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「超」メモ革命 ―個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる:全文公開 第1部第1-1章の1
『「超」メモ革命』(中公新書ラクレ)が刊行されます。
5月7日から都心の書店で、5月10日から全国の書店で発売予定です。
これは、第1部第1-1章の1の全文公開です。
第1部 「超」メモをとにかく作ってみよう
第1―1章 いますぐ始めよう
1 第1歩―ぐうたら版「超」メモで、とにかく始める
記録したメモをすぐに引き出せるか?
あなたは、身の回りの情報管理に苦労していませんか?
メモはしたものの、どこにいったか、行方不明で活用できない。
仕事に必要な情報をせっかく集めたのに、暫く使わないでいたら、紛失してしまった。
緊急の事態なのに、必要な番号などがわからなくなってしまった。どこかに記録はしておいたのだが、どこを探しても見つからない。
このような状態になっていないでしょうか?
こうなると、せっかくメモを書いたり資料を集めたりしても、それらが無駄になってしまいます。
こうした問題への解が、本書が提案する「超」メモです。
情報が多くなると、何もしないでためるだけでは、引き出すのは難しくなります。
ためるだけで直ちに活用できるわけではありません。必要な情報を引き出すためには、適切な仕組みを作る必要があります。本書で提案するのは、その仕組みです。
本書が提案する方法を用いれば、いくらでも情報をためておくことができ、また、必要なときにあっという間に引き出せます。
誇張でなく、「魔法のようなメモのシステム」が可能になります。
この方法を用いることで生活が便利になることは間違いありません。それだけではありません。それによって新しい可能性が次々に生み出されます。
人間は新しいものには警戒心を持ち、拒絶する
本書がこれから提案するのは、新しい方法です。
それは決して難しいものではありません。誰でも、簡単にできます。
ところが、人間は新しいものに対しては、本能的に警戒心を持ちます。「これまでのもので支障なく仕事ができているのだから、何も新しいものを持ち込まなくてもよいだろう」というわけです。
そして遠ざけていると、ますます遠ざかってしまいます。
逆に、なんらかのきっかけで、新しいものを導入すると、意外に役に立つことがわかります。そして、本格的に使うようになります。
「超」メモについて、何とかこの段階まで進んでいただきたいのです。
最初から完全なシステムを作ろうと思うと、なかなか取り掛かることができないかもしれません。
そこで、まず本章で述べる「簡便法」で始めていただきたいと思います。「超」メモは、かなりいい加減で「ぐうたら」な方法でも、十分に機能するのです。
何はともあれ、まず出発することが重要です。「超」メモが優れているのは、「とにかくまず始めてみる、そして自分の生活に合ったスタイルに徐々に直していくことができる」という点です。
図表1―1―1には、「とにかく始める」ための4歩を示します。
メールの下書きをメモに利用する
本書では、「超」メモ用に、Google が提供している「Google ドキュメント」の利用を提案します。
ただし、そのためには、Google ドキュメントのアプリをダウンロードしなければなりません。あっという間にダウンロードできるし、しかも無料です。誰でもできることで、実に簡単です。
ところが、「それも面倒」と思われるかもしれません。しかし、この段階でそっぽを向かれてしまうのは、いかにも残念です。そこで、まず、つぎのことを試みてください。
メールの送信欄を開いて、自分宛てのメールの下書きを作成します。そして、これを下書きのまま保存します。
後でこの下書きを開いて、追加したり、編集したりすることができます。これだけで、TODOメモや日記などに、便利に使えます。
また、どうしても書く気になれないが、書かなければならないメールの下書きを、音声入力で入力しておきます。そうしておけば、時間ができたときに清書して、送信することができるでしょう。
もう一つの利用法は、頻繁に利用する情報の記録です。例えば、外出時の携帯品のリストなど。あるいは、頻繁にアクセスするウエブサイトのURLなどを記録しておきます。
以上が、最も簡単な形態の「超」メモです。
「下書き」というと、何か中途半端なことしかできないような気がしてしまうのですが、実は、データをクラウドに上げる最も簡単な方法なのです。
本書では、この詳しい使い方について、第2―7章でGメールの場合について説明します。他のメールシステムでも、同じように実行可能です。いまでは、おそらくほとんどの人がメールを使っているでしょう。是非、いますぐに実行してみてください。
下書きメモに書いてある内容がある程度固まり、追加したり編集したりする必要がなくなったら、自分宛てに送信しておくこともできます。
「超」メモがなぜ便利なのか
この方式で情報を保存しておくと、意外に便利であることがわかります。
なぜ便利かというと、情報があなたの端末ではなく、クラウドに保存されたからです(「クラウド」とは、「インターネット上」という意味です。Gメールであれば、実際には Google のサーバに保存されています)。
クラウドに保存された情報は、あなたのPC(パソコン)やスマートフォンが故障しても、あるいはそれらの機器を紛失しても、失われることがありません。
しかも、必要になったときに、いつでも参照することができます。次項で述べるようにラベルを活用することにより、目的のメールをすぐに見い出せます。あるいは、検索機能を利用することもできます。
スマートフォンからでもアクセスできるので、どこにいても、簡単に見たり書いたりすることができます。このため、思いついたアイディアをすぐに書きとめておくことができます。
いいアイディアを考えついたのだが、手許にメモ帳がない。紙片に書けば紛失してしまいそう。重要なアイディアなのでどうしても紛失したくない。こうした事態に対処できます。
このようにして、情報をクラウドに上げることの意味を実感できるでしょう。
下書きメモを進化させる
メールアプリにある様々な機能を利用して、下書きメールを進化させることができます。
まず、添付ファイルをつけられるので、膨大な資料などを簡単に保存し、あとから簡単に引き出すことができます。パスワードでロックした Word ファイルを添付すれば、重要な資料も保存することができます(Word ファイルのロックについては、第2―7章の4を参照してください)。
また、強力な検索機能が使えます(下書きメールも検索の対象となります)。
さらに、個々のメールにラベル付けができるので、あとから簡単に見い出せます。メールの自動振り分け機能を活用すると、メールの系統的な分類・保存が自動的にできます。こうして、通常のメモ帳よりは、ずっと便利なメモ帳として活用することができます(メールのラベル付けと自動振り分けについては、第2―7章の2を参照してください)。