが出させて頂くイベントはどんな「場」でお客様はどんな「感情」で来られて、何を「期待」されているのか、そんなことを考えていきます。

自分たちが出せるオリジナリティは何か

ここからはゴールを考えつつ、構成を考えていくパートにも入っていきます。正直ベースでお伝えすると、この段階ではイベントに出る他の演者さんたちのことや当日の香盤をイメージしながら、自分たちに出せるオリジナリティを考えていきます。

分かりやすくお伝えすると、他の演者さん達が全員「後手縛り」ベースでやりそうであれば例えば自分は「前手縛り」でやろうとか。SM色が強めな感じであれば、少しイチャラブを濃くしようとか。

但しここで一番やっちゃいけないことは、自分のオリジナリティを出すこと優先して、イベントの趣旨やお客様の期待を無視してしまうこと、です。なので前述した2ステップが重要になってくるわけですな。

ざっくりいうとこの3ステップを経て、緊縛ショーで自分たちが届けられる「価値」=ゴールを決めていきます。

例えば「観ていて最後Happyになるような緊縛ショー」「少し衝撃的な今までに観たことのなうような緊縛ショー」「こんな風に緊縛を楽しめるパートナーと出会いたくなるような心温まるほっこりショー」などなど。まぁ価値というと堅苦しいかも知れませんが、お客様に届けたいテーマと言ってもいいかも知れませんね。

さて、次からは構成編です。

緊縛ショーの構成を決める

ここからいよいよ構成作りに入っていきます。実際は順番が前後したり、行ったり来たりすることもあるのですが、大体以下の順番で構成を考えていきます。

  1. 会場の雰囲気、条件確認

  2. 時間配分

  3. 構成作成の起点決め

  4. 仮構成

  5. 仮音合わせ

  6. 構成決定&音源最終化

会場の雰囲気、条件確認

基本的なところで行くと吊り処が何点取れるのか、竹は使えるのか、ステージの広さはどれくらいでお客様との距離はどれくらいなのか。洋風な雰囲気なのか、和の雰囲気なのか。下見に行ければ一番良いのですが、難しければ過去そこでされたイベントの写真などを観てチェック!

無理にその会場の雰囲気に合わせる必要はないですけど、明らかにその「場」と合っていないな…と思われるような演目は避けた方がベターですね。

時間配分

当たり前ですけど各演者の持ち時間が割り振られているので、最初に私はある程度自分の中で時間配分を考えてから実際の縛りの構成を考えるようにしています。そして時間配分に関しては自分の中である程度目安があります。

・縛り始めから吊りの展開に入るまで:8分以内目安
・解き縄:4分以内

なので必然的にこれらのトータル12分を持ち時間から引いた時間が、吊りの展開に使える残り時間になります。勿論持ち時間が短かったり、長かったりすると調整することはありますが、私の場合は25分〜30分くらいが多いので、大体この時間配分がちょうどいいんですよね。

これで吊りに使える時間がざっくり分かると、大体何展開くらいできそうやな〜とかがぼんやりとイメージすることができます。

構成作成の起点決め

次に構成を作るにあたっての起点を決めます。
僕の場合、多い順に並べると以下のような感じです。

・どう終わりたいか、から考える
・したい吊りの形(展開)から考える
・どう始まりたいか、から考える

この前密蜜さんの周年でやった「ボカロ緊縛」は完全にどう終わりたいか、から作った演目ですね。あと「君の縄」もそうですし、私が舞台デビューでやった「メンヘラ緊縛」も終わり方から考えました。終わり方から逆算して考えるパターンですね!

次に多いのは、したい吊りの形(展開)から考えるパターン。なんか新しい吊りの形ができた時とか、カッコいい展開が思いついたときによくやるやつですね。ある程度ここをクライマックス・見せ場に持っていくことを想定しつつ、そこまで持っていくための形を考えていきます。

最後はあんまりないんですけど、どう始まりたいかから考えるパターン。例えばいつもと違って「前手縛り」から始めたいなとか、竹と一緒に縛りたいなとか、ちょっといつもと違う縛りに挑戦したいときにやるパターン。

こんな感じで構成作成の起点をどこに置くかをまず決めてから、どんな展開をしていくのか、どんな構成にしていくのかを考えていきます。

仮構成での練習開始

ある程度頭の中で構成がイメージできたら一旦仮でやってみて、イメージ通りに行くかどうかを確認します。ここでの確認項目はざっくり以下の3点です。

  1. 時間配分に収まるペースでできているか

  2. 美しい形が出来上がっているか

  3. 作業時間が長くなっていないか

時間配分に関しては練習して慣れれば短縮できる範囲なのか、時間がかかっている部分はどこなのかを確認しつつ、短縮するための作戦をいくつか考えてみます。使う縄の長さを変えるのか、ポイント練習するのか、カラビナの掛け位置を変えるのかなどなど…

美しい形が出来上がっていない場合は基本自分の実力不足なので、理想の形とのギャップがどこにあるかをなるべく客観的に分析するようにして、練習を重ねて理想の形に近づけていきます。理想の形となる写真とかを見返して、自分の形との違いはどこか…を見つける作業ですね。

作業時間というのは観ている人にとって「変化のない」時間ですね。言語化難しいのですが僕は仮構成で練習しているときになんとなく「うわ〜この時間お客さん暇やろな〜」って思っちゃうことがあります。その場合はとにかくそこを早くする練習をするか、途中で変化をつけるような工夫をするか、少し構成を変えて作業時間を分割する、などしてなるべく作業時間を減らす作業をしていきます。

仮音合わせ

仮構成での練習をして、ある程度改善の方向性が見えてきたら仮音源での合わせ練習に入ります。当たり前ですけどいくら良い改善作戦を思いついても音源と合わなかったら全く意味ないので…。緊縛ショーの選曲と音源作りについては、語るとそれだけでまたnote一本分とかになりそうなのでまたの機会に。

仮の音合わせでは用意した音源でざっと流して合わせてみます。私の場合はある程度仮の構成と音源候補を決める際に「ここで〇〇の展開に入る」「このサビ直前でこの吊りを完成させる」をイメージしてるので、そことのギャップがどれくらいあるかを確認します。

ギャップがある際は自分の構成をイジるというよりかは、音源の方を編集します。イントロや間奏を短く・長くする、とかしてですね。私の演目は結構「音ハメが気持ちいい」と言われることも多いのですが、実は裏でハメるために結構細かい編集をしているのです笑

構成決定&音源最終化

これらのステップを経て、構成を決定して音源を最終化していきます!そして最後の練習。私は一回完璧に決まったら、基本それで練習は終了としています。何回かやるよりかは、ある程度いいイメージを持ちつつも、ある程度の新鮮さを持ちながら舞台の上で演じたいという気持ちがあるからです。

終わりに

なんかすごく長々と書いてしまいましたが、こんな感じで私は緊縛ショーを作っています、というお話でした。最近だと縛り手さんの中には「ショーに出たい!」「ショーをやってみたい!」という方も増えてきましたので、少しでも参考になれば幸いです。


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