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「いろいろ大変そうでハラハラするけれど。タイミングのいい時に使ってください」 ~いつか、スタバでフラペチーノを

インターネットのメッセージやLINEで贈れるスターバックスのカードです。
遠く離れた町に住む友人が、ときどき私にこのカードを贈ってくれます。

今回、彼女がこのカードが贈ってくれたのは、春まだ浅き3月の初旬でした。
フェイスブックのメッセンジャーに乗ってカードはやってきました。

「いろいろ大変そうでハラハラするけれど。タイミングのいい時に使ってください」というメッセージがついてました。

わたしの勤め先の系列では2回のクラスターが発生しました。
1回目のクラスターのとき私は、以前のご利用者のお宅に出向くため、防護服を来て訪問しました。
介護の現場は離れていたものの、知らない職員を拒否する方だったので「私が適任だろう」ということになったのです。
その方がコロナだったのではないのですが、私の前に訪問した職員が陽性だったのです。

可能性は低い、だけどもゼロではない。
そのポジションはあいまいすぎて、油断しているとすぐ波にさらわれて「なかったこと」にもできそうな気がしました。

それでも、軽症ではすまなかった方も何人かいました。
いまだに後遺症のある人もいます。
独居で認知症のある彼女が病院で点滴を受ける事態になったら、一気にADLが低下してしまいます。
そんなことになっては済まされない、そう思と気持ちがガチガチになりました。
安全ゾーンを作り、そこで防護服の着脱。ウィルスが付着しないように裏返しに脱ぎ、ゴミ袋に入れてきちんと処理。
研修まで受けて練習したのに、ボロボロでした。緊張して、どっと疲れました。

実際の現場に立って、なさけないほどボロボロになったわたしを、遠くの彼女が心配してくれて、このカードを贈ってくれたのです。

「そうだ、いつか、おしゃれな都会にショッピングに出かけよう、このカードでスタバでフラペチーノを飲もう!」

こんな簡単な目標が、いつか自分を支えるためのモチベーションになりました。

買い物はなるだけ市内で午前中に済ませ。
外食は、なるべくテイクアウトで。
そして電車にも乗れなくて。

でも、そろそろ電車乗らないと、乗り方忘れてしまうんじゃないかな。

すごく思い切って、4月になって電車に乗って都会へ行きました。
通勤時間をすぎた午前中の電車は少なくて、ゆったりとしていました。

お待ちかね! スタバで早めの軽食です。


kitteの地下のスタバ。
kitte はめっちゃダンジョンで苦労したけれど、ゆったりしてて好きなスタバです。
フルーツコーヒー牛乳?
おいしかったです。

そして「ああ、これがしたくてこれまでがんばれたんだ」って思えて、すごくほっとした。
ありがとう! 私の大切な友達! そしてスタバのカード!

閉塞した日々は、まだまだ続くのでしょう。

そのあいだに私は年を取り、パスポートの期限も切れ、旅行の仕方も忘れてしまうのかもしれません。
半年に一度のペースでひとり旅をしていたことが、今となっては信じられません。
私はまた、旅行に行けるんでしょうか?
旅行どころか、デッサンの練習にも行けていません。
まだまだ、人が集まるところが怖いのです。

それでも、スタバのカードでワンステップのぼれました。

もう、ワンステップ、そして、ワンステップ。
そして少しずつ、以前の暮らしに戻っていけますように。

それまでのあいだ。
ひどい感染拡大もなく。
世界も平和であり続けられますように。

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