その後の展開(2) 自分を教育して考えを変えさせた
◆書籍ゲラの修正もPDFのほうがよい?
『『超』メモ革命』(中公新書ラクレ、2021年5月)の第1-3章の4(71ページ)で、「書籍ゲラの修正作業は、プリントアウトした紙に赤ペンで書き入れることによって行なっている」と書きました。
書籍の他の箇所との整合性チェックなどのために他のページを参照することが必要であり、PDFのようなデジタル手段ではそれが難しいからです。
また、削除するために線を引いたり、校閲者の指摘を受入れるために○をつけたりする作業は、紙にペンで書けばごく簡単にできますが、PDFでは若干の手間が必要になります。
こうしたことから、書籍ゲラの校正作業は紙でなければならないと、私は思い込んでいたのです。
(雑誌記事のような短い文章について、PDF上に修正を行なうことは、20年位前から行なっていました。なお、PDFに書き込みをするには、Adobeアクロバットというソフトが必要です)
◆考えを変え始めた
これについて、事態が変わりつつあります。先日は、書籍のゲラ校正をPDFで行ないました。
こうなった一つの理由は、コロナにあります。これまでは修正済みのゲラは編集者の方に対面で手渡していたのですが、コロナでそれが難しくなり、宅急便等に頼らざるをえなくなったからです。
まず事故は起きないと思うのですが、仮に輸送中に行方不明になった場合には、極めて大量の情報を含む世界に1つしかないものが失われてしまうわけで、極めて困った事態になります。
コロナ下で、これまで紙のプリントに修正をして宅急便で返却するということを何回も行なったのですが、毎回ヒヤヒヤの連続でした。
そこで、PDFに修正を行ったところ、こちらの方が便利な面もあるということに気が付いたのです。
第一は、PDFへの書き込みであれば、後からそれを消すことも可能だということです。
紙にペンで書いた場合には、それを取り消す場合には修正液等での面倒な作業が必要になり、そうしたとしても、かなり読みにくくなってしまうことは避けられません。
このようなことがあるため、大規模な修正を行なう前には、後で取り消すことがないように慎重に行っていたのですが、PDFでは、とりあえず書き込んでおくことが可能であるとわかりました。
PDFの方が優れている第二の理由は、いうまでもなく宅急便等に頼らず、メールあるいはファイル共有で簡単に送付できることです。
◆ 複数デバイスの利用により、他所の参照が容易にできる
書籍中の他の箇所との最初が必要であるという問題については、『「超」メモ革命』の第1-3章の3(74ページ)に書いたように、複数のデバイスで作業を進めることにより解決ができます。
このように、私は私自身が書いた本によって教育され、考え方を変えたのです。
妙な言い方ですが、自分の考えに影響されたということになります。
実は、同じようなことが他にもいくつかありました。
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