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『アメリカはなぜ日本より豊かなのか』     全文公開:目次

 『アメリカはなぜ日本より豊かなのか』(幻冬舎新書)が8月28日に刊行されました。
 これは、目次全文公開です。

目次

はじめに
図表目次

第1章 日米給与のあまりの格差
1 日米給与格差は、信じられないほどに開いてしまった
アメリカは平均値で、日本より2倍程度豊か/ソフトウェア・エンジニアの給与:アメリカは日本の4倍/グーグルのトップエンジニアの年収は4億円!/金融専門家の初任給:アメリカは日本の7.5倍!/日米間格差は解消できるか?

2 実質賃金が回復するアメリカ、下落が続く日本
インフレと金融引き締め/アメリカで実質報酬の伸び率がマイナスだったのは、一時的/アメリカ:人手不足が賃金上昇を引き起こした

3 日本とアメリカのどこが違うのか? 
アメリカで賃金が上昇するのは、技術革新があるから/技術革新が起こらない日本で、目覚ましい賃金上昇はありえない

第1章のまとめ

第2章 先端分野はアメリカが独占、日本の産業は古いまま
1 先端企業がアメリカをリードする
時価総額ランキング100位内にアメリカ61社、日本1社/マイクロソフトとアップルだけで、東証プライム時価総額とほぼ等しい/新しいハイテク産業:製薬/アメリカの主要産業は、自動車でも製鉄でもない/日本は古い産業構造から脱却できない/教育→専門家の創造的活動→高い報酬

2 アメリカはなぜ先端分野ほど強いのか?
先端的な分野ほど、アメリカは強い/最先端分野の強さを支えるのは、大学の水準の高さ/人口当たりでは、日本は欧米の10分の1以下/日本企業は、専門的知識を要求していない/研究・教育活動に十分な資源が充てられていない

3 AIブームで引き起こされた半導体ブーム
半導体ブームと株価/半導体ブームというより、AIブーム/半導体には、さまざまな機能のものがある/エヌビディアが引き起こしたAI向け半導体ブーム/安全保障上の観点から、半導体への需要が高まった

4 日本の半導体産業は、世界から取り残されている
日本でも、半導体関連企業が日経平均株価を牽引/日本の半導体産業は、全体としては立ち後れ/TSMCの熊本工場は日本の半導体産業を変えるか/ロジック半導体では、日本は昔から弱かった/半導体製造装置や原材料で日本が強いのはなぜか?

5 半導体復活に必要なのは、補助金でなく、技術・投資・人材
ラピダスに9200億円の支援/国策会社:失敗の歴史/補助金漬けになって弱体化した/必要なのは、「技術と投資と人材」

6 デジタル化を進めるほどに、赤字が増える日本
「通信・コンピュータ・情報サービス」で日本は世界最大の赤字国/クラウドはアメリカに頼るしかない/天然資源の乏しさを技術で補うべきなのに/外国人旅行者の増加は円安のため

7 脱印鑑は実現せず、事務負担は増えるばかり
その昔、「脱印鑑」と言われたことがあった/アナログだけより複雑化し、悪化している/マイナンバーカードで事務負担が増えた/日本の警察はメールとネットに手も足も出ない/日本のデジタル化とは、デジタル庁を作ることか?

8 日本はGDPでドイツに抜かれた
日本はドイツに抜かれたが、株価は上昇した/日本の一人当たりGDPは1990年代の中頃から成長していない/円安の影響が大きい/2022年からの急激な円安/円安が企業利益を増やした/構造的変化と一時的な変化の違い

9 「バブル後最高値更新」の中身の、なんと空虚でみすぼらしいことか
アメリカは14倍、日本は1倍/日本経済は成長しないのに、最近の上昇率は高い/アメリカでは新しい産業が誕生。日本は労働力の安売り/日本はやっと1990年、アメリカより35年遅れ/「日本経済の新しい時代の始まり」と言えるか?/円安による利益増/為替差益期待が原因か?/株価が下がる要因はあるが、上がる要因はない

第2章のまとめ

第3章 円安に安住して衰退した日本
1 異常な円安が進み、日本人が貧しくなった
2021年から、急激な円安が進行/日本人が貧しくなった/「円安の是非」などと論じるのはおかしい

2 円安になれば企業の利益が増える
円安になれば自動的に利益が増える/円安は「麻薬」。技術開発という「手術」を怠った

3 異常な円安(1):日本円だけがコロナ前の水準に戻れない
2022年10月までの第一局面:ドル高/ユーロやポンドは、2021、22年の急激な減価から回復/日銀の金融緩和維持スタンスが、歴史的円安を招いている

4 異常な円安(2):購買力平価に比べて、円安すぎる
実質実効為替レートで見た円の購買力は、1990年頃の半分に低下/ビッグマックによる比較では1ドル=79円が適切なレート/OECDとIMFが計算する購買力平価は1ドル=90円程度/現状の市場レートは購買力平価より大幅に円安/金融正常化:長期金利を市場に委ねることが必要/円安は、日本を弱くする

第3章のまとめ

第4章 春闘では解決できない。金融正常化が必要
1 賃金と物価の好循環は始まっていない
2023、24年の名目賃金上昇は、労働需要増加によるのではない/2023年春闘の評価/実質賃金は下落を続けた/重要なのは「ベア」/経済全体の賃金を決めるのは春闘ではなく、中小の賃金/掛け声だけでは、賃金は上がらない

2 生産性向上を上回る賃上げは、スタグフレーションをもたらす:2024年春闘の評価
2023年を上回る高額回答/実質賃金下落が今後も続く可能性/生産性の伸びを上回る賃上げは危険/賃上げが販売価格に転嫁されるのは問題/消費者物価に転嫁されて、賃金と物価の悪循環が生じる危険/スタグフレーションが悪化する危険/金融正常化が緊急課題/円高に誘導して実質賃金を引き上げよ

3 低金利政策で、企業の生産性が低下
低金利による円安で、企業利益が見かけでは増加/収益率の低い投資で、企業の生産性が低下した/低金利は、日本経済凋落の基本的な原因/生産性低下は見えにくいので、金利がある世界への復帰は政治的に難しい/日本企業の競争力が低下/財政の放漫化をもたらした

4 20年以上の金融緩和政策で日本が衰退
2000年頃から継続してきた金融緩和・円安政策/低金利と円安によって、日本が衰退した/円高と高い金利に適応した新しい経済構造を/日本経済の望ましい姿は何か?

