歴史を勉強する理由

私がこの一年で学んだことは歴史を知ることの重要性である。学業においては量子力学を専攻しているが、学習の際にはなぜそのような新しい理論が必要になったのか、既存のものではどのようにして破綻してしまうのか、という現在の理論ができるにあたった理由を学ぶことで理解を深めるように心がけた。また、独学で勉強している経済学においても、歴史を参照することを大事にしている。ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といったがそのことの大切さをひしひしと感じている。アメリカでは歴史的なインフレが起き、ウクライナではロシアとの軍事衝突がある。これは、個人の人生の長さのスケールで見れば初めてのことであるが、数百年のスケールで見れば過去に何度も繰り返してきたことである。直近のインフレは1970年代のオイルショックに似ており、軍事侵攻など歴史上何度もあった。歴史を学ぶことで自分の専門だけでなく世の中の動きも知ることができる。とくに、日本においては、60年以上前に丸山真男が、日本の学問や政治は個々の連携のないタコつぼ型であると指摘したように、日本の学問や政治は前提を持っておらず分野横断的な知が貧弱である状況は依然として変わっていない。これは、日本が古くは中国から思想を輸入し、戦国時代から特に文明開化においてヨーロッパの思想を輸入していくにあたって、前の思想をリセットし新しい思想を導入してきたことによる。つまりは、ヨーロッパや中国には存在する一貫した思想の歴史というものが日本にはなく、科学技術の結論のみを輸入するということをしてきた結果タコつぼ型になってしまうわけである。このような状況において、根源的な知を得るためには、日本の歴史のみならず、そもそもの知識の輸入元であるヨーロッパや中国の歴史も学んでいく必要がある。本来学問は歴史の集積によってできているものであるわけであるから、根本にある自国を含めた世界の歴史を学ぶことがいかなる分野においても必要であることがわかった。

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