小中高生に語る超勉強講座:第6回概要
◆第6回 国語の勉強(その2)
<講義の概要>
1. 文章は知的水準や能力をあからさまに表わす
◆抽象的表現、名詞表現、間接話法
毎日書くメールによって、毎日、プロファイリングされ、能力を測定されている。
口頭の場合と違って、ごまかすのが難しい。しかも、いつまでも残る。
◆学校教育では書く訓練やテストは難しい
手間がかかるし、評価も主観的になる。だから、学校教育では難しい。
個人教育にならざるをえない。かなりを独学で勉強するしかないだろう。
◆書く前に、内容を理解していること
わかりやすい文章を書くには、その内容についてよく理解していることが必須の条件だ。
ただし、それだけでなく、テクニック、ノウハウも必要。
2.敬語を間違えると致命的
◆ フォーマルな文章
SNSの影響で、フォーマルな文章とインフォーマルな文章の区別が曖昧になってきている。
仕事のメールや報告書など、フォーマルな文章が要求されるところで、インフォーマルな文章の書き方をする。
書き手の生活や仕事の環境が分かってしまう。
◆ 敬語の誤りは致命的
能力が低いとみなされるだけでなく、無礼とみなされる危険がある。
重要な相手に、致命的な影響を与えることもある。
最も難しいのは謙譲語だが、尊敬語すら使えない人が増えている。
「奥さんが子供を産んだので、課長は休んでおります」を外部の人に伝えるのに、「課長の家内が子供を産みまして」は正しいか?(伊丹十三、『ヨーロッパ退屈日記』、文藝春秋、1974年)。これはかなり難しい。
◆ 敬語を教えていない
メールの書き方に関する本が山ほどあるが、「敬語をきちんと使え」と強調している本を見たことがない。
学習指導要領でも、小学校から教えることになっているのだが、十分な教育を行っていない。
ということは、チャンスでもある。
3.複文問題
今回考えるのは個々の文章(50-100字程度)。全体の構成は次回。
◆日本語の文章が分かりにくい最大の原因は複文
複文とは、複数の「主語述語関係」が入れ子式になっている文章。 「節」を明示できないのは、日本語の大きな欠陥。ヘッセの小説で、一つの文章が2ページにわたるところがある。
◆複文と戦う
複文を避けよう。
(1)単文にして、接続詞でつなげる。ただし、曖昧の「が」を多用しない。
(2)漢字で名詞化する。
(3)「 」で節を明示する。
4.「眠れる森の美女問題」と「ねじれ文」など
◆修飾する言葉は、修飾される言葉のできるだけ近くに置く
意味が確定しない文章が多い。
「眠りの森の美女」で、眠っているのは森か美女か?
「目の黒いきれいな女の子」は、8とおりに解釈できる。
意味を誤って取られる文章で重大な問題が生じた場合、責任は書く方にある。
◆ 主語と述語の運命
「主従泣き別れ文」(主語と述語が離れすぎている)
「ねじれ文」(主語と述語が対応しない)
「述語失踪文」
5. 文章をわかりやすくする
◆例と比喩
例と比喩によって、わかりやすく説明する。
聖書は比喩のオンパレード(ただし、論理のすり替えも:次回)。
◆ 名前、タイトル
抽象概念に名前をつける。
タイトルをつける。
キャベンディッシュの論文タイトル「地球の重さを測る」。対 ウエブの陳腐なタイトル。
メールで送り手のタイトルを返してくるのは、失礼でもあるし不便でもある。
◆日付
日付がないと文章の位置づけができない。
◆語彙と外国語
語彙を増やすには、大量に読むしかない。
外来語そのものには反対しないが、読み方がおかしいのが大変気になる(「ストーレッジ」を「ストレージ」と、「モーゲッジ」を「モーゲージ」と言う)。