20年後の日本と世界を考える:将来人口推計が意味するもの
日本の将来を考える上で最も重要な基礎データは、将来人口推計です。
今後20年程度の将来を考えるのであれば、現在公表されている推計はほぼ既定事実であり、もはや動かすことはできません。
下の表と図を見るだけで、日本社会が大きな問題を抱えているのが分かります。
図表1
資料: 国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計
(出生中位、死亡中位)
第1に、若年者の人口が減ります。2015年と2040年を比べると1750万人の減。率では22.7%の減です。しかも、そこで止まらず、2040年以降も減り続けます。
第2に、高齢者人口が増加します。65歳以上人口は2015年と2040年を比べると530万人の増。率では15.8%増加します。
なお、65歳以上人口は2040年頃以降は減少しますが、70歳以上の人口は、その後も増加し続けます。
図表2
2040年においては、15~64歳人口は約6千万人であるのに対して、65歳以上人口は約4千万人になります。ここに、日本の未来像が凝縮されています。
このことが労働力や社会保障に関して大きな問題をもたらすことが想像されます。
この2つが、これからの日本にとって、内政上の最重要課題です。
こうした問題に対処するために、出生率を引き上げるべきだという考えがあります。しかし、出生数が本当に増加すれば、今後20年程度の期間をとれば、依存人口が増えて、経済を圧迫します。出生率の引き上げは、遅くとも20年前に行うべき政策でした。
人口が高齢化することは、1980年代から分かっていたことです。しかし、それは遠い将来のこととして、それに対して真剣な対策は何もなされてこなかったのです。
根本的な対策がなされていないのは、いまでも基本的に変わりません。
例えば、消費税率の引き上げは、将来増加する社会保障支出を賄うために不可欠なものですが、税率引き上げが決められながら2回も延期され、いまでも、強い反対論があります。
2019年は公的年金の長期的な見通しを示す「財政検証」が見直される年です。上で見たような構造変化に対応できるような年金制度が考えられなければなりません。
また、深刻な労働力不足に対応するには移民を大幅に増加させることが必要ですが、社会秩序を乱すといった反対論がほとんどです。そして、なし崩し的に外国人労働者を増やす方策がとられています。
これについても、基本に遡っての議論が必要です。