バイク

父親が多趣味な人で
趣味の1つにバイクがある。

父の昔の写真を見ると
バイクや車と写ってるものが多い。

それでも、
私が中学生に上がるまでは
うちには車もバイクもなかった。

結婚を機に都会に来た時
車もバイクも手放していた。

そんな父が
私が中学生の頃
バイクを買った。

大型のBMW。

地元の先輩らが乗ってるバイクよりも
一回りは大きいバイク。

中学生という
多感で思春期真っ只中な私でも
このバイクに乗ってみたくて
父親の後ろに乗せてもらった。


日頃会話も滅多になく、
そもそも余り顔を合わせない。

そんな中でのツーリング。

久々に父の背中を見た。

幼い頃、
父はよく散歩に連れてってくれた。

思えば
その頃もあまり会話がなかった気がする。

私が何か言うと
呆れたような困ったような
なんとも言えない顔をしていた。

でもそれが父の笑顔なのだ。

そんな事を思い出しながら
会話もなくただ風を楽しんでいた。

1時間程度のツーリングを終えて
家に戻ったあと、
また後ろ乗せてね。と伝えると
呆れたような困ったような顔をした。

その後、
その約束が果たされる事はなかった。

私が16歳で免許を取ると伝えた時
バイクは死に直結するから
よく考えなさいと言われた。

それでも
免許とったら一緒にツーリングしたい。
と伝えるとまたあの顔をした。

結局、免許は18歳でとって
免許が交付された日。

初めて道路を運転した日。

私は父と一緒にバイクで走った。

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