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「超」メモ革命                                            ―個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる:全文公開 第1部第1-3章の1

『「超」メモ革命』(中公新書ラクレ)が刊行されました。
5月10日から全国の書店で発売されています。
これは、第1部第1-3章の1全文公開です。

第1―3章 紙からの脱却


1 紙は一覧性でデジタルより優れている

紙の長所は一覧性
 紙とデジタル情報は、処理、伝達、最終的な閲覧という各側面において、どちらが優れているでしょうか?
 情報処理手段として、紙は多くの長所を持っています。
 まず、紙と筆記用具さえあれば、すぐに記録を残せます。
 もう一つの重要な長所として、一覧性があります。電子書籍やウエブの文献は、読みやすさの点で印刷物にかないません。ゲラの校正作業も、書籍のような分量になると、PDFファイルでは非常にやりにくくなります。
 紙の書籍であれば、クロスレファレンス(様々なページを参照すること)は容易にできます。しかし、デジタル情報では、異なるぺージの参照は面倒な作業です。このため、複雑に関連したページの編集作業をデジタルで行なうのは、非常に困難です(この問題については、本章の3で再び論じます)。
 一覧性という性質は極めて重要であり、デジタル情報がいくら進歩しても、紙の長所として残るでしょう。

紙の書籍や新聞はなくならないだろう
 最終的なプロダクトの人間とのインターフェイスでは、デジタルよりも紙のほうが優れています。そして、この状態が近い将来に大きく変化するとは考えられません。最終的なプロダクトを表示することは大変重要なので、デジタルがこれを代替することは、少なくとも近い将来においては考えにくいことです。
 10年ほど前に、「紙の書籍は絶滅して、電子書籍に代わるだろう」と言われたことがありました。しかしそのようなことは起きず、紙の書籍はいまだに健在です。紙の書籍が電子書籍によって完全に駆逐されてしまうことは、多分ないでしょう。最終的な生産物、つまり書籍という形での印刷物は残るでしょう。書籍だけでなく、新聞や雑誌も多分残るでしょう。
 新聞の場合、ある記事をどの程度の大きさで紙面のどこに置くかによって、その記事の重要性を示しています。これが重要な機能です。デジタルな新聞では、これがわかりません。
 記事の内容を保存するにはデジタルの方が圧倒的に便利であり、新聞記事の切り抜き作業は悪夢のようなことでした。それにもかかわらず、紙の新聞はなくならないと思います。

人間とのインターフェイスでは紙の方が親和性が高い
 メモでも、紙に頼らざるをえない場合があります。例えば、人と話しながらメモを取るとき、紙に書いていれば、熱心に聞いているという印象を与えます。しかし、PCに向かってキーボードを叩いていると、あまりいい印象を与えません。また、話をしながら別の操作するのは、なかなか難しいことです。
 こうしたこともあって、多くの人が、メモには紙を用いていると思います。メモ帳、またはノート、あるいは、手近にある紙片などに書く場合が多いのではないでしょうか。
 つまり、入力の場合にも、人間とのインターフェイスでいえば、紙の方が親和性が高い場合が多いということです。

「超」メモなら、すべてのメモや書類を持ち歩ける
 情報の持ち運びにはどちらが便利でしょうか?
 1枚の紙片であれば、スマートフォンを持つよりも簡単に持ち運べるでしょう。しかし1枚の紙片でできることには、限度があります。ですから、紙片を常に持っていてそれにメモすることは必要ですが、それだけに頼るのでは能率が落ちます。
 紙束はかなり重いので、持ち歩ける情報量には限度があります。実際、書籍を書店から持ち帰るのに、重いと感じることがあります。
 ましてや、「自分が管理しているすべてのメモや書類を持ち歩く」などということは、もちろんできません。
 情報がデジタル化されても、PCなどの端末をいくつも持ち歩くわけにはいきません。
 しかし、「超」メモなら、それができるのです。


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