2040年問題とは、若年層人口と高齢者の人口の比率の問題
「団塊ジュニア」が問題にされている。
「団塊ジュニア」とは、1970年から1982年までの間に生まれた2300万人強の人々だ。現在の年齢は、37歳から49歳になる。
問題にされるのは、この世代が学校を出たときに「就職氷河期」で、多くの人が正社員に雇われる機会を逸したことだ。
実際、彼らのうち、無職者が50万人、非正規が70万人だと言われる。
だから、2040年頃に彼らが高齢化すると、貧しい高齢者となる。
内閣府などが2018年5月に、2040年度の社会保障給付費の推計をしているが、「生活保護の見通しが甘い」とされる。
確かに、無職者50万人をとっても、2300万人の2%強になる。非正規70万人を加えれば、5%を超える。
これだけの比率を占める人々が他の世代より賃金や所得が有意に低ければ、それは統計の数字にも表れるはずだ。
しかし、年齢階層別の統計を見ると、下のグラフのように、この世代の人たちの賃金や所得が格別低いとは認められないのである。
労働力調査による年齢階層別の完全失業率を見ても、この世代の失業率がとくに高いとは認められない。
この世代の人々が「就職氷河期」の犠牲になったことは間違いないのだが、その影響が統計の数字に表れるほどの大きなものにはなっていないようなのだ。
ただし、このことは、2040年頃の日本が大きな困難に直面することを否定するものではない。
私は、5年ほど前に、『2040年問題』という本を書いた(ダイヤモンド社2015年)。
ここで問題としたのは、若年層人口に対する高齢者の人口の比率が上昇し、労働供給や社会保障の面で問題が起こることだ。
このような人口構造の比率こそが、2040年問題だと考えられる。