5 日本経済は停滞を続ける(その1):スタグフレーション
定義どおりのスタグフレーション/さまざまな指標が経済活動の停滞を示す/企業の利益は円安で増大/価格転嫁のメカニズムが変化?/賃金と物価の悪循環が生じるおそれ

6 日本経済は停滞を続ける(その2):消費支出の落ち込み
消費支出がコロナ前の水準に回復しない/民需の落ち込みを政府支出でカバー/補正予算で巨額の支出増/円安による訪日観光客増加は、生産性上昇に寄与しない

7 日本経済正常化のために、金融正常化が必要
なぜ金融正常化が必要なのか?/2024年最大の課題は金融政策正常化/世界で最後に、やっと金融正常化/金融正常化すれば、異常な円安から脱却できるか/物価上昇率が低下する可能性/日銀はインフレの拡大防止を目的とすべきだ/財政資金の調達は困難になるが、財政規律のためには望ましい/本当は、企業の立場からも金融正常化が望ましい/近視眼的金融政策から脱却できるか/日銀債務超過問題をどう処理するか

8 長期金利が2%を超える、新しい経済の構築
2%の物価上昇率なら、長期金利は3%台/アメリカでは、長期金利がバランスの取れた水準にある/日銀はありえない経済を求めて、過剰すぎる金融緩和を行なってきた/物価上昇のメカニズムも問題/長期金利は2~3%程度になる必要がある/金利がある世界への移行で生じる問題/潜在成長率の引き上げが重要な課題

第4章のまとめ

第5章 アメリカの強さの源泉は「異質」の容認
1 コロナワクチン開発で示されたアメリカの強さ
驚くべき速さで開発されたコロナワクチン/mRNAという新しい技術/研究者はノーベル医学賞を受賞/可能性を与える国、アメリカ/ナチの非寛容主義のコストは著しく高かった/アメリカ企業の多くは、移民や移民2世が作った

2 エヌビディアは典型的アメリカ企業
外国生まれが作った企業がなぜ重要か/オープンな社会だから、ファブレスができる/ウィンブルドン現象の本質は「場所貸し」/研究活動への「場所貸し」で強くなったアメリカ

3 古代ローマから続く最強国の条件は、「寛容」
アメリカが世界を制覇できた理由/貧しい中国系移民の大成功物語/ローマの偉大さは寛容政策による属州統治の成功/アメリカは古代ローマの「寛容政策」を受け継いだ/人種問題と男女平等問題

第5章のまとめ

第6章 強権化を進める中国
1 中国政府の強権政策が経済を抑圧している
中国で公務員の給与が半年間未払い/中国の人口の2倍を超える空き家がある!/経済成長率が低下し、物価が低迷/中国は、技術力で新しいフロンティアを拓くと思われていた/強権的な習政権が自由な経済活動を抑圧/ゼロ・コロナ政策が「白紙革命」で頓挫/強権的な政策が経済を弱める

2 アメリカに押し寄せる中国からの不法移民
熱帯雨林を歩いてアメリカに押し寄せる中国人不法移民が急増/中国から脱出して、アメリカに移住するのが中国人の夢/中国は決して覇権国になれない/なぜ日本に来ないで、アメリカなのか?/日本は移民を認めようとしない

第6章のまとめ

第7章 トランプはアメリカの強さを捨て去ろうとする
1 移民が大統領選の最大争点に
不法移民増加がアメリカで大問題に/不法移民でニューヨーク市は大混乱/不法移民で溢れる「聖域都市」/トランプの答えは明快/バイデンは右顧左眄?/バイデン政権はあまりに性急に国境を開いてしまった?

2 移民が増えれば、インフレは収まる?
FRBの利下げと移民の深い関係/移民の増加は労働力を増やし、アメリカ経済に望ましい影響を与える/日本も、移民が人手不足を解消することを認識すべきだ

3 「もしトラ」に備える
「もしトラ」に備える必要がある/対外コミットメントの後退/対中強硬策をさらに強める?/中国に大きな変化があった/日米経済問題はどうなるか/防衛費負担問題にどう対処するか/日本は取引材料を持っているか?

4 第一次トランプ政権の経済政策を振り返る
米中関税引き上げ合戦/米中貿易合意と新型コロナの感染拡大/バイデン政権も対中強硬策を継続

5 大統領への過度の権力集中
ディープステートを解体するという強権策/大統領が関税率を変更できる

6 ローマは非寛容になって衰退した。アメリカは?
寛容性を失いかけているアメリカ/アメリカの強さを支える基礎条件を捨て去る

7 ハリス氏は、第二次トランプ政権を阻止できるか?
バイデン氏撤退、ハリス氏が登場/経済政策はどうなる?/不法移民流入問題が、民主党の最大の弱点/ハリス副大統領は、不法移民対策で成果を挙げられなかった/選挙というプロセスのバイアスを、ハリス氏が克服できるか?

第7章のまとめ

おわりに

索引

図版・DTP 美創


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