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12月30日に退院して、翌年1月3日になくなった方のケアプラン料は?

Oさん。男性70代後半。15年前に離婚したあとはひとり暮らし。近所に結婚した長女、次女あり。
重篤な持病があり大病院に通院中でした。
なんとなく「通院」だったものの、長女と次女は「動けなくなったら入院するだろう」と思われていたそう。
一方Oさんは、主治医のI先生には「入院はしない、家で最後まで過ごしたい」と常々話されていたそうです。

そんなOさんがいよいよ動けなくなって、必死で二人の娘に抱えられて入院したのがR5年12月29日でした。
タイミングよくふたりの娘はお正月休み中。
「もう退院したい。孫や子供と一緒に過ごしたい」とOさんは先生に言いました。
その時点でOさんの予後は週単位でした。
日頃からのおつきあいのあるI先生が、そのことを二人の娘さんに説明してくれました。
「え〜! どうしよう。介護なんてやったことないし、動けなくなったら困ります!」
「どういうことが困ると思いますか?」
I先生は、訪問のできる主治医を紹介し、訪問看護が毎日やってきてくれること、介護保険のケアマネージャーが介護ベッドなどの手配をしてくれることを説明してくれました。
そうした経緯でR5年12月30日にOさんは、一泊の入院ののち退院して自宅に帰ってこられました。

R5年12月30日午後3時。
わたしは仕事納めの準備も終わり、さて、今日はひとり出勤だし掃除機でもかけようかと思っていたところでした。
そんな、ケアマネージャーの私のところに一本の電話がかかりました。
お世話になっている訪問看護の管理者からです。
「こんなときに悪いけど、ベッドを手配してくれないだろうか?」
「大丈夫ですよ! 福祉用具貸与のTさんが正月休み中でも緊急対応するからいつでも電話くださいと言われてました。まずは、わたしが伺います。基本情報ください」
緊急対応大好きチームというのがあります。
まあ、わたしも足をつっこんでるかもしれませんw
LINEで次々と訪問看護から送られてくる病状や住所を見ながら、契約書を作って、地図を確認してご自宅に訪問しました。

Oさん。ゆったりとテレビを見ている。
点滴が必要なので、点滴するさいのベッドが必要との説明を行う。
ポータブルトイレも使わないでいいけれどいちおう用意する旨を伝える。
気難しいと聞いていたが、そうでもなかった。タクシーの運転手をしていたとのこと「おたくのタクシーに駅からよく乗ってました」と話すを笑みがこぼれました。
二人の娘さんは「最後まで家にいるなんて、そんなことできるんですか?」と不安そうでした。
「案外多いんですよ。看護師さんはお正月も毎日来てくれるし。緊急のときも電話すれば来てくれます。なによりもせっかくのお正月でみなさんいらっしゃるので、大切な時間を一緒に過ごしてください」
本人は、近所に住む親戚のおばちゃんに「もうなんの治療もないから帰ってきたよ」と話している。
おばちゃん、驚く。そんなことができるの?
「うちがいいからね」

医療ケアも大事だけれど、最期をどう過ごすか、自分の希望通りに過ごせることはとても大事なことです。
それを聞き取って、実現することもまた、わたしたちの大切な仕事です。

とりあえず、市役所は休みに入っているので、申請はできないけれど、書類を揃えておいて、あとでなんとかしよう。ケアプランがあれば算定できたはず、とのんびりと構えました。

12月31日朝9時。
福祉用具貸与のTさんがきてベッド設置。本人は「もうちょっと背あげして」と、こたつの中からいろいろ注文している。
今日はここのベッドからゆっくりテレビを見られるんでしょう。
大晦日の準備万端!
訪問看護もきて、サービス開始の担当者会議をおこないました。
書類もばっちり!
Oさんが「今日は風呂にも入りたい」というので、福祉用具Tさんがいったん会社に戻ってシャワーチェア を持ってきてくれました。
「これ、あると安全ですよ!」
デモ品、ありがたし。

1月1日は子供や孫や親戚に囲まれてOさんはなごやかに過ごしたそうです。
1月2日はちょっと具合が悪かった。
そして1月3日の未明に家族に囲まれて亡くなり、看護師さんがきちんとエンジェルケアしてくれました。

3日の夜がお通夜で翌日お葬式。
「仕事が始まると介護どうしようと思ってたけれど、きちんとお別れできてよかった」と娘さんは、晴々されていました。

1月4日仕事はじめ。市役所に朝一番に行く。
正月休み中の対応はしてくれるとのことなので、12月31日の日付の居宅届けを出す、却下される。
認定調査の書類をだす「もうなくなってるから無理ですよ」。
「でも。書類が揃っていればプラン料算定可能って青本に書いてありますよね?」
「それは認定を持っている人、この人、介護認定もないので、無理ですよ」
むき〜〜〜〜〜〜〜〜!

平仄にあわない!

そもそも12月30日に市役所が開いていれば、なんとか今日明日で認定調査をねじ込んでもらえる。
そして主治医の意見書は可能なので、亡くなったあとでも介護認定は可能、なはずなのですが。
「それは、こっちが休みだったからいけないってことですか?」むっとされる。
「休みだったからいけないのではなくて、こういう場合にも同じ条件での対応が必要だとお話ししています」

いや、門前払いでした。

考えてほしい。
人は死ぬ時刻を選びません。
そして、わたしたち24時間対応の事業所は、その中でなんとかできる対応をしています。
そして、そんな緊急のタイミングで、いっしょにやりたいと対応してくれる大切なチームメンバーもいます。

今回はベッドの介護保険算定は間に合わない可能性が高かったので、自費で10割でご了承しただきました。
問題なく払ってくださいました。

訪問看護は医療保険だったので、介護保険は関係なしでした。

で。わたしのプラン料は?
12月と1月分。2ヶ月の分のプラン料が入らなかったことになります。

むきーーーーー!
わたしのプラン料を返して!!!

仕事は楽しいけれど、「やりがい搾取」はされたくな〜い!





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